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入学 05

「おはようございます。リオン兄上。」

「……おはよう」


廊下の何倍も綺麗な部屋に、細部まで作りこまれた家具が並び、中央に机があった。


「これで全員集まったことだし、1年生も一旦席についてね」


そう言われ、第3王子の隣でぶるぶると震えた手で椅子を引き、座った。


「はい、じゃあ今年度の第1回総会を始めます。僕はゼイン・スタンリー。3年生で一応この会の司会をいつもやってる。じゃあ最初だし順に自己紹介を。」

そう告げるとゼイン様は座り、隣の女性が立った。

「ごきげんよう。ベロニカ・スコットと申します。新たな才能に巡り合えたこと、心から嬉しく思います。何か困ったことがあったら、いつでも頼ってちょうだいね」

一挙手一投足が美しい。長い銀髪を艶めかせながら、綺麗なお顔をこちらに向ける。パっと目が合うと私は驚いて目を背けてしまった。


「それじゃあ次は僕だね。アデル・レッドフォート、2年生。今年は1年生が2人も、王子様に、こんなに可愛い子まで来てくれてうれしいよ。これからたくさんお話しようね」

なんて妖艶で麗しい人なのだろう……。涙のように見えるほくろでさえ、アデル様のアクセサリーのようで、私が混乱の真っ只中にいなければ、ときめいてしまったに違いない。


「ソニア・ヴィリアーズ、同じく2年生よ。今年は1年生が2人だなんて……。正直驚いているけれど、これから一緒に頑張りましょうね。アルストロメリアとして、新しいメンバーを歓迎します」

気品高く、あまりにも美しいお顔に、綺麗な声で緊張がすごい。

ポピーちゃんに会いたい。


「リオンだ。そこのシリルの兄で、2年生。よろしく。」

シリル様のお兄様ということは第2王子様ということだ。

この場に王子様が2人も……。

状況に頭が追い付かず、頭はショート寸前だった。


「シリルです。同じ1年のアルストロメリアがいるなんて、正直気に食わないけど……。よろしくお願いします。」


つ、つぎは私の番である。


「は……っ、あの、えっと、セシル・アヴェーヌと言います。これからよろしくお願いします……」


もう何の自己を紹介していいか分からなかった。


「よし、これで全員の挨拶が済んだことだし、バッジを配るね」

ゼイン様からバッジを頂き、私は、震える手でパチンとバッジをつけた。


「僕たち3年は、これから卒業後就く職業の実習があるから、しばらくは会えなくなると思うけど、これからよろしくね。……ということで、今回はこれにて解散!少し自由時間にするから、各々親睦を深めてね」


◇◇◇


アルストロメリアの顔合わせ、自由時間という名の至極綺麗なお顔拝察タイムの記憶はほぼない。


「セシルちゃん、今度僕と一緒にお茶しない?」

「アデル、あんまりしつこいと嫌われるぞ」

「そうねえ、アデルではなく私とお茶しましょうよ」

「……っ、はい、ぜひ……」


ここまでは覚えているが、その後の2年生3人方の絡みは、目に毒だった。

キラキラキラキラしていて、何が何やら……。


やっと授業が終わり、お昼休みになる。

私はキラキラの大量摂取とクラスメイトの視線で朝からお腹いっぱいだった。


「ポピーちゃん、ごめん、今日はビルと2人でご飯食べてきて……。」

「わかった!ほら、ビル早く行くよ、良い席取られちゃう」

「今行くって!ちょい待ってくれよな~」


2人をヒラヒラと手を振って見送り、私もどこか行こうかと思ったその矢先。


「あっ、いたいた、セシルちゃん!一緒にご飯にしましょう」

ソニア様とアデル様、そして後ろには連れてこられたのかリオン第2王子がいた。


2-3人のクラスメイトはあまりの美貌に気絶し、他の生徒もみな放心状態である。

そして、このメンバーにお昼を誘われて断れる人がいるだろうか。いや、誰もいない。


「ぜひ……!」


私は勢いよく椅子から立ち上がった。



◇◇◇


「ほんとはシリル様も誘おうと思ったんだけどね、見当たらなくて……」

「まあ僕はセシルちゃんがいればそれでいいけど」

「おいアデル、そこは俺の席だ」


お昼ご飯というからてっきり学食に行くのだと考えていた私だったが、向かったのは4階のアルストロメリア専用の部屋だった。なんでも隣はアルストロメリア専用の調理室らしく、王室お抱えのシェフが待機しているということだった。


「セシルちゃんは何がいい?」

隣に座っているアデル様がぐっと肩に手を回して、一緒にメニュー表を覗き込む。心臓が跳ねてメニューどころではなかったが、なんとかそれっぽいランチセットを頼む。

「じゃあ僕もセシルちゃんと同じので。」

そう耳元で囁くアデル様はあまりにも色気が駄々洩れで、心臓に悪い。


緊張のしすぎで味はよく分からなかったけど、最高級の食材をふんだんに使っていることだけはわかった。

「そういえばセシルちゃん、王族以外の1年生でアルストロメリアなんて、本当にすごいわね」

「そうだね、歴史上初めてなんじゃないかな。さっきこっそり1年の先生に聞いてきたんだけどね、筆記試験もすごかったけど、それよりも魔力量がすごかったらしいよ」


……初耳だ。というか、私もさっきマートン先生に聞いたのに何も教えてもらえなかった。

「失礼ですが、その、どうやって試験の結果を聞いたんですか……?」

「僕と仲が良いリネット先生に聞いたんだ。」

「アデルは天然で人たらしなところがあるからな」

「そうね、どこかでトラブルになりそうね。……なってほしいけど」

「ソニア、本音が出ちゃってるよ」

「あら、聞こえてたの?でもまあ、セシルちゃん、アデルに何かされたら私かリオンに相談してね。」


……ソニア様はまだしも、リオン第2王子に相談なんて想像がつかない。


「心に留めておきます。」

「ふふっ。また一緒にご飯食べましょうね」


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