プロローグ
修学旅行の帰り、俺たちのクラスは事故にあった。その事故で俺たちは短き人生を終了するはずだったのだが、生きている。一体どうして今のような状況になっているか、意味が不明のまま俺たちは事故が起きる前の姿のまま、荷物と一緒に神殿のような建物の広間に居る。
俺たちが困惑していると、目の前の扉から一人の少女が現れて、
「皆様、この度は我々の召喚に応じていただき、ありがたくございます。まず皆様、メニューを開き、ジョブを確認していただけますでしょうか?開き方は人それぞれですが、開こうと思えば開きますのでご安心を、では。」
と言った。
やっぱりと言うかなんと言うか、俺たちは異世界に連れて来られたらしい。周りの皆もざわめくが、すぐに収まる、何故ならクラス委員の朱雀院昴がこんなことを言ったからだ、
「えーとジョブは........勇者? 僕のジョブは勇者だ、絶対に君たちを守るよ。」
何もこんなとこまでお約束通りじゃ無くても良いんだけど......と言うか守るとか軽々しく言って大丈夫なのか? 何も説明を聞いてないのにバカなの? レベルが1とかあり得るだろう。
俺がそんなんことを考えていると、
「貴方が勇者様ですか、ならば話が早い、簡単に説明すると、貴殿方に魔王を倒していただきたいのです。」
周りがざわめく。
少女が続ける、
「安心して下さい皆様、皆様も勇者様と同様、強力なジョブを持っていると思われますので大丈夫ですよ。」
周りが安心したようにため息をつく。
「私のジョブは盾騎士だ。」
皆、自分のジョブを確認出来たようだ、剣士や銃士等、様々なジョブがあるみたいだ。俺のジョブは......魔王だった。
「申し上げるのが遅れましたが私はこのグランフィリア王国の姫巫女、ニーナ・グランフィリアです。よろしくお願いします。」
少女が、いやニーナが挨拶をする。
「ねぇ君、僕たちの目的は魔王を倒す事なんだよね、倒すべき魔王はどこにいるんだい?」
朱雀院がニーナに問う。
「それが......今日の朝、今日のうちに魔王がこの世界に現れる、と予言を受けまして......大急ぎで勇者様を召喚したのです。その際、勇者様のご学友を巻き込んでしまったようで申し訳ございません。ですので、魔王がどこに居るのかは分かりません。」
ニーナが頭を下げる。
「皆様、今日はもうお休みになってください。部屋はもう用意しましたので。」
ニーナの提案により俺たちはそれぞれ自らの宛がわれた部屋で眠った。
「おーい、魔王様ー、起きてくださーい。」
変な声がする。寝よう。
「寝ないで下さいよ、早く起きないと死んじゃいますよ、殺されますよ。」
殺される?
俺は飛び起きて目の前にいた少女に問いかける。
「なぜ俺は殺される? .....魔王だからか。何故今逃げる? お前は俺の味方なのか? 何者なんだ?」
少女は恭しく礼をしながら、
「これは失礼しました魔王様、私の名前はルルーシェ・シャーロット、魔族の最高意思決定機関、タルタロスの番人の長をやっています。先程、会議により我々魔族はあなた様に従うことに決定しました。つまり、あなたの味方です。はぁ疲れた、このしゃべり方疲れるんですよ。元に戻していいですか?」
「良いから続きを話してくれ。」
ルルーシェは続ける。
「それで、今日さっきの姫巫女さんが魔王様がどこにいるか、夢で見る訳ですよ、「この中に一人、魔王がいる!」ってね、今はまだ皆さん寝ていますから早く逃げましょう。」
その日の内に俺は屋敷を抜け出した。
友達も仲間も味方も俺を想ってくれている人もいない、未練など何一つ無かった。