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変わらない笑顔と海での告白

 次の日……私は、玄関を入ってすぐのこぢんまりとしたロビーにひとりでいた。人と待ち合わせるときは大抵ここ。というか、ここで待っているとみんなが来てくれる、みたいな。

 フロントデスクと向かうように、木目が温かみを感じさせる小さな座卓と、ふかふかのクッションが乗ったソファが配置されている。壁には地元の観光パンフレットや『おすすめ観光地マップ』が張られており、その横には小さな観葉植物がいくつか置かれている。

 窓際には、曇りガラス越しに柔らかな光が差し込み、夕方の穏やかな空気を感じさせてくれる。古びた柱時計がコチコチと音を刻んでいて、時間の流れを少しだけゆったりさせている。フロント前には、宿泊名簿らしきものが広げられたカウンターがあり、その隣にはベルがポツンと置かれていた。

 今日はこっちの友達、凛ちゃんと美咲ちゃんと久々に会う予定だけど、もしふたりまで変わっていたらどうしよう、なんて不安が頭をよぎる。

 けれど、そんな心配は杞憂だった。

「おっひさー! もしかして二年ぶり!?」

 旅館の正面玄関をくぐり、元気いっぱいに手を振りながら駆け寄ってきたのは山瀬(やませ)(りん)ちゃん。外からの陽射しを受けて艶やかに輝く長めの髪が揺れていてとても印象的だ。涼しげなノースリーブのブラウスとデニムショートパンツというラフな私服姿ながら、スタイルが抜群に良く、特におっきな胸元がちらりと見えそうで、少しドキッとしちゃう。

「えへへ、桜ちゃん、待ってたよ」

 控えめに微笑んでいるのは川端(かわばた)美咲(みさき)ちゃん。ミディアムヘアがふんわり揺れて、女のコらしい柔らかさを感じさせるけど、凛ちゃんとは対照的に華奢で、少しシャイな雰囲気を漂わせている。白いTシャツにフレアスカートというシンプルな私服だけど、清楚で爽やかな印象がぴったりだ。

 こうしてふたりが変わらない笑顔を見せてくれると、やっぱり星見野に来た! って実感が湧くなぁ。

 そして、すぐに優菜ちゃんとも合流して……やっぱり、星見野のいえば海! 早速私たちは旅館のお風呂場の脱衣所で水着に着替え始める。

 今回の私は桜色のビキニを選んでみた。この夏の新作で、少し大胆なデザインだけど、可愛らしいリボンがアクセントになっていてお気に入り。ポニーテールもきちんと整えて、準備万端!

 優菜ちゃんは学校指定の地味な紺色のワンピース型の水着。さすがに『私服の水着ないの?』と聞きたくなるけど、この水着で堂々と水辺に立てば、そのギャップで逆に目を引きそう。ただ、一昨年来たときは、『タオルなんて面倒くさい』と言って、てるてる坊主みたいなタオルもかぶらずに堂々と着替えてたんだけど、今年は私たちと一緒。こういうのって、みんなに合わせるようになったというべきか、個性が損なわれたというべきか……?

 で、美咲ちゃんは白地にパステルカラーの花柄が入ったワンピース水着。シンプルながらも優しい雰囲気があって、彼女の柔らかさが際立っている。肩に小さなフリルがついていて、控えめながらも可愛らしさ満点。

 凛ちゃんは大胆な黒のビキニ。スポーティーなラインで、動きやすそうなデザインがよく似合っている。特に長い髪が波打つように揺れる様子がかっこよく、つい見とれてしまう。

 四人の水着が揃うと、私たちは浜辺へと続く裏口から外へ出る。階段は少し古びているけれど、手すりには鮮やかな緑のツタが絡んでいて、夏の日差しに照らされた葉っぱがキラキラと光っている。その向こう側に見える水平線と空がとても綺麗で、どんどん期待が高まってくる。

