なにも知らないもどかしさ
言ったことを守れない系です。ごめんなさい!毎日投稿するとかなんだったんでしょうね。少し時間に押されて書いたので多分誤字・脱字とか沢山あります。
自分には不釣り合いにもほどがある豪華絢爛な大広間の中心の召喚サークル的なものに自分が現れてから、もう数日は経っているだろう。
数えた訳ではないが、何度か夜に深い眠りに落ちていることから数日は経っていることは確かだ。
あれからいろいろなことが説明されたりしたのだが、それよりも今自分がなにをしているのかを伝えよう。
今自分がなにをしているのかというと……
「こーらぁー!!何してるの勇者ー!!サボってないでキリキリと走れー!!お前はただでさえ他より体力が無いんだー!!他の誰よりも努力をしなければわたしの騎士団にいれるつもりはないぞー!!」
初日にいきなり鋭く睨まれた彼女のもとで厳しく指導されています!!
なんでこんなことにと息を切らしながら必死に走る。走る。きっとそれが歩くぐらいの早さだとしても仕方ないと割りきってくれ。
息を切らし、先程から走り始めた城の正門近くの広場で自分に限界がきた。
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ…………」
「……まさか城を外周一周だけでここまで息を切らすほど体力がないとは……」
ごめんなさいね、ニートで。
「……なんで姫様はこんな男をわたしの騎士団に……?勇者と言ってもこれじゃそこらへんの農民より使えないじゃないか……」
そう、そうなのだ。
自分がなぜこんな状況に陥ってるのかというと、だいたいあの姫様のせいなのだ。いや、まぁ全部が全部じゃないけど……
それにあの姫様に同情したのは自分の勝手で、別にこんなことをする必要はないはずなのだ。それなのに自分は走っている、少しでも強くなるために。
ここで少しだけ時を遡ろう。それこそ召喚されたあの日まで。
「す、すみません。急に自分の世界とは違う場所に呼び出されて困っているでしょうに……」
目の前にいるきれいな長い金髪を持つ少女は顔を少し赤らめ顔をうつむかせながらそう言った。
今いる場所は先程の豪華絢爛な大広間なようなところではなく、普通……かどうかはわからないのだが、一番想像がしやすい貴族のお嬢様のお部屋って感じだ。
一目でわかるふかふかなベッドがあり、かわいらしいくまのような生き物のぬいぐるみがあるのを見る限り、ここは彼女の自室なのだろう。一人だけの個室にしてはかなり広いが。
その部屋の空いているスペースに設置されている円型のテーブルに自分とお嬢様が向かいあって座り、そして召喚早々自分を睨み付けてきた女騎士の3人だけのみが今この部屋にいる人間だ。
「い、いえ、大丈夫です!そんな気を使ってもらわなくたって全然大丈夫です問題ありません!」
今にも泣きそうな彼女に対して優しく……内心焦っているがそんな素振りを見せないように語りかける。
「そ、そうですか……?な、なら良かったです!」
涙目になりながらも彼女は元気のいい返事をくれる。
特に深く考えなくてもわかる。この子めっちやいい子だ!
