表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

暖気

田舎道を車で走行中、やけに身体が寒くなってきた。これから山道を通って帰宅するためには、まだ2時間以上かかりそうである。


「温かいものが飲みたいし、トイレにも行っておきたいなあ。」


ちょうど山に入る手前の場所にコンビニがあった。


「お、フードコートみたいなのもある。」


東京のコンビニでは見かけない、ちょっとした飲食スペースが店内に見えた。慣れない土地を長く走るということもあり、コンビニ内で少し休むことにした。

車の外に出て、驚いた。


「う、寒すぎ!」


車内も冷えるわけだ。雪でも降りそうなくらいに、外はキンキンだ。

一方で、コンビニの店内の温かいこと。ホットコーヒーと肉まんを買い、フードコートに向かう。ペロッと平らげた後に、急な睡魔に襲われた。


「まあ、少しくらい大丈夫か・・・。」


机に突っ伏すようにして、少し仮眠をとることにした。


―――――


「おにいさん、おにいさん!」


誰かが肩をトントンたたいている。


「おにいさん、起きて!」


それはおばあちゃんの店員だった。


「あ・・・はい。すいません。」

「いえいえ、別にいいんだけどね。もう3時間はここにいるから心配になっちゃって。」

「3時間・・・そんなに・・・。」


アラームをかけておけばよかったと、今更後悔するが、当然のことながら後の祭りだ。


「おにいさんはこの辺の人?」

「いえ・・・仕事の用事でこちらに来たもので。」

「・・・だと思った。だったら尚更に早く帰った方がいいですよ。・・・本降りになる前に。」

「・・・本降り?」


窓の外を見ると、白くてふわふわしたものがチラチラと舞っていた。


「うわ・・・雪だ。久しぶりに見たなあ。・・・ってそんなこと言っている場合じゃないか。すいません、失礼します。ご心配、ありがとうございました!」


急いで支度をして車へ向かう。


「明日の仕事のこともあるし、早く帰らないとな。」


エンジンをかけて、急いで帰宅しようとするが・・・。


「あれ、前が見えないんだけど。」


フロントガラスが真っ白に曇って、何も見えない。


「どうしよう、危なすぎる。・・・ひらめいた。ウォッシャー液とワイパーで曇りを取り除けば・・・。」


しかし、これが逆効果だった。


「こ、凍るんだけど・・・。」


フロントガラスだけでない。頭の中も真っ白だ。

落ち着いて、スマートフォンで対策を調べる。なるほど、デフロスターというものを使えばいいらしい。


「お、だんだんと前が見えてきた。」


普段使わない機能である。いや、今まで一度も使ったことのない機能である。こんな情報をすぐに知れるのだから、文明の利器はありがたいものである。

曇りが取れてから、急いで車を山道へと走らせた。


―――――


山道を走れば走るほど、辺りの景色は真っ白になっていった。降る雪が激しさを増している。

周りも走行速度を落としており、数珠繋ぎの状態になっていた。


「おっと・・・。」


長い坂道を走行中のところである。ついに、止まってしまった。車一台一台のランプが坂の上まで続いており、赤い2本線になっている。そして、全く動かない。


「この状況で事故かよ・・・。このタイミングで!くそ!どんな初心者だよ!全く!」


ボンネットに積もる雪のように、イライラが蓄積していく。当然追い越すことはできないし、後ろに引き返すこともできない。身動きが、取れない。


「お、少し動いた。」


体感、一時間は経過したような気がする。ようやっと、前方の車が動き出した。


「よし、これでようやっと家に帰れる。」


サイドブレーキを下ろし、ブレーキから、アクセルへと右足を移し、思いっきり踏み込んだ。


『ブウウウウン』


タイヤの回転音が聞こえるが・・・車は一瞬後退した。

慌てて再度、ブレーキを踏む。


「あっぶねええええ。スリップしちゃったよ・・・。」


ルームミラーから見える、後続車の運転手の顔。驚きで、目がまんまるだった。

ただでさえ車間距離が短い状態。あと1mでも後退したら、衝突事故になるのは明白だった。

落ち着いて、もう一度アクセルを踏もうとした時、俺は分かってしまった。




「・・・この車、ノーマルタイヤだ。」

読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