「わーい海だー!」

 私たちは足元に気をつけながら一段ずつ階段を降りていく。

「なんだか久しぶりだねー」

「そうそう、二年ぶりだもん!」

 優菜ちゃんとそんな会話をしていると、美咲ちゃんがちょっと意外なことを口走る。

「あたしも、ここには滅多に来ないからね」

 どうやら地元の人はもう海水浴なんて飽きてるらしい。観光客にとっては魅力的な砂浜も、地元の人にとっては『わざわざ行く場所でもない』って感覚なのかも。

 浜辺に降り立つと、目の前には真っ青な海がどこまでも広がっていた。波が穏やかに寄せては返し、白い砂浜にきらめく泡を残していく。その音が静かに響き、自然のリズムがとても心地よい。

 足元の砂はサラサラしていて、サンダルの下にサクっとした柔らかさを感じる。太陽がじりじりと照りつけて、砂浜を照らしながら私たちの影を長く引き伸ばしている。その光が海面に反射して、まるで無数の小さなダイヤモンドが輝いているみたい。

 夏の光が真っ白なキャンバスをさらに白く照らし、潮の香りが風に乗ってくると、海からの爽やかな涼しさに包みこまれるようだ。私たちは肩にかけたバッグを降ろし、小さく息をつく。

「たまには海もいいよね!」

 優菜ちゃんが元気よく声を上げた。そして、靴を脱いで裸足になって、砂を踏みしめている。

「わっ、わっ、思ったより温かい!」

 どれどれ、なんて凛ちゃんや私も優菜ちゃんのあとに続く。……って、熱っ! 温かいどころか、むしろフライパンだよ! ……なんて、両足をわきわきさせてるのは私だけ。凛ちゃんはもちろん、美咲ちゃんも「わー、あったかーい……」なんてほっこりしながら足の裏で砂の熱さを感じている。ぬぅ、やっぱり海の人たちだけあって、強いんだなぁ……

 ひとりだけ悶えてるのも悔しいので、私も耐えるように両足で砂を味わっていると……うん、さすがに慣れてきたかも。細かい砂が指の間をくすぐり、ふわりと土踏まずを包む感触が広がっていく。……ふむ、これもまた、悪くない、か。

 波打ち際に目を向けると、幼い頃の記憶を思い出す。この浜辺で優菜ちゃんと駆け回り、小さなカニを捕まえたこと。あのとき、転んで泣いた自分を優菜ちゃんが必死で慰めてくれたこと――

「そういえば、ここでカニ捕まえたよね」

 私がそんな思い出を口にすると、優菜ちゃんも元気に頷いてくれる。

「そうそう! あのときは面白かったなぁ!」

「面白かったといえば、優菜が盛大にすっ転んでたっけ」

「もう、そういうことを言うなっての!」

 意地悪く言う凛ちゃんに、優菜ちゃんは砂を蹴り上げて抗議。転んで泣いてた私を、同じように転んでた優菜ちゃんが面倒見てくれてたんだなぁ、と思うと、私たち、やっぱり従姉妹同士だねー、なんて変なところで仲間意識が芽生えてきたり。

「はいはい、そんな昔の話はいいから、早く海に入ろうよー」

 美咲ちゃんが軽く手を振りながら波に向かって歩き出す。けれど、一度入ると決めたのなら、私たちだってのんびりなんてしていられない。

「よーし、いっくよー!」

 優菜ちゃんの声が元気よく響き、砂浜から一気に海へと駆け込んでいく。そして、腰くらいまで浸かったあたりで姿勢を変えると、見事なフォームでスイスイと泳ぎ始めた。その様子は、まるで海と一体化しているようで、私はつい感心して足が止まってしまう。