それに対して後ろにいる奴は……
そう思って一瞬だけ目の前の彼女の後ろから立ったままこちらを見ている者に視線を向ける。
鋭い目付きをしていて黒髪で長さが肩まであるかどうかといった女性は相も変わらずこちらを睨んでいる……わけではないけど、さっき目の前の彼女が泣きそうになったときの殺気はやばかった。正直もうだめだと思った。
そういう謎の緊張感から忘れていた最初に思った疑問を目の前の彼女に聞く。
「あの……なんでこんな場所に自分が……?ここ多分あなたの……その……寝室ですよね……?」
疑問を投げる。後ろから殺気が増す。もうやだ。
「あっ、えっと、その、本来ならすぐにお父様にあってもらおうと思っていたのですが、お父様も忙しい身でして、時間ができるまではその、申し訳ないですがわたしの寝室でお待ちいただくことに……」
後ろの女騎士が光栄に思えと言わんばかりの表情をしている。さっきまでの殺気はどうした。
「で、でも!その、失礼かもいれないですけど、今回の勇者様が優しそうな人で良かったです!実は、えっと、歴代の勇者様のなかには言葉汚かったり、態度がなんというか、その、よくなかったりしていたと聞いたことがあったので、少し安心しました!」
「えっ、前にも自分みたいな召喚された人がいたんですか?」
そこは意外だった。てっきりさっきちらっと聞こえた魔王の存在によってはじめて呼ばれた勇者というか、一人しか選ばれない勇者みたいなものだと思っていた。
あと今自分の態度がいいのは普通にわけのわからない状況に軽く混乱しているのと、あなたの後ろにいる女騎士のせいなのがだいたいの理由です。
「は、はい!えっとですね……実は今出てきている魔王というのが……あっ、でも勇者様は魔王のことは知らないし……で、でも魔王のこと教えないと勇者様が前にもいたことの説明がつかないし……えっと……えっと……」
また彼女があたふたとし始めた。そしてなにかを諦めたような笑顔で
「あ……その、まだお父様は時間がかかると言ってらしたので、き、聞きたいことなどありますか……?」
そうきたか。そうきたかー。
確かにそれなら必要のないものは答えなくても良くなるし、自分が特にないと言ったらなにも答える必要はない。
ちなみに唐突だが後ろの女騎士を見てみよう。もう睨んでくることはないけど、なんというか、普通に警備してる感じだ。特に会話の内容に興味はないように見えるが、多分ここで失礼なことを言った瞬間に顔色を変えて突っ込んでくるだろう。
まぁ、せっかく質問の機会をいただいたことだし、順番に聞いていくのが無難かな。
「じゃあ、まず、魔王っていうのはなんですか?」
「は、はい!えっと、魔王っていうのは、とても恐ろしくて、別に今回がはじめて出てきたわけじゃないんです。昔から数百年という期間を空けてでてきたそうで、その出現ごとにこの国では勇者様を召喚されてきたんです。異世界から召喚された勇者様は普通の人間とは違うそれぞれの特殊な能力があるそうで、あるものは剣の才能がほかより逸脱で、またあるものは魔法の才能があったりと、一人一人違った能力があったそうで、それぞれがみなその能力を使って今まで魔王を倒してきたと聞いています!!」
「そ、そうなんですね……」
思っていたよりもかなりの長話がきたことにも驚いてはいるし、妙に彼女のテンションが高くなっているような気もするが、それよりも召喚された勇者がそれぞれ持っている特殊な能力に耳を集中させていた。
自分にもそういったものがあるのだろうか……?
「あの……お話続けても良いですか……?」
どうやら顔に出てたらしい。心配そうな顔で彼女が覗きこんでくる。
「あ、いえ、大丈夫です!お話、もっと聞かせてもらっていいですか?」
「は、はい!勇者様のご期待に答えてみせます!」
彼女は急に立ち上がりそういってこちらを見つめてくる。
「……あ、す、すみません!す、少し気分が高揚してしまって……」
その言葉のあと彼女は恥ずかしさで顔を赤らめながら静かにまた席についた。
ちなみにこの状況で女騎士は特に反応を見せるわけではなく静かにこちらを見ている。彼女の反応を見る限り、こちらの方がいつもの目の前にいる彼女なのだろう。
「あの……お話……続けてもよろしいですか……?」
先程の行動がだいぶ恥ずかしかったものなのか、また最初のように静かに仰々しくなってしまった。
「どうぞどうぞ!続けてください!」
「あ……じゃ、じゃあ続けますね!」
ここで魔王に関する一つの新たな疑問が頭に生まれる。
「あの……こんなことを聞くのは失礼だと承知して聞きますが……今までの魔王による被害というのはどれぐらいですか……?できれば今の現状も込みで教えていただけると……」
……彼女の顔が曇る。今までいろいろ豊かな表情を見せてくれていた彼女だが、まだそんな顔は見たことはなかった。
なにより、この言葉を聞いた女騎士が急に目を鋭くさせたのがこの言葉の重さを目立たせる。
それでも、答えを知りたい。この質問の答えを。俺は、この時どうしても聞きたかったのだ。理由はよくわからないが。
そして、彼女はその重い口を開く。まるで一生開けるつもりはなかったもののように。
「……別に今までの被害はそうでもなかったそうなんです。歴代の勇者たちの優れた能力によって魔王はすぐに倒され、大きな被害をだすことなく戦いを終わらせて来たそうです……でも、今回は、今回は…………」
今回は?
