人を選ぶデザート
学校の近くに新しくレストランが出来た。
チェーン店ではなさそうだ。ひとりでは怖いため、サークルの友達ふたりと一緒に行くことにした。
店内はお洒落だった。しかし、ランチタイムにも関わらず、お客が自分たち以外には誰もいない。
「いらっしゃいませ。3人ですか?」
お店の人が奥から出てくる。
「はい。」
「テーブルかカウンターどちらがよろしいですか?」
「じゃあ・・・テーブルで。」
「こちらへどうぞ。」
私たちは奥のテーブルに案内された。
「本日のランチコースはコチラになります。」
まさかのコースメニュー。
そういうお店には縁がほとんどなかったため、驚きのあまり、友達と顔を見合わせる。
店員は、そんな私たちをさらに不安にさせることを最後に言った。
「また、一部料理はお客様を選びますのでご注意ください。」
「え、アレルギーとかですか?」
「そうですね。そういったものに近いかもしれません。しかし、アレルギーと異なるのは明確な区別がつかないとこなので・・・すいませんが、お客様の自己責任になります。該当の品を召し上がる前に、事前にお伝えいたしますので・・・。」
店員はお辞儀をして去っていった。
「あの人が言っていたことってどういう意味だろう?」
「良く分からないね。てか、そもそもお金大丈夫?ランチにしては値段結構するよね?」
「ちょうどお金入ったところだから、大丈夫。」
「あ。財布家に置いてきちゃった。」
「もう、エヌくんったら何でいつも大事なもの忘れるの?」
「・・・ごめん。今度会った時に払うから。」
2人に謝罪しているところ、最初の料理が運ばれてくるのだった。
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出てきたイタリアン的な料理はどれも美味しく、特に違和感のないものだった。
しかし、最後のデザートになった際に、店主が不穏なことを言った。
「こちらのデザート、食べる人を選びます。」
運ばれてきたのは温かいコーヒーとバニラアイスだった。
「大丈夫な方は、こちらのアイスにコーヒーをかけてお召し上がりください。しかし、無理そうな方は別々にお召し上がりください。なので、最初は少しだけかけてお召し上がりいただくことを大変お勧めいたします。」
店主はお辞儀をして去っていった。」
「これ・・・だけ?」
「アイスと、コーヒー。」
「まあ、大丈夫・・・だよな?」
俺は、コーヒーをバニラアイスにぶっかけた。
「ちょっと、エヌ君さあ。店員さんの話聞いていた?」
「だって、ふつうのバニラアイスにコーヒーをかけただけじゃん。」
全く気にしないまま、そのデザートを一口食べた。
「美味しいけどな・・・。・・・んん?」
急にお腹が痛くなった。
「ごめん、ちょっとトイレに行ってくる。すいません、お手洗いはどちらに?」
店主はそんな俺の姿を見てあきれた顔をした。
「だから注意いたしましたのに・・・。責任は負えませんからね。お手洗いは、そちらの角に。」
早歩きでトイレに向かう後ろから、友人と店主の会話が聞こえてきた。
「私たちは食べても大丈夫なのですが・・・これは何なのですか?合わせちゃうと人によっては食べられなくなるんですか?」
「・・・はい。バニラアイスにコーヒーをかけることで『アホガード(Affogato)』が完成するので。」