「やっぱり優菜ちゃん、すごいね……」

 思わず呟くと、隣で凛ちゃんが短く笑った。

「あの速さ、普通じゃないよ」

 美咲ちゃんも、少し感心したように優菜ちゃんの泳ぐ様子を目で追いながら言葉を添える。

「うん、あたしもそれなりには泳げるけど、あんなには無理だなー……」

「だったら、水泳部に入っても良かったんじゃない?」

 確か、体操部だったはずだけど。

「何でもできる優菜なら、水泳部なんてもったいないって」

「そうなの?」

 せっかく海があるのなら、みんなで泳げばいいのに。

「うん、高校生にもなってわざわざ泳ぎたがる人なんて、あんまりいないから」

 あー……そうだったねー……。みんな、子どもの頃からずっと泳いでるから、この歳になると飽きちゃってるかー……。ちょっと残念……なんて思ってしまうのは、私が都会の人間だからか。

 感慨深く水平線を眺めていると、優菜ちゃんが沖のほうで手を振っている。

「さくっちたちも、もっと深いところまでおいでよー!」

「そっちは優菜ちゃんに任せたー!」

 ぶっちゃけ、あんなところまで泳げる自信ないよー……。すると、優菜ちゃんは不貞腐れて――もちろん、ここからじゃ表情はよく見えないけど、たぶんそんな感じで――スィーっとこっちへと引き返してくる。その速さもやっぱりスムース。

「さくっちが海入りたいって言ったんだから、もっと気合い入れなよー!」

「泳ぎ慣れてない人に、いきなり遠泳勧めるなっての」

 凛ちゃんのツッコミはもっともというか。けど、それを聞いて、優菜ちゃんはきょとんとしていたので……あぁ、遠くまで泳いでた自覚なかったんだなぁ……

「私からすれば、こうして波を感じるだけで……あー……海だなー……って気分だよー……」

 言って、私はプカっと浮かぶ。街にも波打つプールはあるけれど、やっぱり人工っぽいんだよね。こんなに広大な水の塊の中で流れを感じるのは――

「……それ、うっかりしてると相当沖まで流されちゃうから気をつけてね」

「えっ!?」

 優菜ちゃんがマジトーンで言うので、私は思わず起き上がる。このへんはまだ足先に底の砂が感じられるのでちょっと安心。

「あたしたちは慣れてるから、潮の流れとか分かるけど……」

「離岸流に巻き込まれたら、知らないとパニクる人多いよ」

 あわわわわ……海、ナメてましたー! そして、一緒にいてくれてありがとう、海の人たち!

 今日はあのへんがヤバそうー、なんて教えてはもらったけど、私にはその違いがわかりそうにない。優菜ちゃんたちにつき添って、浜から離れすぎないように気をつけながらひとしきり泳いだところで、ちょっと休憩ー。岸に帰還ー。砂浜に並んで座り、持参した水筒を手に取る。日差しの下で遊び疲れた身体に、冷たい水が染み渡るなぁ。私たちは静かに海を眺めながら、ゆっくりのんびりと息をつく。

「やっぱり、こういうのっていいよね」

 優菜ちゃんが水筒を片手に笑顔で言う。その明るい声が、海辺の空気によく馴染んでいた。

「優菜ちゃん、相変わらず元気だね」

 私が軽く肩をすくめながら言うと、優菜ちゃんは胸を張って答える。

「そりゃあ、この海で育ったんだもん!」

 だよね。何しろ、旅館のプライベートビーチだから。泳ぎが達者なのも頷けるよ。私はさすがにちょっと疲れたけど、優菜ちゃんはこれからさらにあっちの島まで往復できそうな勢いだ。

「私たちもよく泳いだもんだけど、優菜ほどは無理だってー」

 凛ちゃんの苦言に、あたしもー、って顔で美咲ちゃんも見てる。こういうところ、さすがは優菜ちゃん、って感じだなー。

 きっと、私がいない間も三人でずっと泳いできたんだろうね。それで、とっくに飽きているはずなのに、こうして私が遊びに来たときくらいはつきあってくれるんだから、やっぱりみんな、海が大好きなんだろうな。

