標本の値段
「このヘラクレス・リッキーの標本は10000円もして買ったんだ。」
友人が指差すのは、あの有名なヘラクレスオオカブトだ。
「そんなにするんだ!じゃあ、こっちのもっとサイズの大きい方は、さらに値段が高いわけね。」
「いや、それは違ってね。こっちは5000円くらいで買える。」
「え、こっちのが角が立派で格好良いのに・・・なんで?」
「確かにこっちの方が大きいけど・・・飼育品だからね。こっちの高い方は、野外品。つまりは、外で捕まえた個体の標本な訳。」
友人は標本箱を開けると、虫ピンごとヘラクレスを取って裏側を見せてくれた。
「針の下の方に小さな紙がついているでしょ?これをデータラベルっていって、これがないと標本じゃなくて、ただの死骸と言われてしまうくらい重要なものなんだ。
採集した日付や産地が書いてあって・・・ほら、この個体はコロンビアで採集されたものなんだ。」
「なるほど・・・データラベルを見れば、どこで採れた虫かが分かるんだ。」
「そう。外国だと大雑把に国名単位で書かれることが多いんだけど、日本で採集された昆虫は、さらに細かく書かれることが多くてね。〇〇県〇〇市〇〇町とか。例えば、去年採集された、この野外品のオオクワガタの標本は20000円で買ったんだ。」
「これが20000円もするの!?」
「今だとそもそも採れる場所が少ないからね。」
「それでも高すぎない?」
「まあ、そうだけど。でもさ、ほら。この個体もデータラベルが付いているからさ。つまり・・・分かるかな?」




