act. 6
その後二人は輝希の家で他愛のない話をして終わった。
その中の一部。
「声羅ちゃん。なにかあったら何時でも相談してね?」
「え...?なんで?」
「心が軽くなるからだよ」
「"なにか"って?なに?」
「悲しい事や嫌な事、苦しい事だよ」
「嫌な事...。」
「嫌な事があったの?」
「わからない。けど、何かが突っ掛かる。」
「突っ掛かるのはなんだろう?実態がないのがやだ」
「そうだね。見えたら、すぐわかるのに、心は見えやしないから難しい」
「心か...。私にはもうないのかと思ってた」
「失ったりはしないよ。失ったら、ただの肉の塊だ」
「グロいね」
声羅が少し引いた顔をしながら、言った言葉に腑抜けな声を出す輝希。
「あぇ?なっちゃってた?」
「うん」
そういい、声羅はクスクスとお腹を抱え笑いだす。
「そんなに可笑しかった?」
「うん!だって、真顔でグロテスクな事をさらっと言うんだもん」
輝希は少し焦り、アワアワしている様子にも、声羅はツボにハマって声を上げて笑い始めた。
「はははっ!もぅ!お腹いたいよっ!!ふはははっ」
輝希も声羅の笑いにつられ、笑い始める。
「ははははっ」
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夕方。
声羅は心が軽くなったと輝希に言った。
「良かった」
「また、来てもいい?」
声羅からの突然の一言でビックリしていた輝希だったが、すぐ顔が笑顔になり、いつでも歓迎するよ!と言い、別れた。