「何だかんだで、昔と変わらないのかな、こういうところ」

 目を細めて波打ち際を眺めながら――そんなことを呟いてみる。

「うん、さくっちだって変わってないよね」

 優菜ちゃんが笑いながら水筒を掲げた。その明るさに、私も自然と笑顔になる。遠くでは波の音が響き、穏やかな空気が浜辺を包み込んでいた。水筒の冷たい感触を確かめながら、私は再び空を見上げる。変わったこともあれば、変わらないこともある。変わっていくことも受け入れなくちゃいけないのはわかっている。けれど――私にとってこの星見野って場所は、昔ながらの思い出が詰まっているみたい。特にこの浜辺は、本当に子どもの頃からお世話になってきたし。

 だから――

「ちょっ、さくっち、どうしたん?」

 急にフフフと笑い出してしまった私に、可笑しいものを見るような目で優菜ちゃんも微笑ましい視線を向ける。

「今日なら、水着もいらなかったんじゃないかなー、って」

 遠くには例の崖がそびえ立っているけれど、今日は誰も挑戦する様子もない。完全に貸し切り状態なんだなー……って思うと――

「だから! もうそういうことはしないって言ってるでしょ!」

 優菜ちゃんから真顔で怒られてしまった……。小さかった頃は裸で海遊びしてたこともあったよねー、なんて思い出話のつもりだったんだけど。少しは茶目っ気出してくれたら嬉しいのに、反応が思った以上にマジメ……。この優菜ちゃん、一体どうしちゃったんだろ?

 むしろ、凛ちゃんのほうがニヤっとした顔で口を挟んでくる。

「けど、美咲ならイケるんじゃない?」

 え、美咲ちゃんが? と私は首を傾げる。

「お、驚くかもしれないけど……」

 美咲ちゃんは少し恥ずかしそうに、ちょっとためらいながら紡ぐ言葉を考えている。そして、しばらくの沈黙の後。

「駅前の銅像のモデル……あたし」とポツリ。

「ええええええええっ!」

 私は思わず声を張り上げた。そんなの全然思いもよらなかったよ。だって――

「顔が全然違ったじゃん!」

「驚くとこ、そこかいっ!」

 凛ちゃんがすかさず笑いながらツッコみ返してくる。美咲ちゃんは少し照れたように肩をすくめて、ポツリと事情を話してくれた。

「お母さんに相談したら、顔を変えるならいいよって」

 どうやら親としては、駅前に娘の裸の彫像が飾られるのには少し抵抗があったみたい。美咲ちゃんとしても、それで妥協したみたいだけど……

「むむぅ……でも、なんかもったいないなぁ」

 私は心の底から残念で呟く。

「もったいない?」

 美咲ちゃんが不思議そうな顔を向けてくるので、思わず熱が入ってしまった。

「だって、あの銅像、本当にすごく綺麗だったもの! それが別人の顔にされちゃうなんて、なんだかちょっと悔しいような……!」

 私の力説に、美咲ちゃんは軽く笑いながら応じてくれる。

「あたしは別に構わなかったけど。とってもいい経験になったし」

 するとここで、凛ちゃんのほうが別の意味で力説。

「それまであの駅前、キモイ看板が立ってたんだよー? “北高”の連中が作ったやつが!」

 そう言ってわかりやすく眉をひそめるので……ちょっと怖いもの見たさが。

「どんなの?」

 気になって尋ねてみると、美咲ちゃんがスマホを取り出して見せてくれる。

「ほら、これ」

 おおぅ……これは……。画面には、原色がこれでもかと使われた派手なボードが映っていて、『ようこそ 星見野へ!』なんて描かれているんだけど……

「え、えーと……これは……前衛的?」

 思わず漏らしてしまった。暴走族のペイントみたいで、正直歓迎されている感じがしない。いや、どっちかというと“違った意味”で歓迎されてる気さえも……

「他にもねー……」

 どうやら北高の人たちは各地で色々描いて回っているらしい。学校の壁や商店街やトンネルの中とかも。一応許可取ってるんだろうけど……もう少し普通というか、整った感じというか……他と同じじゃ意味がない! ってエネルギーがヒシヒシと伝わってくる。良く言えば、芸術が爆発しているともいえるけど。ただ、みんな揃って『あちゃー』って顔してるので……受けない人には受けないんだろうな。

