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第2話 三歳の誕生日に覚醒

パチリと目が覚めた。

「知らない天井だ」

一度言ってみたかったセリフ。

気がついたということは、今日が三歳の誕生日か。

92歳から3歳って、どんな感じよ。

まずは、お決まりの手を見る。

たしかに小さい。

幼児の手は、こんなにも小さかったか。

そうだ。顔も見なくては。

鏡、鏡はと。

あった。どれどれ、どんな感じかな。

「お~。すごく可愛いじゃない。金髪に青い眼ですよ」

これって、地球でも人気の条件なんじゃない。

鏡は、地球ほどではないが、それなりには見えるしいいんじゃない。


えーっと、顔も確認したことだし、あとは~。

そうだ。亜空間にある無限収納の中に植物図鑑があるか確認しないと。

無限収納を見るのって、どうするのかな。

頭の中で、無限収納をイメージしてみる。

あっ、なんかあった。

『植物図鑑』と表示された。

これは、収納されている物が表示されるシステムかな。

イメージのまま、取り出してみよう。

手の平に植物図鑑が出てきた。

おー、すごい、すごい。本当に出てきたよ。

分厚い図鑑をペラペラとめくってみる。

五十音順に並んでいる。

写真のような挿絵もあり、詳しく書かれている。

花・葉・茎、根の特徴が書かれ、産地、環境、育て方、採取の時期も細かく書かれている。

植物によっては、地球でもこの世界でも共通する物もある。

分かりやすい、ミントを取り出してみる。

「ミントを出して」

土は無くて根からの状態で出てきた。

葉を良く見て、匂いも嗅いでみる。

間違いなく知っているミントだ。

ミントを誰かに見られたら大変なので、収納してみる。

「収納」

手からスッと消える。

頭の中で無限収納をイメージすると、ミントがちゃんとあった。

今度はミントを取り出してみる。

「ミント」

手の平に出てきた。無限収納をイメージするとミントの表示は無くなっている。

今度は、無詠唱で『ミントを収納』

手の平から消え、無限収納に表示されている。

今度は、触っていなくても収納出来るのか試してみる。

『ミント』

出てきたミントを少し離れたテーブルの上に置く。

ベッドに戻り、『ミントを収納』

テーブルの上から消えて、収納される。

今度は逆に収納されているミントがテーブルの上に出せるかの確認。

テーブルの上をジッと見ながら、『ミント』

ちゃんと、テーブルの上に出てきた。

検証はこれくらいでいいだろう。

ミントを収納しておく。


次は、気配遮断と気配察知の魔法を作る。

同時に幾つも作って大丈夫か分からないので、一つずつにする。

「創造魔法、気配遮断」

頭の中に気配遮断が出来上がった。

これは、どうやって確認すればいいのか。

鏡を見て確認してみよう。

鏡の前に移動して、自分の姿が映っているか確認。

「気配遮断」

一瞬で鏡から姿が消える。

鏡を触ってみると、ちゃんと分かる。

これは、姿が見えなくなっただけで、実際に身体はある。

そうなると、物にぶつかったり、人にぶつかったりしないように注意しなくては。

どうやって戻ればいいのか。

「解除」

良かった。姿が見える。


では、次を作ろう。

頭の中でイメージして、無詠唱にする。

『創造魔法、気配察知』

頭の中に気配察知が出来ている。

気配察知をイメージすると、屋敷の中で人がいるのが分かる。

隣の部屋には、女の子がいるようだ。これは姉かも知れない。

向かいの部屋には、男の子。その隣も男の子だ。

この二人は、きっと兄たちだろう。

もう少し範囲を広くすると下の階で何人か動いている。

これは、朝食の準備をしているのだろう。


ついでに、欲しかった魔法。

なんでも調べられる機能をもった魔法が欲しかった。

『創造魔法、地球とこの世界の全てを調べることが出来る機能を作成』

頭の中に『調べる君』と出てきた。

まんまじゃん。まあ、分かりやすいからいいか。


次は、鑑定魔法。

『調べる君』と同じだとは思うが、鑑定という言い方が好きだから。

『創造魔法、対象物、人をどこまでも調べられる機能の鑑定魔法を作成』

頭のなかに『鑑定魔法』とちゃんとある。

早速、何か鑑定してみよう。


近くにあるテーブルを鑑定する。

『鑑定』

材料 : アリゼア王国ギリス領地コートリン町産 ウォールナット材

製作者 : ヨイフセレム工房エド・ショーン・ディカミロ

製作日 : 1961年2月10日

依頼者 : 父親 ジェシー・ブレイク・スティール


なるほど、父親が作ってくれたのか。

これは、有難い。


自分の鑑定をしてみるか。

ステータスでいいのかな。

『ステータス』

名前 : アリシア・K・スティール スティール辺境伯 次女

生年月日 : アリゼア王国歴1961年5月5日誕生 三歳(享年92歳)

父親 : ジェシー・ブレイク・スティール 25歳

母親 : ヴィッキー・オズボーン・スティール 22歳

長男 : アイク・E・スティール 9歳

長女 : エレノア・クールプール・スティール 7歳

次男 : エリック・メイソン・スティール 5歳

魔力 : 無限

体力 : 無限

属性 : 全属性、風・火・土・水・氷・雷・光・闇

魔法 : (聖魔法)、結界魔法、(創造魔法)、(空間魔法)、薬師、錬金術、(武術)、(社交性)、植物魔法

(特別転生得点 : 精神耐性、毒耐性、呪い無効、記憶力、運動神経抜群、文字の読み書き、言葉、魔法封じ無効、魔力封じ無効、転移封じ無効、魔方陣無効)

※()内は隠ぺい

身長 : 94cm

体重 : 13.5kg

(女神アリーの加護)


