表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術師失格  作者: 闇鍋
5/5

第五話








男達を倒し終わった後、少女が俺の所に走ってきた。


「今のどうやったんですか!?」


少女はかなり興奮気味に言った。


「そんなに驚くことじゃねぇだろ」


「いや、普通驚きますよ!特に最後のアレ、どうやったんですか!?空中で二回転してましたよね!?」


「別に大したことじゃねぇよ。あんなん俺の地元じゃ、二歳のガキだって出来る」


(もちろん嘘だけど……)


「二歳って……。言い訳するなら、もっとましな言い訳してください!」


一瞬のうちにバレてしまった。

これは中途半端な言い訳じゃ解放してくれないだろう。

しかし、困ったことに、良い言い訳が思いつかない。こうなれば、俺の十八番を使うしかないか……。


「まぁ、二歳は言いすぎたが、最近の男子はあんぐらい誰でもできんだよ」


「そ、そういうもんなんですか?」


「そういうもんだ」


何やら少女は、納得いっていない様子だったが、それ以上聞いてくることはなかった。


(やっぱ、睨みつけるって便利だなぁー)


「ところでお前、なんでこんな道通ろうとしたんだ?明らかに普通じゃないって分かるだろ」


「うぅ、それはですね。私も普通の道じゃないっていうことは、この道に入った瞬間に分かったんですけど、かなり急いでいて、こっちの道の方が近道だったので、つい……」


少女は、どこか申し訳なさそうに言った。


「……ったく、俺がたまたま通りかかったから良かったけどなぁ、そんなんでもし男達に襲われてたら、たまったもんじゃねぇぞ。俺への感謝の気持ちは永遠に忘れるなよ。お前の子孫にも、俺への感謝の気持ちを受け継いでいけ!」


「そこまでする必要はなくないですか!?まぁ、でも、助けてくれてありがとうございます」


「……ったく、分かれば良いんだよ、ガキが!」


「なっ!?ガキって、見た目同い年ぐらいじゃないですか!ていうか、情緒不安定すぎません!?」


(情緒不安定?こいつ、俺のこと言ってんのか?まさか、な……)


「ところで、そんな急いでどこ行こうとしてたんだ?」


「はぁ〜、急に普通に戻らないでくださいよ。やっぱ情緒不安定ですよね」


(……………。コイツ、可愛い顔して結構きつい性格してやがる。もしくは、天然か、

……間違いなく前者だろうな、さっきからニヤニヤしてやがる。ほんと良い性格してるわ)


俺がそんなことを考えていると、


ゴーン、ゴーン


街に鐘の音が鳴り響く。

街の鐘は、一時間に一回のペースで鳴る。

俺は、ここに来る前に十一時の鐘を聞いているので、今の鐘は十二時を知らせる鐘のようだ。


(ところで俺は、一体なんの用事で街に来たんだっけか?さっきの騒動ですっかり忘れちまった。とても大事な用事だったような気がするのだが……。まぁ、忘れるってことは大した用事じゃなかったんだろうな。久しぶりに動いて疲れたし、今日はもう帰るか……)


「あ?」


俺が帰ろうとした瞬間、少女が青ざめた表情でこちらを見ていた。


「……あの、今って何時か分かりますか……」


「十二時だが、それがどうかしたのか?」


それを聞いた少女の顔が、どんどん青ざめていく。

まるでブルーベリーのようだ。

たぶん、さっき言っていた大事な用事というのに、間に合わなかったのだろう。

少し気の毒になってきた。


「そんなに大事な用事だったのか?」


「今日、本の発売日なんです……」


「本だと?そんなん発売日じゃなくてもいいだろ」


「ダメなんです……。今日発売するのは初回限定版で、たった百個しか生産されていないんです……」


「そうか、それは残念だったな」


(しかし、今日発売ですぐ売り切れる本か……。ん?今日発売ですぐ売り切れる?なんかどっかで聞いたフレーズだな……!

思い出した。そういえば俺は、昨日レオナから買い物を頼まれていた。商品名は適当に聞き流していたから覚えてはいないが、どうやら話を聞く限り、コイツの言っている初回限定版の本で間違い無いだろう。これはマズイな……。あそこまで頼まれて『買えませんでした、てへぺろ☆』で許されるとは思えない。最悪、家から追い出される可能性もある。これは、どんな手段を使ってでも手に入れなくてはならない。例えそれが、犯罪に手を染める行為だとしても……)


作者の事情で、次の話の投稿は少し遅れます。

レビュー、お気に入り(ブックマーク登録)をお願い致します!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] おもしろいどすえ [一言] 頑張ってください
[良い点] とてもおもしろいです [一言] もっとエッチなシーンほしいです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