「…………わたしの」
このとき俺はとてつもない嫌悪感を感じた。誰に対してでもない。俺自身に。
「わたしの……わた……しの……おか、お母様が……おかあ……しゃまが…………まお……まおうに……まおうに……」
…………もうやめ
「そこまでにしておいて下さい。姫様。これ以上先はわたしが彼にお話しします。ですので、あなたはこれ以上辛い思いを、あのときのことを思い出す必要はないのです。」
誰よりも凛々しく、なによりも優しい、そんな声で目の前の泣きじゃくる彼女に声を掛けたのは、今までずっと後ろに恐らく護衛として居た女騎士だった。
女騎士はやはりというべきか、目の前の『姫様』という存在にこう語りかけた。
「姫様、失礼だとは思いますが少し部屋の外でお待ちいただいてもよろしいでしょうか?これから先の話は、きっとあなたにとってはなによりも辛いものでしょうから。」
……そういった女騎士は、泣きじゃくる姫様を部屋の外に連れ出した。
今、この部屋には自分と、女騎士の二人しかいない。
これからなにを言われるのかを考えるだけで、足が震えて、冷静でいられなくなる。
女騎士がさっきまで姫様が座っていた席に座る。
……そして、彼女はその口を開いた。
「……別にお前を責めるつもりはない。お前はただ、自らが疑問に思っていたことを、質問にして姫様に聞いただけにすぎない。」
「……」
「けど、あの質問だけはしてはいけなかったんだ。もちろんお前がそれを知っているわけはないだろうから、仕方ないといえば仕方ないだろう。」
「……」
なにもいえない。なにも言い返せない。きっと、俺には今なにもいう権利はないのだろう。
「お前の質問に答えよう。姫様のお母様について。姫様のお母様が、いったいどのようにして魔王に殺されたのかを。」
……殺された……
そんな気はしていた。彼女の反応を見る限り、それいがいの可能性は考えられなかった。
「……見せしめだ。見せしめに姫様のお母様は殺された。それ以外の理由はない。姫様の、彼女のお母様は、それだけのために、命を奪われたのだ。」
そういう彼女の様子は、悔しそうで、悔しそうで、悔しそうで。
「……わたしにはそのときどうすることもできなかった。まだ未熟者だったわたしには、わたしには……目の前で姫様のお母様に殺されるのをわたしは……!」
彼女の顔がはじめて崩れた。泣きそうな、悔しそうな、そんななんともいえない顔で、俺に対してまっすぐに言葉をぶつける。
「わたしは、お前に期待はしていない。今の魔王は、歴代の魔王とは聞く限り別格だ。わたしはそれを肌で感じた。」
そして最後にこう言った。震える声で。この世のなにをも憎むような声で。
「お前に……お前に世界が救えるか……理不尽で、助けを求めてもなにもしてくれないこの世界を……救うつもりはあるか……!!」
その感情がこもって、なのに言葉にできないもどかしさに自分はなにも言い返すことができなかった。
何一つ、言い返す言葉が思いつかなかったのだ。
「あの……失礼します……」
このタイミングでドアが開く。
どうやら外に出ていた姫様が気持ちを落ち着かせて戻ってきたのだと思った。けど違った。
「お父様が時間をお作りになられました。勇者様。どうぞこちらにいらしてください。」
さきほどとはうって変わって、形式的な挨拶で呼び掛ける。
女騎士は無言で立ちあがり姫様の隣に向かう。
俺は、さっきの話を聞いて、いったいどういう顔をして彼女の父親に会えばいいんだ。
そんなことを考えながら、俺は姫様につれられて、彼女の父親の、この国の王に会いに向かった。
また言わせてください!ごめんなさい!半分以上22時以降に書いたのですが、最初から書けよって話になりますね。すいません。
今回の話はまとめると、前回の続きですね。
最初の部分には1話で繋げるつもりだったんですけど、想像以上に姫様のお話に力入れちゃいましてね。想像の倍以上の文章量です。
今回お父様だして終わりにしようと思ってたんですが、全然ダメですね調整ヘタかよ。
あともし誤字・脱字などがありましたら教えていただけると助かります。本当に助かったあとに悶えます。修正しながら。多分今回はある。
今日はちゃんと出したいですね。個人的にはせっかくの休みですしストックも沢山書きたいです。
今回の後書きはこれで終わります。
また読んでいただけると嬉しいです。