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上流階級の家庭では小学校はお受験して入るもの、公立の学校へ行くなんてあり得ない。というのは本当だったらしいのです。例に漏れず私もここら辺で一番のセレブ学校『花山院学園初等科』を受験することが決まりました。この学校名、なんとなく聞き覚えがあるのですが、まあニュースか何かで聞いたことがあるのでしょう
お受験対策としてT大学の教育学部に通う美咲さんという方に家庭教師をしてもらっていますが、言うて小学校のお受験ですから、前世ではそこそこの大学を出ている私にとってはお遊びも同然ですよ!ワッハッハッハ
問:ある部屋の中にA君、B君、C君、D君という4人の男の子が集められました。彼らにはそれぞれ帽子を被ってもらいA君は一人別の部屋へ、B君、C君、D君はB君を先頭に一列に並んでもらいました。彼らは自分が被っている帽子の色を知りません。そこで「4人に渡した帽子の色は黒が2つ、白が2つです。では今あなたが被っている帽子の色はどちらでしょう?」と質問するとある男の子がすぐに答えを返してきました。さて、A君~D君の内どの子が自分の帽子色を言い当てたのでしょうか?ちなみにA君とB君は誰の帽子も見えていません。C君にはB君の帽子が見えています。D君にはB君とC君の帽子が見えています
「あ、これ知ってます!確かC君にだけ分かるってやつですね!」
「ブブー!もっとちゃんと読んでみて、エリナちゃんは物知りだから、こういった有名問題を少し弄ったものは要注意ね」
お遊び、みたいなものであっても間違えることは誰にだってあります。よく言うでしょ?油断大敵。猿も木から落ちる。弘法にも筆の誤り。誰だって間違いはあるんです。私だけではありません!
あ、ちなみに『すぐに答えを返した』という部分が引っ掛けなのですがみんなも引っかかったよね?
エリナA:うん!私も引っかかった!
エリナB:私も私も!
エリナC:私は引っかからなかった
エリナ本体:嘘つけ!!お前は私で、私はお前なんだ、間違えたに決まってる!!
エリナC:なんだと!!
エリナ本体:やるか!?こん畜生っ!
パンパンッ
「はいはい、エリナちゃん。現実逃避してないで戻ってきて」
「はっ!私は今まで何を……」
「小芝居もいいから。次はこの問題ね」
「はーい」
美咲先生は今のように私が間違えそうな問題を探してきては、私専用の問題集を作ってくれて、お受験合格に向けて隙のない指導をしてくれるのです
彼女は来年もしくは再来年に「母校である花山院学園に教育実習生として赴く」と言っているので、学園に通えることになったら美咲先生の授業を受ける。ことは難しいかもですが、一度くらいはお昼を共に出来るのではないか、と思っています
そうして勉強や時にはお買い物など、穏やかな日々を過ごしていると、あっという間に受験日当日になってしまいました
「お母様、お兄様、美咲先生、行ってまいります」
「エリナあなたなら大丈夫よ」
「エリナ頑張るんだぞ」
「落ち着いてこれまでの努力が発揮できれば絶対に合格できるからね!頑張ってエリナちゃん!」
「はい!」
私は、こうして風でなびくマフラーを手で押さえながら、みんなのエールを背負いお受験戦争へと立ち向かって行くのでした