P3 能力
さ し す せ そ
廃工場に着いた。なんかとても禍々しいオーラがでていた。
「ここが、厄介な極魔がいる廃工場か…」
「ああ、そうだ」
「なんか、禍々しいっすね」
俊樹が、俺の思ってたことを言った。
「確かに禍々しいよな、ここ」
「まぁ、でも廃工場なだけあって人がいないから戦いやすそうっすね。」
「まぁ、そうかもな」
そうして、廃工場の中へ入った。
「中も、凄い迫力あるな。」
「しかも、凄い広いねー」
「確かに広いな…じゃあこれから二手に分かれて、極魔を探すぞ。」
(まじかよ…二手に分かれるの?こんな怖い場所で?)
「じゃあ、こっちは俺と薫と俊樹で」
「じゃあこっちは、私と真田だねー」
「ああ、じゃあどちらかが極魔を見つけたら何かしらの合図を出そう」
「わかった」
「じゃあ、後でな!」
そう言って、二手に分かれて捜索を始めた。
「ここ、まじでやばくない?なんか倒壊しそうだし…。」
「あらら?怖いの薫くーん」
なんでコイツは、こんなテンションが高いんだよ
「怖いのは、当たり前だろ」
「あっ、マジで怖い感じ?」
コイツは、怖くないのかよ…地味にコイツって凄いよな
「おい俊樹、そんなこと言ってないでお前も極魔を探せ。」
「はい、すんません」
俊樹も、ちゃんと極魔を探し始めた。
そうしてこっち側の一階はすべて見終わったが何もなく俺たちは二階へ向かった。
〈一方その頃〉
「この部屋にもいねぇ、ったくどこにいんだよ」
「それは、わからないねー」
「もう、あっちで見つかったりしてないかな」
「合図がないから多分ないねー」
「確かにそうだな…てか一階もうこの部屋しかないじゃん」
「えー、まじでー」
「ああ、じゃあいくぞ」
【扉を開ける】
「……何もいないな」
「うん、そうだね…じゃあ一階には、いないってことか…」
「二階行くか…」
[スゥー]
「!?なんだ?…今何か通らなかったか?」
「いや別に」
「気のせいか…いやでも」
[バァッ!!]
「何ッ!」
ズドーン
「だいじょぶ?見事にコケたね」
「いや、コケたわけじゃない…何かに押されたんだ。」
「いやいや、何いってんの?頭打っておかしくなった?何もいないじゃん。」
確かに僕は、押された感覚があった…。
「まあいい、今は極魔探しだ。」
「おっけー」
「じゃあ、まずこっちの部屋だな。」
〈その頃薫たちは…〉
「一体どうなってる!ここにもいないぞ」
「本当にいるのか?」
「確かにいると思う、反応はあるんだ」
[シュバッ]
「ん…なんかいた?」
「いや、別に」
「俺も、見てない」
「いや別に俺も見てないよ、でも気配がした気がする」
「気配?すまんが俺は感じられなかった。」
「俺もだ」
「気のせいかな?まぁいいかでは、気を取り直して引き続き行きましょう!」
「ああ、そうだな。」
[ドゴッ]
「痛っ、誰だよ!」
「はぁ、何言ってるんだよ薫」
「そうだよ、誰もお前にぶつかってすらいないぞ」
「まじで?壮も俊樹も?」
二人とも無言でうなづく。
「じゃあ誰が?…」
確かに俺は、誰かに蹴られた…気のせいとかじゃなく本当にな。でもその場にいた俊樹と壮は、誰も蹴っては、ないという…どういう事だ?まさか俺たちの他に何かがいるのか?
