第8話 軟禁生活
今日からは、外に出られないのか。どうしようか。
今回のように誘拐される事を考えて、亜空間に家を作ろう。
たしか、女神様がイメージをきちんと持てば、出来ると言っていたよね。
何が必要かな。
家だから、玄関、リビング、キッチン、お風呂、トイレ、洗濯場、部屋かな。
私一人で利用するのか、数人で利用するかによっても、部屋割りが変わるよね。
最低でも家族全員と侍女と執事や家令の分も必要か。
いや、でもなあ。一時的な避難所とすれば家族だけでもいいのか。
従業員も含めたら、お屋敷くらいの広さが必要になるし。困った。
広い玄関で下駄箱付き、左隣に応接室、右隣に荷物置き場、その隣にトイレ、廊下を挟んでリビングのドア、廊下の奥にキッチンのドア。
リビングは20名が入る広さ、リビングを出るとキッチン、食堂、トイレ2つ、お風呂2つ、洗濯場と乾燥室、作業室、会議室。
キッチンは、20名分調理出来る広さ、大きなオーブン2つ、電子レンジ、トースター、大型冷蔵庫、作業台、食器棚、6口コンロ。
2階は家族用として、執務室、両親の部屋、兄妹私の部屋。
リビングと寝室がありバストイレ付でミニキッチン付き。お茶がすぐに飲めるように。
3階は従業員用で執務室2室、シングル4室、ツイン6室。
こんな感じでいいか。後から変更も出来るだろう。
念のために、設計図も作成して。
この家はなんと呼ぼうか。隠れ家か避難だからシェルターか。
隠れ家だと別荘みたいに思うかも。
じゃあ、シェルターで決まりだね。
「創造魔法、亜空間に設計図のシェルターを作成、破損防止、汚れ防止、自動清掃付与」
どうかな。上手く出来たかな。
亜空間を覗いて見る。
おー、ちゃんと家が出来ている。
まだ、カレンは来ないだろうから、シェルターに入ってみよう。
シェルターに入ると、大きな玄関ドアがある。
中に入ってみると、想像した通りだ。
広い玄関に下駄箱、応接室に荷物置き場にトイレ。
廊下を隔ててリビングに入るドア、廊下の奥に進むとキッチンに入るドアがある。
リビングに入ると、あまりの広さに驚いた。
20名が入る広さを望んだからか。
キッチンやお風呂、家族の部屋と全ての部屋の確認が出来た。
家具や細かな物は、これから揃えていこう。
地球産から、リビングにテーブルとソファー、一人掛け用チェア、食器類を購入。
さすが、地球産、ソファーもクッション性や生地がいい。
自分用のマグカップも買っておこう。
食堂にもテーブルと椅子を用意する。
次は、私室だ。
ここでは、お茶が出来るテーブルと椅子を用意する。
ベッドは、まだ三歳だが、キングベッドにしよう。
なんか、憧れるよね。
布団は、最上級羽毛。
とりあえず、ここまでにしておこう。
トントン「アリシアお嬢様、おはようございます」
「おはよう、カレン」
「カレンは、大丈夫 ? 」
「はい、おかげさまでゆっくりと休ませていただきました」
「そう、よかった。ビックリしたよね」
「そうでございますね。まさか、このお屋敷であのような事が起きるとは思ってもおりませんでしたので」
「そうだよね。私もビックリしたもの」
「アリシアお嬢様は、大丈夫ですか」
「うん、寝たらスッキリした」
「それはようございました。気を引き締めなくてはなりませんが、あまり無理をするもの悪うございますから」
「お着替えをして、食堂に参りましょう」
「おはようございます。お父様、お母様、お兄様、お姉様」
「おはよう、アリシアちゃん」
「おはよう、アリシア」
「「「おはよう、アリー」」」
「ゆっくり休めたか」
「はい、ぐっすり寝ました」
「そうか、それはよかった。さあ、食事にしよう」
「さて、昨日も話しをしたが、騎士たちへの聞き取り、町の調査が終わるまでは、屋敷から外に出るのは禁止だ」
「屋敷の中で特別にしたいことがあれば、私か母上に言いなさい」
「私はしばらく忙しくなるから、昼食と夕食は一緒にとれないかもしれないからな」
「「「「はい」」」」
「アリシアお嬢様、午前中はいかがなさいますか」
「そうねえ。室内訓練場は使ってもいいんだよね」
「ええ、大丈夫です」
「じゃあ、剣の練習をする」
エアートレーニングだ。