うわぁ~。体重まで分かっちゃうの。

でも、女神様、希望通りの魔法やスキルを与えてくれたんだ。嬉しいな。

父親も母親も若い。なにこの年齢。

25歳と22歳で既に四人の子持ち。異世界凄すぎない。

家族のイメージは今まで過ごしたことが頭の中に流れてくるけれど、実際に会うとどんな人たちかだね。

優しい人だといいな。

それに、女神様アリーの加護もある。これは聞いていなかったけれど、転生した人は皆加護されているのかな。


あと、欲しかった魔法は何だっけ。

あー、付与魔法だ。それと器用さも欲しいな。デッサンも上手く書きたいし。

『創造魔法、付与魔法』

『創造魔法、器用』

『創造魔法、デッサン力』

どれどれ、頭の中で確認。凄いなあ。本当に全部あるよ。


今日は、このくらいにしておこう。

覚醒したばかりだし、三歳の身体に影響があってはいけないからね。


トントン「アリシアお嬢様、入ります」

返事を待たずに入ってくる。

これは、マナー違反ではなくて、これからアリシアを起こすので返事を待たないのだ。

「おはよう、カレン」

侍女の名前がすんなり出てきた。バレていないよね。

「おはようございます。アリシアお嬢様」

「今朝は、もう起きていらしたのですか」

「目が覚めたの」

「では、お湯を持って参ります」

室内にあるドアを開けて入っていった。

あそこは、洗面所なのかな。

部屋の中も確認しておくべきだったか。

魔法のことで頭が一杯だったからな。


カレンが温かいお湯を持ってきて、タオルで顔を拭いてくれる。

「では、歯を磨きましょう」

ベッドの上で歯を磨いてくれる。

なんだこれ。至れり尽くせりだな。


「お着替えをしましょう。どのドレスがいいですか」

何枚か見せられたので、一番可愛く見える服にした。

薄いピンクの可愛らしいワンピース。

良かったよ。ドピンクとかじゃなくて。

鏡台の前に行き、小さな椅子に座る。

ポニーテールにしてくれるようだ。

「リボンは、どれになさいますか」

リボンも薄いピンク色にした。ワンピとお揃い。


髪をセットしている間に、カレンを鑑定してみる。

『鑑定』

カレン・ジョー・ショウ 16歳

属性 : 水

魔力 : 30

体力 : 50

身長 : 162cm

体重 : 50kg

罪状 : 無し


あれ、私のステータスとは表示される項目が少ない。

魔力・体力の数値の基準が分からないから、多いのか少ないのか分からないや。

逆に罪状なんて項目が追加されている。

簡易鑑定なのか。

じっくり見れば違うのか。

もしかして、ステータスと鑑定では結果が違うのか。


「アリシアお嬢様、どうかされましたか」

「何でもないよ」

ヤバイ、ジッと見過ぎたかも。

鑑定するのは、またにしよう。


「準備が出来ましたので、食堂に行きましょう」

カレンに手を繋がれて食堂に向かう。

離乳食が完全に終わり、二歳半ごろから家族と一緒に食堂で食べるようになった。

夕食は、バラバラになることもあるので、せめて朝食は家族全員揃って食べたいから、このようになった。

普通は、一人では食べられない年齢のうちは子供部屋で食べるのが当り前らしい。


「おはよう、アリシア」

「おはよう、アリシアちゃん」

「「「おはよう、アリー」

「おはようごじゃいます」

あっ、ちょっとかんだ。

まあ、三歳児ならばこんなものだろう。


カレンに子供用椅子に座らせてもらう。

「今日も可愛いな、私のアリシアは」

「何を言っているんです。僕のアリーですよ」