「なぁ壮、今回の目的の極魔の能力はなんだ?」
「極魔の能力?すまんそれがわからない。」
「わかんないの?」
「ああ、大まかな居場所などは探知できても、能力などを知る事は出来ないんだ。」
「でもよー薫、確か先生は"厄介な極魔"って言ってなかった?つまり普通の極魔じゃないんだろ。てことは、もしかしたらもう極魔の攻撃は始まってるかもよ?」
「どうゆうこと?」
「厄介だろ、なら透明化とかもありえるだろ」
「確かにそうかもな、透明化などの能力を使えるなら薫に攻撃をすることもできるな。」
「確かに辻褄があうな。でもそれじゃあ、どこにいるか分からないし攻撃もできなくないか?」
「それが先生の言ってた厄介なとこだな。本当に敵が透明化能力を持っているなら本当に厄介だな…どうすっかな…」
本当にやばい状況だった。なぜなら俺たちの中に透明化能力に対抗できる能力を持っているやつはいないからな。
俺たちは、戦いやすそうな工場の物置へ向かった。
そこで、合図を出した。
しばらくして麗花と真田が合流した。
「合図があったから見つかったと思っていたのにどこにもいなくない?」
二人は、疑問に思ってるようだった。
まぁ、無理もないよな…だって合図を出したのに目の前に探しているはずの極魔がいないからな。
壮は、さっきの考えを麗花と真田に話した。
「つまり厄介な、極魔って透明化能力を持った奴のことなのか。」
「つまり、さっき真田がいきなり階段から落ちてた時に押されたって言ってたのも相手が透明ならバレずに押すこともできるから説明がつくね。」
「で、どうすんだ?ここでこう話してても、どうしようもないだろ。」
確かに俺たちの目標は、今見の前にいるかすらわからない…なんせ透明だからな。
[スゥーッッ]
「!?」
「今、なんかいただろ」
「ああ、奴はこの部屋にいる。」
「早く姿を現せよ!」
その時、ある声が聞こえた。
「ああ、そうだね」
そこには、一人の人間?が立っていた。
「僕はペアレンシー、君たちが探していた極魔だよ。」
言葉を喋る極魔だと…どういう事なんだ?
「お前極魔なのか?」
「ああ、そうだよ。でなんの用事なんだい?」
「用事?お前を倒しに来たんだよ!」
「倒しに来た?なぜだい、特に君たちに迷惑をかけたわけでもないじゃないか。」
確かに、俺たちは何故こいつを倒そうとしているんだ…依頼だからか?
「お前じゃ話が通じない、とにかくお前を倒す」
「話が通じないのは、どっちだよ。」
俊樹が、ペアレンシーに斬りかかっが軽くかわされた
「あっぶな、君は本当に話が通じない危険なやつだね。」
「うるせぇぇぇ」
また俊樹は、ペアレンシーへ向かっていく。
「だから人間は…」
ペアレンシーの姿が消えた。
「どこ行きやがったぁぁぁぁ」
「ここだよ」
ペアレンシーの声が聞こえた、だがどこにも見当たらない。
[ザァァァァン]
「グッ!!」
俊樹は、背後から斬られた。
「おい俊樹大丈夫か?」
「ああ、なんとかな…。それより、あいつはどこだ?」
「まだ気づかないかい?君の後ろだよ」
奴は、俊樹と真田の背後にいやがった。
「僕は今、君を殺すことができるよ。」
「てめぇぇぇ!」
真田が、ペアレンシーに仕掛けた。
「だ・か・ら!君たちは、僕には敵わないんだよ。」
「言わせておけば!くらえ!グランド・アイアン」
大きな鉄の塊がプラズマをたてながら生成され、ペアレンシーへ向かっていく。
「ふふ、残念当たらないんだな!」
「なにー!」
真田の渾身の一撃は、ペアレンシーには当たらなかった。
「どれだけ強力な技でも、当たらなければ意味がないんだよ!」
「お前は避けられるかな?僕の技」
ペアレンシーが手を広げ叫んだ
「スラッシュビート」
響き渡るリズムに合わせてあたりを切り刻んでいく
部屋の壁を発泡スチロールのように崩壊させるような強力な攻撃だ。
「このままだとやばいな…」
「それは、わかってるよ!でもどうするの?」
俺たちは、奴の攻撃から身を守ることで精一杯だった。
「薫、逃げろぉぉぉぉ!」
突然壮が叫び、俺は横を見た。
「アッ…」
その時、俺の方へ斬撃が飛んできていた。逃げるにももう間に合わない、それで俺は確信した…もうだめだと。
斬撃が飛んでくる前、無意識に目を閉じて無駄な力を抜き身を守る姿勢をとった。
「ふふ、生きるのを諦めたか、所詮お前は俺に勝てない、俺に挑んだ時点でお前の死は、決まっていたんだよ。」
スラッシュビートの斬撃が俺に直撃した。
(俺は、死んだのか…?)目を開いた。
だが俺の目の前には、啞然としているペアレンシーが立っていた。
「なぜ、僕の技をモロに食らって無事なんだ!?」
俺は、何故か多少の傷ができただけで、ほぼ無事だった。
「何故無事なのかは俺にも分からないが、これだけは分かる、今の俺はお前を倒せるって事をな。」
何故だかわからないが自然に口から出ていた。
「なにー!やってみやがれ虫けらがー!」
奴は、俺に攻撃を仕掛けてきた。
だが今の俺はゾーンに入っていて奴の攻撃を軽くあしらった。
それでも奴は攻撃を続けて、俺もそれに応えるように攻撃を始めた。
隙を伺いながら肉弾戦をおこない奴の隙を狙った。そして俺は奴が攻撃をしたときに出来た、一瞬の隙を見つけ奴に攻撃を叩き込み、奴を吹き飛ばした。そしたら吹き飛ばしたことに切れたのか奴は、何か叫んでやがる。
「なっ、なに!人間風情が図に乗るなー!」
ペアレンシーは、手を広げ叫んだ
「スラッシュビート!!」
斬撃が一斉に俺に飛んできた。
突然、俺の頭の中に何かが浮かんだ。俺はそれを実際に実行してみた。
両手を奴にかざし叫んだ!
