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入学 03


「はあ~。疲れたねぇ~セシル~。」

「ほんと、俺って体動かさないの向いてないみたいだ……」


初授業を終えた2人は、どっと疲れたようでぐったりしている。

私はというと、元々本を読むのが好きだったためか、すでに知っている知識も多くとても楽しんでいた。


「それに比べて、いいよねぇ~王子様は、アルストロメリア確定だし」

そう呟くポピーちゃんの、視線の先にはクラスメイトに囲まれている1人の男の子がいた。


「んーっと、どういうこと?」

と言ってることがわからないのか尋ねるビル。私も同じ疑問を抱いていた。


「あんた、知らないの!?あの方はシリル第3王子で、王族は元から魔力量が半端じゃないからアルストロメリア確定なのよ。」


「そ、そうなのか……」

(そ、そうなんだ……)


己の無知さに恥ずかしくなる。

確かに大変お顔が整っていて、言われてみれば他の王子様方に似ている……気もする。


「私たちは何をどうあがいたってアルストロメリアにはなれないから。今のうちにサインでもらっておこうかしら……」

「お、おれももらっておこうかな……」

「やめなさい、王子様に失礼よ」

「急に裏切るじゃん」


そんな2人の会話にふふっと笑う私に


「っ……!セシル……っ!セシル、今後は笑っちゃだめよ……国が傾くわ……」

「確かに今のは、ちょっとやばいな」


と忠告され、良く分からないが笑ってごまかすと

「く……っ」

とポピーちゃんは机に突っ伏した。


◇◇◇


その日、馬車でお屋敷に帰ると、珍しく義姉のロベリアと出くわした。


「あんた、よくのうのうと私の前に顔を出せるわね。地味でどんくさくて、アヴェーヌ家の恥さらし!どうせ学園でも、居場所なんかないわよ?」

「……」

「まただんまり?まあ、黙るしかないわよね?全部本当で、何1つ言い返す要素ないものね」

「……っ」

「ふん、あんたの顔見てると気分悪くなってきたわ。じゃあ、お先に。」


そう言ってお屋敷に入るロベリアを、私はただ見ることしかできなかった。

悔しい。悔しくてたまらないが、私は今日できた人生で初めてのお友達であるポピーちゃんやビルの顔を思い出し、なんとか落ち込んだ気持ちを立て直した。






「おはよう、セシル!」

「おはよう、ポピーちゃん!」

「おはような~」


入学初日からテスト当日の今日まで、ポピーちゃんとビルと、とっても楽しく学園生活を過ごしている。

お昼休みに一緒に学食を食べたり、放課後一緒に勉強したり。

昨日テスト頑張ろうね記念に、2人にはお揃いのペンをプレゼントした。


そのせいもあってか、私はとっても今日のテストに気合が入っていた。

試験範囲に分からないところは無かったし、たくさん勉強をして、出来ることはやったつもりだ。


「それでは、試験開始!」


マートン先生の合図で私たちは一斉にペンを走らせた。


◇◇◇


「ふい~おわったおわった。ポピー、テストどうだった?」

「うーん、私はまあまあかな。苦手だったところはやっぱり分かんなかったし、全部は埋まってないし」

「俺もそんなとこ。次の魔力量測定にかけるか~」

「そうね、私もギリギリまで草と触れ合うわ」


草の魔法を得意とするポピーちゃんらしい発想である。

実技という名の魔力量測定は、個室に入り、先生が用意してくれた魔力量測定器『にゃぼっと』で測るという。なんでも猫の形をして喋るらしいのだが、記録は彼の体内に刻まれるため、誰も改ざんできないようになっているらしい。一応国宝級のものだ。


「はーい、次の方~。セシル・アヴェーヌさん」

「はっ、はい!」


部屋に入ると、先生が2人、その前には机と……大きい猫がいた。

「はーい、じゃあここに手を入れてね~」

「くっ、口にですか……!」

「大丈夫にゃ。噛んだりしないにゃあ~」


「っ……」

恐る恐る手を入れると、猫ちゃんは

「にゃあ……これは……」

と言いながら目を光らせ、やがてシュパっ!と音をならし止まった。


「……え……」

「これは……」


結果を見て、先生方がざわつき始める。私はなんだか心がざわざわした。

もしかしたら、使える魔法の種類が多いだけで、魔力量は少ないのかもしれない。

確かにいつも試すときはお屋敷ということもあったが、火も水も少ししか出したことがなかった。

テスト結果はクラスの廊下に張り出されるらしく、成績が悪ければロベリアにまた悪口を言われるどころか、クラスからも邪険にされてしまうのではないかと考えると気が気でない。


「あの、もう大丈夫でしょうか……?」

「……っ、あっ、はい、もう退出して大丈夫ですよ~」


退出の際、猫ちゃんをもう一度見たが、あれから動くことはなく、不安は募るばかりだった。



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