 そんな壁画の数々をパラパラと見ていたところで。

「あっ」

 美咲ちゃんが小さく声を上げ、その瞬間、顔が真っ赤に染まっていく。そこに映っていたのは尖っているワケでもド派手なワケでもなく、素直に綺麗な――裸の美咲ちゃんが映っていた。

 スラリとしたポーズを取っていて、森の中で幹に手をついている姿が美しく映えている。自然の中で撮られたその一瞬はまさにアートそのもので、つい見とれてしまった。

「わぁ……これは本当に綺麗だなぁ……」

 まるで美咲ちゃん自身が自然と一体化しているように見える。画面から溢れるほどの生命力が伝わってきて、思わず息を呑んでしまった。

 すると、恥ずかしそうな美咲ちゃんを押しのけて凛ちゃんが誇らしげに挟まってくる。

「でしょ? でしょ? 私のもあるんだよー!」

 自慢げに笑いながら、自分のスマホを開こうとしている姿も何だか愛おしい。

「“南高”のOBに篠田(しのだ)由伸(よしのぶ)さんっていう有名な写真家さんがいてね……」

 美咲ちゃんがポツリと語り始める。

「その人の知り合いの彫刻家さんがモデルを探してるって話を聞いてね。あたし、思い切って立候補しちゃったんだ」

 少し照れくさそうに笑う美咲ちゃんがとっても可愛い。きっと、一大決心だったんだろうなあ。

「篠田由伸さんなら知ってるよ! 私の憧れの写真家だもん!」

 私はつい叫んじゃった。だって、ストリップに挑戦する身として、どんなポーズが綺麗に見えるのか、篠田さんの写真集を見ながらいっぱい勉強したんだから。どんな体型の人でもそれぞれ見せ方があって『自分らしさって、こうやって表現するんだなぁ』って気づかされたんだよね。

 私も知っていたことで、凛ちゃんはますます胸を張る。

「その篠田さんが写真展を開いてね、その縁で私たち三人、撮ってもらったんだよ」

 私は美咲ちゃんと凛ちゃんのスマホを交互に見比べる。星見野の海や山、そして廃墟のような場所まで、すべて人物と背景が見事に溶け合ってる。なんていうか、こっちまで引き込まれそうな美しさだよ!

「ねぇ、これ、写真集にしたらどう? 絶対にみんな感動するって!」

 思わず提案。スマホで見るのもいいけど、やっぱりこういうのは紙の本でじっくりと見たいんだよね。

 けれど、美咲ちゃんは少し曖昧な表情を浮かべる。

「ぅ、うーん……そこまでするほどじゃないかなー……って」

「そんなことないよ! 絶対すごいよ!」

 私は力説したけど……ちょっと勢いが強すぎたと気づいて慌てて軌道修正。

「……あ、地元の人に見られたら恥ずかしいか」

 私の高校は女子高だからともかく、星見野は共学だもんねぇ……。競技ストリップは男子禁制だから成立してる。篠田さんみたいな芸術家ならともかく、普通の男の人はなかなか難しいか。

 と、自分なりに気を利かせてみたものの。

「そういうわけじゃないんだけど……」

 ないんだ。美咲ちゃんが言葉を濁しながら、少し恥ずかしそうに続ける。

「あたしの地元がこんな何も無い田舎だって思われるのが恥ずかしいというか……」

「何も無いって……」

 こんなに自然があるのに! と心の中で叫びつつも、それは都会育ちゆえに抱える傲慢さかもしれない。でも、やっぱりこの場所は何もないんじゃなくて、たくさんの美しさがあるんだよ、と伝えたくて、なんとも言えない気持ちになった。

 凛ちゃんも、美咲ちゃんと同じ気持ちらしい。

「うんうん、私も、カッコイイスタジオ行って、そこで撮るんなら……それこそ、全国で販売してもらってもいいんだけど!」

 さすが凛ちゃんは言うことがデカイ!

