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 神崎エリナ、初めてのお受験戦争、無事に戦い抜き、無傷で生還いたしました!みんな拍手をありがとう!ありがとうありがとう!反逆したエリナCさんもありがとう!

ふぅ…。結果はまだ出ていないけれど、テストはおそらく満点。面接も前世の就活時に嫌という程やらされたのでバッチグーでした。むしろ面接に関しては慣れ過ぎていて、途中、面接官の先生に変な目で見られたぐらいです

 まあ、兎にも角にもお受験も終了したということで、ちょっとした前祝いで現在お母様と美咲先生と私の三人でお買い物デート中だったりします


「本当に私まで買っていただいてよろしいのですか?」


「遠慮しないで。美咲さんにはとてもお世話になっているし、出来るだけこの子の家庭教師を続けて欲しいのよね」


「恐縮です。ありがとうございます。私としてもエリナさんは優秀で、教えていて楽しいですし、何より楽ですから。続けられる限り続けたいと思っています。あははは」


 みんなでの買い物デートはとっても楽しくて、色んなお店に行っては、あれでもない、これでもない、さっきの方が良かった、などと女三人(内一名は幼女)姦しくキャッキャうふふと騒いでいました。するとそこでお母様のお知り合いの方と偶然にもお会いしたのです


「あら?もしかして神崎さんの奥様じゃありませんか?」


「え?あ、これはこれは宝生院(ほうしょういん)さん。お久しぶりですね。年末のパーティ以来かしら」


 宝生院?どこかで聞いたような名前だな…。どこだったかな?

私がうんうんと唸りながら必死に記憶を探っていると、肩のあたりをトントンと叩かれて声をかけられました


「御機嫌よう」


「ご、御機嫌よう。えっと……」


 声をかけてきたのは、見た目今の私と同じくらいの歳の可愛らしい女の子でした。黒髪でぱっちりお目目、一つ特徴を挙げるなら随分と巻き込まれたその髪型です。まるで中世のヨーロッパにでも住んでいそうな髪型です


「私は宝生院 麗華。あなたお名前は?」


 宝生院。どうやらお母様とお話をされている女性の娘さんのようです。それにしても宝生院 麗華。こちらもどこかで……。宝生院……。麗華……っ!!


「宝生院!麗華!」


「きゃっ!な、何!?」


 その名前知ってる!!前世でやっていた乙女ゲーム『恋するダンタリオン』に登場する悪役令嬢と同姓同名だ!

 待って待って。そんな筈ない。だってここは現実世界よ。なんでゲーム世界の悪役キャラが出てくるのよ。あり得ないでしょ?たまたまに決まってるわ

 でも待って。そもそも私の存在自体があり得ないことなんてあり得ないってことの証明じゃないの?てことは、可能性はあるんじゃないの?この世界がゲームの中だ。なんて突飛なことが……。


「ねぇ、なんなのよ?私のこと知ってるの?」


 と、今はそれどころじゃなかった。目の前のことを片付けてから後でゆっくり考えましょう


「ご、ごめんなさい。知り合いに似た名前の子がいたから少しびっくりしちゃって。私は神崎エリナ。よろしくね」


「ふーん。エリナね。私のことは麗華でいいわ。よろしくね」


「う、うん!わかった麗華」


「♪」ニコッ


か、可愛いっ!私の知っている宝生院 麗華というキャラクターは、美人でカリスマ性はあるけど、高慢でプライドが高く、一度これと決めたらどんな手段を使おうと成し遂げる。そんな尖ったナイフのようなキャラだったけど、今目の前にいる麗華は、ちょっと強引なところもありそうだけど、名前を呼んだら笑ってくれて、その笑顔が可愛らしい、どこか温かみのある小さな女の子です。こんな可愛らしい子が悪役令嬢だなんて、私は何を考えているんだ。勘違い勘違い。たとえ麗華のフルネームが悪役令嬢と同じだからって……。そ、そういえば学園の名前もどことなく聞き覚えがあったような……。勘違い勘違い


「ねぇエリナ。そちらの女性は貴女のお姉さん?あまり似ていないけれど」


「うんうん。違うわ。彼女は私の家庭教師の先生で美咲先生っていうの」


「こんにちは。美咲って言います。よろしくね麗華ちゃん」


「ふーん。よろしく。それで?なんで家庭教師の先生と買い物なんてしてるのよ」


「えっと、この前、私が花山院(かさんのいん)学園の初等科を受験してね。その、合格の前祝いっていうか、終了祝いっていうか。えへへ」


そうだよ。今は楽しいデート中!変なことを考えてないで目一杯楽しまなくっちゃ!


「へぇ、エリナも花山院学園受験したのね。私もよ」


「え!麗華も!そうなんだ、麗華同い年だったんだね」


「みたいね。ところで貴女、学園に入学したらロザージュには参加されるの?」


「………」


「エリナ?ちょっと、どうしたの?エリナ?エリナ!———」


ロザージュ…。嘘だ。本当にここは……。バターーン。キュッ


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