魔法特訓 01
あの事件からというもの、アルストロメリアの二年生3人とは、とても仲良くなった。
特にリオン王子がよく話しかけてくれるようになった気がする。
「セシルちゃん、あれから何か嫌がらせとかされてない?」
「いや全然、むしろなんだかみんなが優しくしてくれていて……」
あの日、お姫様だっこで私を抱えていたリオン王子を見た数名が、
『アルストロメリアのリオン王子とセシルはとても親しい間柄である』
という噂をひそひそと流したらしく、王子を敵にしたくないのか、今まで私に冷たく当たっていた者たちも今では普通に挨拶をしてくるようになった。噂に踊らされ、冷たくしたり、親しくしたりと難しい世の中だなと思ったりもした。
「アルストロメリアのメンバーとして、生徒に尊敬されるのはいいことだね」
「そういう感じなんでしょうか……?」
「そういえば今日は、セシルから集まってほしいと言われたな。要件はなんだ。」
そうなのだ。私は今日、初めてお三方をお茶会に誘ったのだ。
断られるかもしれないと、恐る恐る招待したのだが、
「セシルちゃんから誘ってくれるなんて……!最高級の茶葉を今すぐ用意するわね」
「僕たち3人にセシルちゃんからお茶会のお誘いか〜。もちろん喜んで参加させてもらうけど、今度は2人っきりがいいな」
「お茶会か?放課後なら空けられる。」
と大変快く受け入れていただいた。ちなみにリオン王子は朝の誘いのあと、シェフに甘いものをたくさん用意させたようで、今日のお茶会はなんだかアフタヌーンティーパーティーである。
「あのお三方に折り入ってお願いがありまして……
私に、魔法の稽古をつけていただきたいのです!」
「稽古?稽古というのは実践的な魔法の訓練ということか?」
「そうです。私は魔力量が多いにも関わらず、コントロールが出来ず宝の持ち腐れになってしまっています。いつか3人のように強くなり、お役に立てるように、おこがましいのですがお力をお借りしたく_」
「いいぞ」
「そうですよね、ご多忙なのは承知の上で、でもそれでも__……ん?」
「放課後、魔法の稽古に付き合えばいいのだな」
「そうなんですが、ご負担にはなりませんか?」
「それぐらい大丈夫だ、なあアデル、ソニア」
「私たちも大丈夫ですわ。
ただ、3人ともまとまった時間が取りづらいので、日で交代制でもいいかしら」
「もちろんです……!ありがとうございます……!」
願ってもない提案だった。
「それじゃあ、私、アデル、リオンの順で明日から頑張りましょうね。セシルちゃん。」
「はい!がんばります!」
◇◇◇
次の日の放課後。これから魔法実技の練習が多くなるからと、ポピーちゃんには放課後の勉強会を少しお休みする旨を伝え、ソニア様に指定された場所に向かっていた。
指定された場所は……アルストロメリア専用の部屋?
いや同じ4階だが、いつもとは違う道を通り奥まで進むと、屋内闘技場のような場所があった。
「セシルちゃん、待ってたわよ!このお部屋、魔法大会の日以外、今年全ての日で貸し切ったから好きに使ってね!」
「……???」
スケールがとても大きくてついていけないが、私から提案したにも関わらず、場所を作ってくださったソニア様には感謝しかなかった。
「ソニア様、ありがとうございます!精一杯頑張ります!」
「セシルちゃん、その笑顔、絶やさないでね……ゴフっ」
何かにダメージを食らったようなソニア様に若干心配はあるが、「大丈夫よ」と言われ、早速魔法練習に入ることになった。
ソニア様は水魔法と風魔法の使い手である。
一見水と風と聞くと、とても穏やかそうに感じるのだが、一度技を見せてもらってからはそのイメージが一変した。
水は糸のように形状を変え、身体をズタズタに裂く弾丸となり、風は薄い刃のように鋭くあらゆるものを切り刻むそれはもう本当に怖いものだった。
「あらセシルちゃんも、風と水魔法が使えるのね!なかなかない組み合わせだし、一緒だなんてとてもうれしいわ!」
ソニア様の言葉にちくりと心が痛むが、それでもアルストロメリアとして強くなるために、私の魔法のことは先生にも言っていないし、一旦内緒にして頑張ると決めたのだ。
いつかアルストロメリアのためになると信じ、教えを乞う。