「うーん、あたしのは売れないだろうなー……」

 そんなことないって! と私が美咲ちゃんをフォローする間もなく。

「……あ、でも、篠田さんの写真の中のオブジェって考えればちょっと脈ありかも……?」

 ボソッとつぶやく。ふたりとも写真自体は気に入っているみたいだけど、こうして話していると何だかもったいない気がしてならないよね。ふたりにとっては見慣れた風景でも、きっと多くの人が感動してくれる景色のはずだから。

 ここで、私はふと気づく。

「あれ? 三人で撮ったってことは、もうひとりは当然……」

 私が話を振ると、優菜ちゃんはちょっと顔をしかめながら視線を逸らす。

「……消したってば。そんな恥ずかしい写真」

 そっけない返事。うーん、ことごとく優菜ちゃんっぽくない。せっかくの篠田さんの写真なんだから『旅館の玄関に飾ろう!』とか言い出して、『アホかっ』て伯父さんとバトってもおかしくないのに。

 私たちの横で、凛ちゃんがやれやれといった表情をしつつ、自分のスマホを改めて見せてくれる。

「これ、ここの崖で撮ったやつなんだよねー」

 表示されている写真には、凛ちゃんが石畳の上でペタンと座り込み、長い髪をぶわっと振り上げている姿が!

「うわーお……ワイルドぉ……」

 思わず声が出ちゃった。荒々しい感じがまた凛ちゃんらしいというか、すっごく野性味溢れてる!

 すると、美咲ちゃんがちょっとためらいつつ口にする。

「でもね、あたしはあっちの写真のほうがいいと思うんだけどなー」

「んー……あっちかー……」

 凛ちゃんは複雑な表情を浮かべながらと別の写真を見せてくれた。そこには山の温泉で、檜の湯船の縁に腰掛けて、髪をタオルでまとめた凛ちゃんの姿が。さっきのワイルドな感じとは打って変わって、物憂げな表情で画面の奥を見つめていて、もう別人みたい。

「うわぁ、全然印象違うー!」

 私は思わず見入ってしまった。背景の野山に吸い込まれそうなくらい大人で神秘的で、こっちもこっちで魅力的だよね。

「お風呂で、ってのは私のリクエストだったけど……こんな田舎風呂で撮るなんてさぁ」

「いやいや、家のお風呂よりは全然良いと思うけど?」

 ちょっと残念そうに言う凛ちゃんに、美咲ちゃんがツッコむ。

「うん、広々としてるほうが絵になるし」

 私も美咲ちゃんに相槌。だって、質素なお風呂の雰囲気があの儚げな表情とマッチして、すごく幻想的な写真に仕上がってるもん。

 すると、凛ちゃんは不承不承に理由を話し始める。

「うちさ、最近お風呂改築したんだよ。すっごく広くて綺麗なんだから、そこでゴージャスな感じに撮ってほしかったなぁ」

 それを聞くと……ちょっと凛ちゃんに肩入れしたくなってくる。広々とした綺麗なお風呂で、優雅にポーズを決める凛ちゃん――なんだかモデルっぽくて素敵だなぁ。

 けど。

「でもさ、凛ちゃん、ゴージャスな表情できるの?」

 思わず疑問を投げかけると、

「そりゃー、もう」

 凛ちゃんは自信満々にドヤ顔。けど……もしかして、それがゴージャスな表情!? 面白くて思わず吹き出しちゃいそう! この顔で撮らなかったのは、篠田さんにグッジョブを送りたい。

