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入学 02

「セシルちゃんセシルちゃん!やったぁ、おんなじクラスだよ~!」

「えっ、ほんと??」

「ほんとほんと!私視力2.0だからね、ばっちり見えました!」


そういうポピーは私の手を引き、クラス表の前まで連れて行ってくれる。

「ほ、ほんとだ……!」

「これからたくさん、学校楽しもうね!」

「うん……!」


ポピーちゃんは本当に太陽みたいで、学園で初めて声をかけたのが彼女で良かったと心から思う。


クラスで席についた私は、これからどんな楽しい学園生活が待っているのか、楽しみすぎる……

と期待に胸を膨らませていたのだが。


私が入ってきてから、少しクラスの雰囲気がおかしい気がする。

よーく耳を澄ませると、どうやらコソコソと私のことを話しているようだ。


「ほら見て、あの子、アヴェーヌ家の……」

「ああ、伯爵家に図々しくも居候してるって噂の……」

「はあ、ロベリア様も大変よね」


義姉のロベリアがお茶会で話したのか、私の良くない噂が知らない人にまで広まっているようだ。

噂を聞けば聞くほど、私の幸せな学園生活がガラガラと音を立てて崩れていくようで、

不安でいっぱいになる。


そんな私の様子を見て心配してくれたのか、ポピーちゃんは

「あんなの気にしなくて平気だって!みんなセシルが可愛いから嫉妬してるんだよ~~」

と大きい声で励ましてくれる。


会って少ししか経っていないが、もうポピーちゃんのことが大好きで仕方ない。

第一村人がポピーちゃんで本当に良かった。


「そうだよ!可愛いんだから、もっと自信もちなって!」

といきなり、近くにいた男の子に話しかけられた。

知り合いにこんな男の子、いただろうか。


「……誰よあなた」

「俺?俺はビル!ビル・リガードだ」

「うーんと、ビル?ベル?だかなんか知らないけど、いきなりセシルに話しかけて、もしかして気があるんじゃないでしょうね!」


シャーッっと威嚇するポピーちゃんは、ビルをキッと睨む。

そんなポピーちゃんをものともせず、ビルはそのまま話しかけてくる。


「ねえ、名前セシルって言うの?いい名前じゃん!

気があるとかは、その、あんまし良くわかんないけどさ、仲良くしてくれたらうれしい」

「え、うん、もちろん……!」

「やった!俺、学校楽しみにしてたんだよな~。兄弟とか特にいなくてさ、遊び相手とかいなかったから」


学園生活を楽しみに思うビルの気持ちが私には痛いほど分かる。

私もお屋敷では本を読みながら、友達がここにいたら……なんて想像して、虚しくなっていた。


「……で、そっちのさっきから睨んでくる方は……」

「あっ……!えっと、ごめんね、この子はポピーちゃんって言って、さっき出会ったばかりなんだけどとっても良くしてもらってて……!」

「ポピー・キャメロンよ。私の許可なくセシルに気さくに話しかけて……!セシルは私の一番最初の友達なんだから!」

「ふーん。じゃあさ、俺が2番目でどう?」

「……っ……良いわよ。あなたは見込みがあるわ。これから共にセシルを守っていきましょうね」

「……?おう!」


こうしてポピーとビルの謎の同盟が築かれたのである。



「はーい。席について~」


担任であるマートン先生が来て、みな各々席に着く。


「今年、このクラスの担当になったマートンだ。いきなりだが、今月末にあるテストの話をしたいと思う。この学園が魔法重視の学園であることはみな知っているところだと思うが、カトレア学園のテストは魔法実技と魔法に関する筆記試験となる。魔法実技と言っても、1年生のみなはまだ魔法について未履修であるから、最初のテストは魔力量を測るのみだ。」


私はマートン先生の話を聞き、ホッと胸をなでおろした。

実は魔法の実技テストについて、ある不安があったためだ。


この国では、基本的に全ての人が魔法を使えるのだが、1人で扱える魔法は1-2種類程度に限られる。王宮魔術師でも4種類らしく、5種類以上など聞いたこともないそうだ。


しかし、子供のころから本を読んでは裏庭でひっそりと魔法の練習をしていた私は、ある日気づいてしまったのだ。本のままに練習していただけなのになぜか、この世のほぼ全ての種類の魔法を扱うことが出来た。そしてこの世界では誰も使えないと言われている、治癒魔法までも使えてしまった。

念じれば、炎でも水でも風でも雷でも出せ、草木を育てることもできた。

かすり傷なら手をかざせば治り、熱を引いても念じればあっという間に治った。


ただ、この事実が公になればきっと伯爵に良いように利用されるのは目に見えていた。

そのため私は誰にも喋らず、ここまで黙ってきたのだ。


「えー、そのため、これから月末にかけては魔法知識の授業が主になる。難しいところも多いが、魔法は基本が大事だ。しっかりと勉強するように」


そう前置きし、マートン先生の魔法知識の授業が始まった。


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