1 魔王城(仮)にて現状確認。
魔王として生きることにした俺こと弓槻悠は現在魔王城(仮)になっている、タルタロスの番人本部にいた。
「魔王様ー、タルタロスの番人の皆さんの紹介始めますね。」
ルルーシェが背中の羽根をパタパタさせながら紹介を始める。
タルタロスの番人は魔族の中の、龍族、妖魔族、悪魔族、霊魔族、そして、最近人族により迫害され、魔族の仲間入りをした獣人族、それぞれの長が勤めることになっており。
龍族の長は破壊の龍姫、ルルーシェ・シャーロット。
タルタロスの番人の中でも一番強く、長をやっている。竜族は人型になることをあまり好まないが、彼女は好きなようだ。
妖魔族の長は過食の毒王、アウグスト・スラルーン。
本人はスライムだが、知性が高く、日本にいた頃にゲームなどで魔物やモンスターと呼ばれている、オークやゴブリンなどを纏めている、一応男性らしい。
悪魔族の長は快楽の煽動者、エドナ・アウロラ。
本人はサキュバスと吸血鬼のハイブリットであり、レッサーデーモンや吸血鬼など、全ての悪魔の頂点に立つ人物だ。室内でも指している深く張った日傘が特徴的だ。
霊魔族の長は魂の指揮者、ジャック・ハンスフレットと魄の旋律者メアリー・ハンスフレット。
見た目はカボチャの帽子を被った少年と少女だが、れっきとした霊魔族の長である。様々な制約があり、二人でないと力が発揮出来ないそうだ。
獣人族の長は眠りへ誘う狩人、エリシュカ・リンクス。
本人が言うにはオオヤマネコの獣人で、とても眠そうな人だ。この人が欠伸をするとこっちまで眠くなる。カッコいい人ではあるんだが。
以上六名がタルタロスの番人であり、魔王軍の幹部である。
ルルーシェは他にも、魔族が人族、妖精族、天使族と戦うことになった理由と経緯を教えてくれた。
太古の昔、人族が海を越え獣人族の奴隷と共に魔族の住む魔大陸にやってきた。魔族は領地にやってきた人族と交流を持とうとしたが、人族は角が生えた悪魔族を見るなり、獣人族を迫害したように、自らと違うことを恐れ、襲いかかって来た。そして人族と魔族は長きにわたる戦争になった。いつしか魔族は異世界からやってきたある人物を魔族を統べる王、魔王と呼ぶようになっていった。魔族は人族を魔大陸から外に追いやることに成功したが、獣人族が人族からの抑圧から逃げるため、魔大陸にやってきたのだ。それから月日は流れ、魔族は獣人族を魔族の一員として認めることにした。それに怒りを覚えた人族は勇者と呼ばれる一人の少年を魔大陸に送った。勇者は次々と魔族を倒し、遂には魔王のところまでやってきた。魔王と勇者は三日三晩にわたる戦いの末、相討ち。人族は勇者を失い、天使族に助けを求め、対魔族兵器ゲイボルグを授かり、安寧を享受した。魔族は各種族の長を魔王が遺した負の遺産、タルタロスの番人とし、新たな魔王が現れるまで魔大陸を治めることにした。そして時は流れ現在、勇者と魔王はその力を勇者は朱雀院昴に、魔王は弓槻悠に託した。
と、言うことらしい。
この話を聞き、俺は悲しく思った。
なぜなら、この話を聞く限り、この魔大陸にはエルフやドワーフがいないと言うことだ、他の種族は要るのにだ、とても悲しい。だが、なければ手に入れれば良いのだ。なんてったって俺は魔王なんだから。しかしまずは後ろから刺されないように、この魔大陸について色々調べておかないとな、信頼も得ておこう。
「ルルーシェ、情報ありがとう。先ずは皆の種族について深く知るため、魔大陸を一度見ておきたい。何か意見のある人はいるか。」
俺はこの場にいる全員に聞いた。
すると、
「ありませーん、自分の領地を見ておくのは良いことです。ついでに魔王として顔も売っておいた方がいいですしね。」
これはルルーシェ
「若いのになかなかやるではないか魔王殿、私は賛成だ。」
これはアウグスト
「アウグストの言う通りなかなかやるようじゃの、先ずは魔王として信頼を得るために国を廻るとは、妾は気に入った。」
これはエドナ
「兄さんやるじゃねえか、俺も賛成だぜ。」
これはジャック
「お兄さんはいい選択をしました、メアリーも賛成なのです。」
これはメアリー
「ふぁあ、俺も賛成だ。ふぁあ。」
これはエリシュカ
と言うわけで皆からお墨付きをもらい、俺は魔大陸を見て廻ることになった。