「兄上、私のアリーです」

「何よぉー。私のアリーよ」

「ふふ、みんなのアリーよ」

「アリシアは人気者だな」


「アリシア、三歳の誕生日、おめでとう」

「「「「おめでとう」」」」

「はい、ありがとうごじゃいます」

あっ、またかんだ。

「誕生日のお祝いは、夕食まで楽しみにとっておこうな」

「は~い」


「では、いただこう」

「「「「いただきます」」」」

「いたじゃきます」


幼児用に小さくカットされた、野菜、スクランブルエッグ、ベーコンをフォークで刺して食べていく。

隣にはカレンが座って、介助してくれる。

この小さな手は思うように動かせない。

なんか、じれったいが仕方がない。


「あら、アリシアちゃん、今日は上手に食べられているわね」

「はい、三歳でしゅから」

「ふふ、そうね。三歳だものね」

口にちゃんと入るように持って行くのが難しい。

だから、時間はかかるがゆっくり丁寧に口に運ぶのだ。

味は、思っていたほど悪くない。

ただ、スープは薄い塩味なのだ。これは改善を要望したいところだ。


食事が終わると、デザートと飲み物が運ばれてくる。

なんと、贅沢な。

デザートは、プリン。

飲み物は、ホットミルク。

プリンは、まあ悪くない程度。

何が違うのか。日本で食べなれている、トロトロプリンやちょっと固めのプリンが懐かしい。

いや、まだ懐かしく感じるほど日にちはたっていないか。

昨日まで日本にいた感覚なのだから。


食べ終わると、ソファーに移動。

また、お茶を飲むようだ。

朝から随分と余裕だな。

私なんて、OL時代は数分で朝食を食べ終えて、急いで出かけたものなのに。

そこの旦那、時間は大丈夫なのか。

それとも、今日が特別な日なのか。


「アリシア、三歳の誕生日には何が欲しい」

「ぬいぐるみか、絵本か」

「あら、可愛らしいドレスがいいんじゃない」

「僕は、もう用意してあるぞ」

「僕も」

「私も」

「おっ、お前たちはもう準備してあるのか。偉いな」

「当然です。アリーの誕生日なんですから。その為にお小遣いをためていたんですから」

「僕も」

「私も」

「みんな、偉いぞ」


「それで、アリシアは何がいいんだ」

「うーんとね。ずーっと、ずーっと、ここのお家にいたいです」

「それは、どうしてかな」

「楽しいから」

「そうか、そうか、アリシアはお嫁さんにはならずに、ずーっとお家にいるんだな」

「はい、そうでしゅ」

「王子様は要らないんだな」

「王子様は嫌いです」

「あらあら、どうして」

「うーんとね。面倒だから」

「ハハハ、王子は面倒か。これはいい。ハハハハハ」

「どこでアリシアちゃんは、そんなことを覚えたのかしら」

「誰かが、お話していた」

一斉にカレンを見る。

「いえいえ、私は存じません」

「大方、他の侍女たちか商人との会話でも聞いたんだろう」

「王子様じゃなければ、お嫁さんになるのか」

「嫌なの。しないの。ずーっとお家で仕事するの」

「ほぉ、何の仕事をするんだい」

「まだ、分からない」

「そうか。そうか。アリシアはお嫁にいかずに、ずーっと父様と一緒にいるんだな」

「そう。ずーっと、とうさまと一緒」

「嬉しいな。父様は嬉しいぞ」

「あなたったら、それはそれで困りますよ」

「いいじゃないか。末娘ぐらいずーっと家にいても」

「僕もずーっとアリーの面倒をみる。大人になってもずーっと」

「偉いぞ。さすがは、長男だ」

いやいや、それって親ばかじゃないんですかねぇ。

それに兄よ。私は小姑になるのは嫌じゃぞ。


