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第7話 事件直後

【父親・母親 side】

「今日は、大変な一日だったな」

「そうですわね。まさか、アリシアちゃんが誘拐されそうになるなんて、思ってもいなかったわ」

「まして、当家の騎士にですからね」

「今まで、騎士たちを疑ったことなど一度もないが、これからはどうしたらいいものか」

「これからも、変わりませんわ。今まで通り騎士たちを信じるしかありませんもの」

「そうだな。そうなんだが、心配になってな」

「こんなことがあれば、仕方ありませんわ」

「騎士全員に聞き取り調査をするから、その間は可哀そうだが、アリシアをいや子供たちは外に出せないな」

「庭に出るのも禁止にしなくては、いけなくなった」

「アリシアは、ガッカリするだろうな」


「それにしても、アリシアは勇敢だったな」

「そうなんです。まだ、三歳だというのにしっかりしています」

「なんだか、最近は大人びているように感じるよ」

「今日なんかも、犯人の騎士や小隊長に説教していたからな」

「まあ、そうなんですの」

「ああ、犯人には俺に相談すれば、悪い人をつかまえて褒美が貰えたかもしれないのに、判断を間違えたとな」

「小隊長たちには、命に代えても守ると言ったら、命を粗末にするなと、這いつくばってでも生きろと」

「まあ、まあ、素晴らしいではないですか」

「そうなんだが、なんだか、三歳らしくはないよな。アイクの時なんかは、もっと赤ちゃん言葉だったように思うが」

「それは、仕方ありませんわよ。アリシアには上に三人も兄妹がいるのですから」

「上の子たちを見ていれば、賢くもなりますよ」

「それに、毎日ではないですが、アイクたちが自分の好きな本をアリシアに読み聞かせしているのです」

「絵本じゃなくて、アイクたちの本をか。アリシアには難しいだろ」

「話しの内容は別になんでもいいんじゃないかしら。あの子たちがアリシアに本を読んであげたいだけなんですから」

「そうか、それもあって、おしゃまなんだな」

「そうそう、下にいくほど、ズル賢くなるものですよ」

「ズル賢いなんて言い方はひどいなぁ」


「アリシアは、トムの投げナイフが気に入ったようで、教えて欲しいと頼んだそうだよ。トムがそう報告してきたよ」

「アリシアちゃんたら、随分とお転婆になったわね」

「そうなんだよ。困ったものだよ。最近では騎士の訓練を見ては、真似て剣の振り方の練習をしているよ」

「はたから見ると、幼子が一生懸命に腕を振っているのが可愛らしくてな。本人は真剣なのに、つい笑ってしまうんだ」

「そうね。トムの畑も好きなようで、お手伝いもしているようだしね」

「ただ、困っているのは、ドレスを着替えるのが嫌みたいなのよね」

「そうなのか。女の子は色んなドレスを着るのがすきなんじゃないのか」

「それは、もっと大きくなってからね。三歳では、着替えるのも疲れるんじゃないかしら」

「カレンに面倒だと駄々をこねるときがあるようなの」

「ハハ、アリシアは活発なのに面倒なことは嫌なのか」

「日に何度も着替えるのは、大人でも大変ですからね。いえ、大人になった方が大変ですわね」

「まあ、でも、これから将来はどう育っていくのか楽しみだわ」

「そうだよ。四人とも病気やケガもなく、育ってくれるのが一番だよ」


「あー、よく寝た」

今は、何時かな。体内時計で確認すると、17時だ。

ちょっと、寝すぎた。

やっぱり、疲れていたのかな。

「アリシアお嬢様、起きられましたか」

「キャサリン、カレンと交代したんだ」

「はい、今日はカレンも疲れたでしょうから」

「夕食は、召し上がれますか」

「そうだね。お腹空いちゃった」

「では、お着替えをして行きましょう」


「お父様、お母様、お待たせしました」

「アリシアちゃん、もう大丈夫なの」

「はい、休んだらスッキリしました」

「そう、良かったわ。でも、夕食は軽めにしなさい」

「分かりました」

「では、皆が揃ったから、夕食にしよう。食後に今日の報告をする」

私の料理だけ、野菜を柔らかく煮込んだスープに魚料理だった。

病気じゃないのだから、平気なのに心配症なんだから。


食後は、皆でサロンに行く。

「今日起った、アリシア誘拐の件だが、まだ調査が始まったばかりで、ほとんど分かっていない」

「なので、今後の調査方針だけを伝えておく」

「まず、この件が解決するまで、お前たちは屋敷から出るのを禁止する。庭や訓練場に行くのもダメだ」

「え~、訓練場に行くのもダメなんですか」

「そうだ。今回は騎士が犯人だったのだから、訓練場に行かせるわけには行かない。分かるな、アイク」

「だから、しばらくの間は、室内訓練場で鍛錬すること。同行する騎士は、これから選別する」

「家庭教師も断ることも考えたが、変な噂がたっても困るので、護衛をつけて受けてもらう」

「先生には、なんて説明するんですか」

「指導の一環として、護衛任務を付けることにしたと説明する」

「推測だが、黒幕は貴族ではなくて、町のゴロツキだと思う」

「他の騎士にも聞いたが、最近町では怪しい賭博場がいくつかあるそうだ」

「恐らく、それらをまとめている奴が黒幕だと思われる」

「誘拐された子供はどうなるのですか」

「これも推測だが、誘拐されるのは子供だけではなく、大人も対象だと思う」

「すでに、行方不明の大人が数名いることが判明している」

「他の貴族に売りつけるか、他国に売られるのだろう」

「あなた、そんな事まで子供に話さなくても」

「私だって、好きで話をしているのではない。子供たちにもそれだけ危険なのだと自覚してもらう為に説明しているのだ」

「今は、屋敷の中だからと安心できない。いいか、しばらくは侍女や護衛は複数で対応する」

「なるべく、顔見知りを付けさせる。知らない顔、数度しか見ていない顔の奴は注意するように」

「そんなに危険なのですか」

「正直分からない。疑えばキリがないしな。犯人は奴だけかもしれないが、他にも誘われた奴がいるかもしれない」

「これから、騎士全員に聞き取りと町の調査もするから、それなりに時間はかかるだろう」

「窮屈な思いをさせるが、理解してくれ」


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