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【1章完結】過去と未来を視ながら君を助ける  作者: 川島由嗣
1章 好きな子が死んでしまう!!
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第4話 下準備

数ある作品から本作品を見ていただき本当にありがとうございます。

初連載作品です。

よろしければ読んでいただければ幸いです。

工藤さんは車で迎えに来た執事と一緒に帰っていった。見づらかったが、無事に執事を見て『履歴書』をストックすることができた。これであの執事の情報を収集することができる。未来を見るのを止める。

「おっと。」

「すまん・・。」

 力が抜けて崩れ落ちた俺を健吾が受け止めてくれた。礼を言って立ち上がる。


「大丈夫か?」

「・・・・ああ。執事の『履歴書』をストックすることはできた。だが、これからだ。できる限り情報をとって、最善の未来を見つけて、その通りに行動しないといけない。」

「俺にできることはあるか?」

「今日と同じように明日も俺の目になってもいたい。未来を変えるためには健吾の力が必要だ。頼む。」

「了解だ。とりあえず今日のところは帰ろうか。」

 2人で頷きあい、帰宅の準備をして学園をでる。帰宅途中、健吾が何かを思いついたのかこちらを見た。


「そういえば、詩織から協力を得られない未来はあったのか?」

「勿論。ぎりぎりだったけど、協力を取り付けられる未来を見つけられた。ほとんどの未来は拒否されていたよ。」

「え!?あいつが拒否する場合があったのか。」

「ああ。健吾が随時俺の援護をしてもらわなかったら断られていた。」

「へ~。じゃあ危なかったんだな。」

「健吾がいきなり電話かけたんだからな。」

 あの時は肝が冷えた。今まで時間制限付きで未来を固定させたことはなかった。断られたら何もできなかっただろう。思わず恨みがましい目で健吾を見る。 


「悪かったって。でも帰る前みたいだったから結果オーライだっただろ。」

「まあな。健吾がいなかったらそもそも話すらできなかったし。」

 そもそも工藤さんと俺はほぼ接点がない。そんな中あんな話を聞かされたらストーカーと思うのが普通だろう。実際未来を視ているというのはストーカーと変わりはないし。


「そういや、未来を見つけた時ってどう動いているんだ?大まかなもので後は記憶を頼りにするのか?」

「そんな危ないことするか。自分の行動を決めたらそれを固定化して、その未来を片方で視つつ、自分の言っていることをトレースする感じかな。」

「え!?じゃあ未来を見ながら、話しているのか!?」

「ああ。訓練した。わかりやすく言うと、台本を読みながら話している感じかな。といっても言葉だけじゃだめだ。身振り手振りや表情もトレースしなければいけないからな。」

「それって・・・。」

「あ、ここでお別れだ。また明日な。」

 ちょうど健吾と別れる道までついた。手を振って自分の帰り道に歩きだす。


「あ・・・ああ。」

 健吾は呆然とした顔で立ち尽くしていた。俺はそれに気づかないふりをしながら自宅への道を歩き続けた。


「それって、まるで『時間』の奴隷じゃないか・・・。」


 健吾の呟きは聞こえないふりをした。

 帰宅後、寝る前にストックした執事の『履歴書』をとりだし、執事の過去の洗い出しから始める。本来寝る時間で未来を視れば未来が変動する可能性が減る。だが時間が勝負だ。明日に全ての決着をつけるようにするために、今日中に明日一日の行動を全て固定化する必要がある。俺は横になりながら執事の情報収集と未来の固定化を始めた。

 だが、未来の固定化は困難を極めた。情報を得ることはある程度できた。だが、まず未来の固定化をできるのは一日先までだ。つまり一日のうちに工藤さんの安全を脅かすもの全てを排除する必要がある。だが未来を視ていると、執事を撃退してもそれだけでは終わらないことが分かってしまった。この件は俺が思った以上に闇が深かった。


「くそっ!!」

 自分に喝を入れ、何度も未来を行ったり来たりしながら未来を辿る。工藤さんを助けると決めたのだ。明後日の事を今は考えるな。明日を無事終わらせることだけを考えろ。夜が更けていく中で必死に未来を視続けた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「終わった・・・・。」

 気が付いたら朝だった。結局ほぼ睡眠はとれずに未来を視続けることになった。だがそのかいあって何とか今日一日の未来の固定化は出来た。だがこれで終わりではない。今度はこれを維持しながら辿らなければいけないのだ。昼休みに仮眠をとってそれで耐えるしかないだろう。顔を洗い、力を振り絞り学校に行くと、工藤さんはすでに登校していた。まず、工藤さんに近づき声を掛ける。


「工藤さん。おはよう。」

「!!時見君。おはよう。・・・・・大丈夫?」

 俺の様子がおかしいことに気づいたのだろう。心配そうにこちらを見ている。俺は両手で頬を叩き、頷いた。


「大丈夫。心配かけてごめんね。」

「そう・・・。ならいいんだけど。」

「早速で悪いんだけど、今日健吾と一緒に工藤さん家に行っていいかな?今日けりをつける。」

「!!う・・・うん。大丈夫。家に連絡しておくね。」

「お願い。後2つ程お願いがあるんだけど・・・。」

 工藤さんに2つのお願いをする。それを聞いた工藤さんは首をかしげつつも頷いた。


「多分大丈夫。こっちも連絡しておくね。」

「申し訳ないけどお願い。」

 話をしていると、健吾が登校してきた。健吾にも付き合ってもらわないといけない。健吾のもとに行き、話しかける。


「健吾。今日けりをつける。申し訳ないが付き合ってくれ。」

「それはいいが・・・。大丈夫か?顔色悪いぞ。」

 片方で未来を視つつ、もう片方で現実を過ごしている。かなり脳に負担がかかるがやり遂げなければいけない。

「大丈夫・・・とは言いづらいが、ここが踏ん張りどころだからな。工藤さんを助けるために頑張るよ。」

 空元気で笑う。健吾は心配そうにしていたが、気づかないふりをして自分の席に戻った。授業中は、昨日確定させた未来を再トレースしつつ、自分の行動を再度頭に叩き込んだ。言葉だけではいけないのだ。身振り手振りもトレースしなければいけない。

読んでいただきありがとうございました。

他にも短編を投稿しておりますので、よろしければ読んでいただければ幸いです。

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