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魔法特訓 05

タラ〜と冷や汗がでてくると同時に、ハッと己の思考の浅さに気がついてしまった。

確かになぜ3人で私の魔法練習の話をしないと思ったのだろう。

私なんかがまさかこのキラキラとしたお三方の議題に上がるわけないと高を括っていた……が、山を消し飛ばしてしまった今となっては議題に上がらないわけがないのだった。


「あの……もしなんですけど……使えるって言ったら……どうしますか……?」

「うぅん……これはあくまで持論だけど……王宮魔術師のなかには4種類の魔法が使える人がいると聞いたことがあるわ。リオンだって3種類使えるし。だからその……セシルちゃんがもし、5種類の魔法が使えるとしても、突然変異的なアレであり得る話かなとは思うの」

「そうだね、僕もあまり現実味はないけどない話ではないと思う。セシルちゃんは魔力量もすごいし、元々魔法的に恵まれていると思えば……」

「俺も……そうだな。正直、3種類を扱っている実体験からだが、種類が増えれば増えるほど、考えることも多くなるし、少なからず種類が多いことで体への負担もある。俺が実際4種類で……と考えると頭が痛くなるくらいだ。だが、元から魔力量が大きければ適応もできるんじゃないか……とは思う」


「それで、実際のところどうなのかしら、セシルちゃん」

「私……私は……」


これまでずっと沢山の魔法が使えることはひた隠しにしてきた。

学園に入る前から私が普通とはチガウことは分かっていたし、それでも普通のキラキラ学園生活に憧れていた。

それももう、限界なのかもしれない。と思うと同時に、この3人への強い信頼感も私の後押しとなった。


「……使えます」

「やっぱり!私たちの話がかみ合わなくて、おかしいとは思ってたのよね……」

「ちなみに使えるのは、風魔法、水魔法、草魔法、氷魔法、炎魔法の5つ、かな?」


アデルさんは目を見つめ、優しく聞いてくれる。

私もその目を信じたいと思った。


「全部、です」

「全部?」

「はい」

「それってつまりさっきあげた5種類以外にも、例えば雷魔法も使えるということかしら?6種類??」

ソニア様は困っているようだったが、私もどう伝えるのが正解か分からなかった。


「……セシル、ゆっくりでいいからもっと詳しく説明できるか?」

「……はい。その前に1つだけお願いを聞いていただけますか。」

「もちろん」

「ここで私が話すことはこの4人の間での秘密としていただきたいのです。」


信頼しているからこそ、話せることだった。

その信頼は、人として、そして優れた魔法使いとして。


一度ポピーちゃんとビルにもこのことを話そうとしたことがある。

授業の実技で、花に水をやろうとしたら、間違えて凍らせてしまったのだ。

ポピーちゃんとビルには2種類も魔法を使えるなんてすごいね!と言われ、心が痛んだ。

もちろん2人のことは心から信頼していて、大好きな友達だ。

しかし、何かの拍子で私の秘密がバレてしまったら、きっと国を挙げての大ごとになるだろう。

先日のロベリアの騒動のこともあり、この2人には絶対巻き込まれてほしくなかった。


だが、ここにいる3人はアルストロメリア。

この国でTOPの実力を誇る魔法使いである。生半可な敵では相手にもならないだろう。

その信頼もあり、話せる、ということだ。


「いいわ。セシルちゃんにも何か理由があるのよね。大体は察することができるし、そうね……私たち3人に話をしようとしてくれてありがとう」


ソニア様は私の頭をよしよししてくれた。


「ではえっと……。そうですね、先ほども話されていた通り、この国で発見されている風魔法、水魔法、草魔法、氷魔法、炎魔法、雷魔法の6種類の魔法を私は使うことができます」

「5じゃなくて6種類……!?そんなことがありえるの……??あまりにも超越した話すぎて、現実味がないわね。」

「ソニア様」


ソニア様のほうに体を向けると、少しソニア様はたじろいだ。


「な、なにかしらセシルちゃん……」

「他にも土魔法なども使えます。」


そう言って私は窓際の鉢植えにあった敷石を組み合わせ、簡単なゴーレムを作った。

この子はよくこっそりお屋敷で作っていた、私の小さいお友達である。


「……っ」


ゴンっ

隣で鈍い音が響き渡った。


「だ、大丈夫ですかソニア様……!」

「セシルちゃん大丈夫だよ、ソニアは今6種類の魔法に加え、この国でまだ誰も使えない土魔法という7種類目に遭遇して脳がパンクしてるだけだから」

「解説ありがとうアデル……きちんと情報を処理したいのに脳がついていかないわ……」


「すみません、ソニア様」

「な、何かしらセシルちゃん……?」


「他にもこのように重力魔法や、変身魔法、まだ短い距離でしか成功したことがないのですが転移魔法、またこのようにポケットの中身を大きくする空間魔法なども使えます。」


そう説明しながら私は、物をふよふよ浮遊させたり、ティースプーンをクッキーに変えたり、いきなりアデル様の隣に出現したり、自分の制服のポケットに花束を入れたりしてみせた。


想像をはるかに超える事実だったのか、数秒ぼーっと私を眺めた後、ソニア様はそのまま気絶してしまった。


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