魔法特訓 06
「ソニア様……!!」
「セシル、大丈夫だ、気を失っているだけだ」
「そうですか……。」
これで私の秘密は全て話したつもりだ。ただ1つ、治癒魔法が使えること以外は。
この治癒魔法はなんとなく_。本当になんとなくだが自分の中にしまっておかなければならないことのような気がした。
「それにしてもすごいな、自分の目で今見たというのに、全く信じられない」
「セシルちゃん、ほんとにすごいね~」
いつの間にか肩に回された手に力が入り、アデル様の顔がぐっと近づいた。
「本気で僕のものにしたくなってきた」
耳元でそう囁かれると、あまりの破壊力に精神を保つのがやっとだった。
「ふふ。プルプルしてて可愛いね。僕に照れてくれてるのかな?」
肩に回されていたアデル様の細くて長くて、それでいて男の人のようにゴツゴツした指が首元を撫でる。
その瞬間、アデル様の手がぱっと私から離れた。
どうやら、リオン様が離してくれたようだ。
「困っているだろう、あまりちょっかいをかけすぎるな」
「ふうん……リオンが、女の子をかばう、ね」
「やっぱりセシルちゃんは面白いね」
「そ、そうですかね……??」
こうしてたくさんの衝撃的事実が飛び交った、アルストロメリア緊急お茶会は幕を閉じたのだった。
◇◇◇
あれから1か月ほど時が流れた。
あの3人は秘密をきちんと守ってくれているので、今日もおかげさまで穏やかな学校生活を送っている。
魔法練習のほうも、日々頑張っているせいか、メキメキ実力が上がっているように思う。
基本的な6種類の魔法に関しては好きな形に、好きな量を調節できるようになった。
あれだけロベリアの件で悔しく恥ずかしい思いをした魔法実技のことを、徐々に好きになってきている。
「ねえねえセシル~!聞いてますか~上の空ってやつですか~!」
「ポピーちゃん!ほんとにごめん!もう一回言ってもらえる?」
「あのね、もうすぐ夏休みでしょ?この3人で、どこかお出かけするのはどうかなって」
「すっごく楽しそう……!」
「じゃあ決まりね!夏休みの後半は私が領地に帰っちゃうから、あとここもダメで、ビルもここがダメだから〜よし、この日に決定!……あ、この日……まあいっか!むしろ嬉しい!」
「……行く場所はさ、俺に任せてよ!連れていきたいところあるんだよな~」
「じゃあビル隊長におまかせしちゃおうかな……?」
「おう!大潮にのったつもりで楽しみにしてろよ~」
「……波に乗ってどこ行くつもり……?」
心の中で惜しいな〜と思いながらも、ビルは頼りがいのあるナイスガイになっていてとても頼もしい。
そういえば、遠い昔にアデル様からも夏休みのお誘いを受けていた気もする。
お誘いについてもう一度確認しておこうと、お昼休み、アルストロメリア専用の部屋をのぞいてみるとリオン様とソニア様しかいなかった。
「お疲れ様です……!あの、アデル様を探していて……!」
「アデルか」
「ごめんねセシルちゃん、アデルは、最近あまり捕まらないのよ」
「そうだな。俺も授業以外あんまり姿を見ていないな」
「前に1度話したときは、そうね……あまり元気がなさそうだったわ」
「そうですか……。すみません、お昼の時間に。私、他をあたってみますね」
「お役に立てなくてごめんなさいね」
「そんなことないです……!」と言いながら部屋を後にする。
アデル様の元気がないなんて、あまり気づいていなかった。
魔法の練習のときも少しスキンシップは激しかったが、いつも通りにしていたと思う。
ただ、アデル様が落ち込んだ時に行くなら。
あそこだと思う。




