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魔術師失格  作者: 闇鍋
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第一話

ロロ=ユークリウス。15歳。


人には誰しもなりたいものが存在する。

お金持ちになりたい、かっこよくなりたい等、それは多種多様だが誰しもが心の中に持つ感情だ。

それは育った環境に影響を受けると言っても過言ではない。

いじめを受けているものは強くなりたいと思うし、貧乏の家に生まれたものは金持ちになりたいと思う。

これは当然の結果といえる。

人とは自分が持たざるものに魅力を覚えるのだ。

当然俺にもなりたいものが存在する。

そして俺が影響を受けた存在というのはーーー


ーーーバンッ!


そんな豪快な音を立てながらレオナが部屋に入ってきた。


「おや?起きていたのか」


レオナ=ハールトン。53歳。

年はかなりいっているが、見た目は20代前半の美女。

豊満な胸に反してそのスタイルは抜群。

肩まで伸びるよく丁寧にされた黒髪。

街中ですれ違えば誰もが目を奪われる絶世の美女、

そして世界最強の魔女と名高い魔術師で俺の育ての親でもある。


「おい、お前また夜遅くまで酒飲んでただろ!」


どうせまた酒を山ほど飲んでいたのだろう。

レオナが来てから俺の部屋が一気に酒臭くなった。

こいつは超のつくほどの酒豪だ。

酒を浴びるように飲むという言葉があるが、こいつは実際に酒を浴びながら飲むのだ。

それだけならまだいい。

しかしこいつはかなり酒癖が悪く一度酔ったら誰にも手がつけられなくなる。

そのせいで俺が何度こいつから被害を被ったことか。


「お前ももう歳なんだし、そろそろ健康に気をつけたらどうだ?」


俺はこいつの健康を思って心配しておいた。

まぁ、言っても無駄だろろうが……。


「馬鹿野郎!好きなもの飲んで体が悪くなるわけねぇだろ!酒やめたほうが健康に悪いわ!」


「さいですか……」


ここまで言われてしまっては俺にはもう何も言うことはない。

こいつの問題なので俺がとやかく言う事ではないのかもしれないが、一緒に生活している身としてはこいつには長生きしてもらいたい。

俺はとある理由で、13歳の頃からこいつと一緒に暮らしている。

レオナに拾われる前の俺はただただ死を待つだけの存在だった。

俺は、激しい痛みに侵されながらもなんとか意識を繋いだ。

意識を失ったら死ぬと本能が理解していたのだろう。

その時たまたまそこを通りかかったレオナがいなかったら俺は間違いなく死んでいた。

これだけでもありがたい話なのだが、こいつは当時行くあてのなかった俺を育てると言ってくれたのだ。

その頃の俺にとってこいつは神のような存在だった。

俺が魔術師に憧れを持つのはごく自然の流れと言えるだろう。


「朝ごはんを作っておいた。早く降りてこい」


どうやら先程から酒の臭いに微かに混じっていたのは朝飯の匂いだったらしい。

食欲がそそられてきた。


「分かった、すぐ行く」


俺はそう返事をし着替えを始めた。








今日も長い一日が終わった。

俺の一日はとても規則正しい。

朝飯を食べ終わるとランニングに出かけ、だいたい

10キロほど走ってから家に帰る。

後はひたすら自室で本を読み、飯と用をたす時だけ自室の外に出る。


(魔術の修行もしたいんだがな……)


魔術とは誰もが簡単に習えるものではない。

魔術学院に通っているものだけが習うことを国から許されている。

これはテロ対策をとっているのだろう。

誰もが簡単に魔術を習えたらその力を私利私欲のために使うものが現れる。

最初は被害が少ないかもしれない。

だが、そういう奴を真似して段々と暴れるものが増えていく。

ドミノ理論というやつだ。

だからこれは当然の対策といえるだろう。


「やはり学院に通うしかないか……」


ため息混じりにそう呟いた。

しかし俺はつい最近、今年の入学試験に落ちてしまったばかりなのだ。

面接の時点で俺には魔術の才能がないと言われ、俺は面接官を全治三ヶ月の怪我を負わし面接会場を立ち去った。

後になってわかった話なんだがどうやら面接官は受験者全員に対して同じ発言をするらしい。

なぜそんなことをするのか、それは受験者の反応を見るためだとか。

俺の行動は学院始まって以来のものだったらしい。

それを聞いたレオナが腹を抱えて笑っていたのを覚えている。

ちなみに面接官の怪我は次の日レオナの回復魔術によって一瞬で完治した。

世界最強の魔女の魔術を目の前で見れた面接官はとても嬉しかったようで、俺のことも許してくれた。

あれからもう一週間か……。

時の流れとは実に早い。

レオナと暮らすようになってからそう感じることが多くなった。

騒がしいやつだがあいつといる時間をなんだかんだで楽しんでいる自分がいる。

あの頃からは考えられない。

随分と平和ボケしてしまったようだ。

今の俺を昔の俺が見たらなんて言うんだろうな。


……あほくさ。考えるだけ無駄だ。


ふと時刻を見ると夜の十二時を過ぎていた。

今日もたくさん本を読んだ。

ベットの側には沢山の本が散らかっている。

俺は基本的に雑食で色々な種類の本を読む。

バリバリのミステリーから有名な著者が書いたエッセイ、たまにスポーツ関連の本や自己啓発本なども読む。

本とは知識だ。

読み込むことで色々な知識を吸収できる。

そろそろ寝るか……。

俺は電気を消し、深い眠りについた。

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