そんな馬鹿話をしながら、解散した。

「アリシアお嬢様、これからはどうしますか」

「お外を散歩したい」

「まだ、少し風が冷たいので、お着替えをしましょう」

なんだ、庭に出るだけなのだから、上着を羽織るだけじゃダメなのか。

「なんで着替えるの」

「これは、室内用のドレスだからです」

「このままでいいよ」

「いけません。お散歩用のドレスに着替えましょう」

なんて面倒な。

着替えたけれど、何が違うのかさっばり分からん。


庭に出てみると、綺麗な花が咲き乱れている。

草丈の短い花が多い。

よく手入れされているので、庭師がいるのだろう。

少し歩くとベンチがあった。

ここで休憩が出来る。

「アリシアお嬢様、少しお休みしましょう」

「はい」

まだ、三歳の身体なので、少し歩くだけで疲れてしまう。

これでは、いかん。

部屋でストレッチや体操をして鍛えねば。

カレンが飲み物を用意してくれていた。

「冷たいミルクをどうぞ」

「ありがとう」

ポットのような物からコップに注いでくれた。

もう一人の侍女が持って来たようだ。


「日差しが強くなってきましたので、お帽子をかぶりましょう」

ああ、そうだね。5月ならば熱中症にかかるかも知れないし。

5分ほど歩いてまた休憩。

おかしいな。体力は無限のはずなのに。

これは、まだこの身体に慣れていないからなのか。

まだ、一日目だ。検証を続けよう。


部屋に戻ると、シャワーを浴びた。

「アリシアお嬢様、汗をかきましたから、シャワーを浴びましょう」

はっ、たった数十分歩いただけですが。

「いいよ。このままで」

「いけません。汗をかいていますから、シャワーを浴びてお着替えをしませんと」

朝から何度着替えればいいんだ。

なんて、面倒な時代なんだ。

Tシャツとズボンが懐かしいよ。

なんなら、スエットでもいいのに。


シャワーを浴びたら、眠くなってきた。

ソファーでゴロリとする。

「アリシアお嬢様、お眠いのであればベッドで寝ましょうね」

またも着替えて、寝ることになった。

あ~、面倒だ。


2時間ほど寝た。

また、着替えて飲み物を渡される。

「アリシアお嬢様、果実水です」

「ありがとう」

「カレンは、何度も着替えさせて面倒じゃないの」

「これがお仕事ですから」

立派な心構えだ。


「絵本でも読みましょうか」

「おねがい」

何冊か持ってくる。

カレンが読んでくれるようだ。

ふむふむ、聞いているだけで眠くなりそうだ。

「私が読む」

「大丈夫でございますか」

「カレンが本を持って」

カレンに絵本を持ってもらい、声を出して読み始める。

最初は、よくつかえていたが、慣れてくるとスムーズに読める。

これは、声出しの良い練習になるな。

「アリシアお嬢様、大変お上手です」

「少し休憩にしましょう」


今度は、果実水にクッキーだ。

「カレンは飲まないの」

「私はお仕事中ですから」

「カレンも一緒に休憩しよ」

「いえ、お仕事中ですので」

「カレンは、いつ休憩するの」

「お昼を過ぎたら休憩となります」

ふーん、そうなんだ。それで他の侍女と交代なのかな。


お昼にサンドイッチを食べたら、お昼寝の時間。

また、着替えだ。

こんなに着替えてばかりだと、洗濯が大変じゃないのかな。

今度は、洗濯をしているところを見に行こう。


夕食は、誕生日会だ。

どんな料理が出てくるのか、楽しみだ。


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