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入学 01

「ここが、今日から私が通うカトレア学園……!」


馬車から降りた私は、初めて見る学園に目を奪われていた。

それもそのはず、今日から通うカトレア学園は、王都中の貴族が集う超名門校。

見渡す限り学園の建物が続いており、

普段屋敷から出ない私にとってその光景は圧巻だった。


「今日から沢山お友達を作って、お勉強も頑張って、楽しい学園生活が始まるんだ……!」

と目の前の光景に心が躍る。


幼いころアヴェーヌ伯爵に拾われた私は、娘という肩書きでありながら、

今の今まで、ほとんど誰とも会話をせず過ごしてきていた。


見目の良さから伯爵家に引き取られたらしいが、義母は良い顔をせず、屋敷ではまるで私を空気かのように扱っていた。

義父も義母の手前、下手に私に接触すれば義母の機嫌を損ねてしまうと、ほとんど接触してくることはなかった。


年の近い義姉のロベリアからも、すれ違うたびに

『本当にどんくさくて地味ね』

『あなたなんかこの家にいらないのよ』

と、蔑みの言葉ばかり投げかけられていた。


そんなことは、私が一番よく分かっている。

物心ついたときからアヴェーヌ家にいるが、

いつだって血のつながりがない家族に、どこか疎外感を感じていた。


……でも、だからこそ、このカトレア学園での生活をずーっと夢見てきた。

私にも、友達をつくり、たくさんのことを語り合える幸せな時間がきっと訪れるはず……!


「きゃあっ、見て、アルストロメリアの皆様よ!」

「リオン様~!!」

「アデル様は今日も信じられないくらいお美しいわ……!!」

「ソニア様もお美しい~!!」


ガヤガヤといきなり辺りが騒がしくなり、一瞬で目の前が人でいっぱいになった。


「あの、一体どうしたんですか……??」


そう近くの生徒に声をかけると、くるっと振り返った女の子が頬を赤らめ興奮気味に


「アルストロメリアの皆様がいらっしゃったみたいで、一目見ようとなんとか頑張っているところなんです……!」


と教えてくれた。

『アルストロメリア』について知らない人は、この学園どころか王都にはいない。

カトレア学園の成績上位7名からなるトップオブトップで、

アルストロメリアとして卒業すれば王宮魔術師や騎士団の高官など、

大変輝かしい将来が約束される。

お屋敷で普段本ばかり読んでいた私も、さすがに知っていた。


「私もぜひ一目見てみたい……!」

「そうこなくっちゃ!こっちのほうがすいてるみたいなので、一緒に行きませんか?」

「はい、ぜひ!」


女の子に手を引っ張られる形で、

人の合間を縫って歩いていき、

ようやくアルストロメリアのメンバーを見ることができた。


「……あれがアルストロメリアのみなさま……」


胸にはアルストロメリアの印であるバッジをつけ、

キラキラを振りまきながら歩く美男美女が見える。

黄色い歓声をあげる周囲には目もくれず、歩く姿は同じ人なのか疑問に思うほど美しい。


ぼ~っと見ていると、いつの間にかアルストロメリアの皆様は校内に入られたようで、みな我先にと学園内に向かっていた。


「はぁ……すごくかっこよかった~。あんなに素敵なのに、魔法も勉強もできちゃうなんて、天は二物どころかたくさん与えすぎだよ~」

「そうだね、初めて見たけど凄いキラキラオーラに圧倒されちゃった……」


「うんうん。でもえっと……あ、まだ名前聞いてなかったね!お名前、おしえてもらってもいい?」

「あっ……はい!私は、セシル・アヴェーヌって言います。」


「セシルちゃんか~。とっても可愛いお名前だね。私はポピー。ポピー・キャメロンっていうの。ポピーって呼んでね!」

「ポピーちゃん……!」


早速素敵なお友達が出来そうな予感がして、ワクワクが止まらない。


「うんうん。私とおんなじ1年生だよね?私、セシルと同じクラスになりたいな~。セシル、アルストロメリアの皆様と同じくらい可愛いんだもん!」

「えっ……いやいやいやいやいやそんな……!」

「そんなことあるよ!真っ白い透き通ったお肌に、クリクリのエメラルドの目、ふわふわのブロンドヘア……まるで妖精さんみたい!」


ポピーちゃんのあまりに嬉しすぎる言葉に、私はもごもごと口ごもってしまった。


「でも、私も……!私もポピーちゃんと同じクラスになれたらいいな。とっても楽しそう!」


そう言うと、ポピーちゃんはとても嬉しそうに笑った。


「じゃあさ、一緒にクラス分けの表見に行こう!」

「うん!」


こうして私のドキドキ学園生活は幕を開けたのだ。


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