このくらいならば、私室でも出来ると思うが、気分もあるし私室でドタバタしたくないからね。
訓練場に着き、軽くストレッチをしてから始める。
「とおー、やあー !!! 」
気合を入れて訓練する。
2分訓練、2分休憩で3回したら終わり。
三歳には、激しい運動は厳しいのだ。
「お部屋に戻ったらシャワーをあびましょう」
少しの運動でも汗をかくので仕方がない。
「少し、休憩をしましょう。お飲み物は何になさいますか」
「果実水で」
果実水とパウンドケーキが出された。
運動するとお腹がすく。
「この後はどうされますか」
「絵本を読もうかな」
「では、新しい絵本を2.3冊見繕います」
いつものように、最初はカレンに読んでもらい、次は私が音読する。
長編は無理だが、絵本くらいの短編ならば数回読めば暗記できる。
「じゃあ、今度はカレンの本を読んで」
「はい、お任せください」
外出禁止だと、トムさんから投げナイフの訓練を受けられない。
トムさんに屋敷に来てもらって、教えて貰うことは出来るが、忙しいトムさんを呼びつけるのも悪いしなあ。
部屋で一人でも練習できる道具があればいいのだが。
投げナイフだと、ダーツとかいいかも。
でも、先が尖っている物は許可がおりないだろう。
輪っか投げはどうだろう。
ボーリングのピンのような物をたてて置き、そこに輪を投げ入れる。
これならば、危なくないし部屋で扱っても音も出ないしいいだろう。
後は、その投げ輪を床に置いて、そこに何かを投げ入れればいいんじゃない。
石だと危ないし、床も傷がつくよね。
軽くて傷がつかない物か何かあったかな。
ピンポン玉くらいの木のボールか布で作るか。それは相談してみよう。
テレビで時々見かける『ボール投げゲーム』がいいか。
板に大小の穴を空けて、そこにボールを投げ入れる。
これも、投げ方の練習になるはず。
早速、図案を書こう。
サラサラと考えていたゲームを書いていく。
これを昼食時にお母様に見せて、誰かに作ってもらえるようにしよう。
楽しみだなあ。
これで、トムさんみたいに、投げナイフが出来るようになるとカッコいいんじゃない。
「できたあ。どう、カレン」
「まあ、アリシアお嬢様は絵もお上手なんですね。これならば、奥様が見ても分かりやすいです」
「そうかな。早く、お母様に見てもらいたいな」
「お母様、お外で遊べないから、お部屋でも遊べる道具を考えたの」
アリシアが書いた図案を母親に見せる。
「しばらくの間は、我慢させることになるから、ごめんなさいね。では、見せてちょうだい」
「あら、上手に書けた絵ね。アリシアが書いたの」
「そうだよ」
「これは、遊ぶ道具なのね。これも、アリシアが考えたの」
「そう、トムさんみたいに投げナイフの練習がしたかったけれど、危ないから、代わりにこれを考えたの」
「投げ方の練習になると思って」
「まあ、そうなのね。それは素晴らしいわ」
「早速、トムに作らせましょう」
「えっ、トムさん庭のお仕事なのに作れるの」
「そうよ。トムは、とっても器用なの、これくらいならばすぐに作れるわ」
「アリシアちゃん、楽しみに待っていてね」
次の日には、アリシアの図案通りの道具が出来上がっていた。
「はい、アリシアちゃん、道具が出来上がったわよ」
「もう、出来たの」
「そうなの。トムったら、アリシアちゃんが投げナイフの練習代わりに考えた物だと言ったら、喜んですぐに作り始めたのよ」
「よっぽど、嬉しかったのね」
「わあ、ありがとう。後で、トムさんにお礼の手紙を書くね」
「そうしてあげると、トムも喜ぶわ」
早速、部屋に持ち帰り、練習を始める。
投げ輪から始めるが、まず、距離が分からない。
自分の立ち位置と道具を置くまでの距離だ。
近すぎても遠すぎてもダメだ。
何度も繰り返して、ようやく丁度良い距離が分かった。
50cm~1mの間に、ピンを置いて並べた。
幼すぎて、遠くまで飛ばせる力が無かったのだ。
投げナイフは、ほとんどが上から下に向かって、腕を振り下ろすが、これはボール投げで鍛えられるだろう。
投げ輪は、横に投げる形になるが、ナイフでも使える方法だと思う。
その後も、ボール入れにボール投げと楽しんだ。
腕に負荷がかかるといけないので、練習時間は短く済ませた。