「魔弾!!」
そしたら、俺の手から波動砲が放たれた
その波動砲は奴のスラッシュビートの斬撃を飲み込みながら、ペアレンシーへ向かっていった。
「まさか!?でも残念だったな!俺は、逃げられるんだよ。」
そうして奴は逃げようとした…。だが突然、魔弾の形が鋭くなり速度が上がった。
「嘘だろ!?」
驚く奴の胸を魔弾が貫いた
奴は倒れ込んだ。
「う、嘘だ…嘘だぁぁぁぁぁ!俺がこんな虫けらに負けるなんてぇぇぇぇ」
奴は、嘆きながら消滅していった…。
でも最後まで謎だったのは、透明化能力を使えるのになんで奴はその能力を俺との戦いで使わなかったって事だ。
色々なことを考えていると、吾郎先生が現れた。
「よぉ、お前らお疲れ!」
「ウッス」皆が言った。
「それより薫、お前すごかったな!」
(えっ?なんで先生は、俺の戦いを知っているんだ?)
「まさか見てたんですか?」
先生が答えた
「ああ、見てたよ。遠い場所でだけどね」
(ほぇ~どういう事なんだ?それが先生の能力なのか?)
「まぁ、皆よくやったよ!薫の戦いもすごかったけど、俊樹の的を得た名推理もすごかったね!俊樹って意外と頭キレるんだね。」
「ありがとうございます。」
「じゃっ、私は用事があるから行くね、じゃあね」
そう言い先生は去っていった。
「じゃあ、俺たちも帰るか」
俊樹がそう言ったので俺たちも帰ることにした。
〈廃工場からの帰り〉
「なぁ俊樹、なんでお前ペアレンシーにあんなに好戦的だったんだよ?」
俺は、疑問に思ったことを聞いた?
「確かに!なんか俊樹マジギレしてたよね!」
「ああ、実はあいつには少し因縁があってな。」
どういう事だ…?俊樹は、ペアレンシーに会ったことがあるのか?
「どういう事だ?」
「俺が中学生の頃、仲間とあの廃工場に言ったんだよ…。その時にあいつに襲われたんだ…俺たちは、俺は無事だったんだが、仲間の一人がその時に大怪我を負って今も入院中なんだ。たがらどうしても俺は、あいつを許せなかったんだ!」
「そんな過去があったのか…」
そんな話をしていたら、皆が分かれる道に来た。
「じゃあな!」
「じゃっ!」
「またね!」
「じゃあね」
そう言い、三人と別れた。
しばらく歩いていると俊樹が言った。
「俺、今日病院寄ってくからここらへんで、じゃあな!」
「ああ、じゃあね」
そう言い俊樹は走っていった。
俺も家に帰った。
今日俺は、色々な感覚を掴むことが出来た。
魔弾を撃った時こそ無意識だったが、技を出すときどのように魔力を使うかなどの感覚が少し分かってきた。それだけでもいい収穫が出来たと言えるだろう。
〈その頃〉
「なぁ司、俺たちペアレンシーの野郎を倒してやったぞ…。」
〈その時薫は〉
今日は色々な感覚を感じられた。その感覚を今後の戦いに活用できるように完璧にしたいところだ。
バナナ