「でしょ?」

 と美咲ちゃんも微笑んでいたけど。

「いま、ふたりして失礼なこと考えてたな!?」

 凛ちゃんが渾身の抗議。これには私と美咲ちゃんで大笑い。けど、凛ちゃんがむくれてるので、私は強引に話題を変える。

「あ、そうだ美咲ちゃん、あの銅像のポーズしてみてよ!」

 ふとひらめいてお願いしてみた。

「え、ここで!?」

「ほら、崖に囲まれてて誰にも見られないし!」

 美咲ちゃんは驚いたけど、私は強気。すると、凛ちゃんもノリノリでサポート。

「じゃあこのタオルで羽衣っぽくしてさー」

 ふたりから押されて、美咲ちゃんは顔を赤らめながら、水着の肩紐を下ろしていく。なんだかこっちまでドキドキしちゃうけど、やっぱり普通に脱ぐのってストリップとは違うな、と改めて実感。ストリップには魅せる演出があるけど、いまの美咲ちゃんはそれとはまた別の“素”が見えている感じ。

 水着が外れていくと、ボディラインが綺麗に現れる。水着も結構体の線が出るけど、裸ってやっぱり違う!

「え、えーと……せっかくだから海をバックにしようかな?」

 恥ずかしそうな美咲ちゃん。でも案外ノリノリで笑顔も見えて、彼女の意外な一面が垣間見えた感じ。

「そうだ、美咲ちゃん、銅像のとき、布地はどうしたの?」

 ふと尋ねると、美咲ちゃんは撮影時の裏話を教えてくれる。

「ああ、あれはね、送風機でふわっとさせて撮ったんだよ」

 なるほど、あの羽衣みたいな布は風で演出してたんだね。プロの手が加わっているからこそ、あの絶妙な美しさが出てたんだと納得。

 いまはただのバスタオルで、その端っこがちょっとお尻より下のほうに垂れ下がってるだけだけど……銅像を思い出して実物と比べるとやっぱりリアル感が違う。このちょっと照れた表情を見ていると……なんか見ているこっちまで変に照れちゃう感じ。

 思わずスマホを構えて、美咲ちゃんをパシャッと撮ってみた。シャッターを切るたびに表情が少しずつ自然になっていくのが不思議で、やっぱり根っからのモデルなんだなってしみじみ感じた。私はいろんな角度から撮って、最後に正面に戻ってきてひと言。

「ねぇ、美咲ちゃん、下の毛、剃っちゃったら?」

「もっ、もう! 桜ちゃん!」

 美咲ちゃんは驚きと照れが入り混じった表情で怒ってくるけど、私はついニヤリ。だって、あの銅像みたいにないほうがもっと神々しい感じがするんだもん!

 すると、凛ちゃんがさらなる提案を。

「せっかくだから、私のも撮ってみる?」

 けど、凛ちゃんの写真って……

「あっちは崖上だから、水着は着たままにしとくからさ」

 そういうことなら全然オッケー!

「うん、撮る撮る!」

 私はすぐさま返事をしたとき、ふと気がつく。

「あ……優菜ちゃん、ごめん……」

 夢中になってて、優菜ちゃんのことすっかり忘れちゃってた……。優菜ちゃんはちょっと寂しそうで、けれど、私たちを引き止めたりはしない。

「三人で行ってきなって。私、芸術とかよくわからないし、ここで待ってるよ」

 軽い感じで言ってくれるけど、私としてはちょっと後ろめたい気持ち。なんだか置いてけぼりにしてるみたいだし、楽しそうなことは優菜ちゃんとも共有したいなーって思うのに。でも、私は美咲ちゃんと凛ちゃんに促されて、階段を上り始める。まあ、優菜ちゃんのことだから、本当に下でのんびりしてそうだけど。

 階段の中腹まで来たところで、ふと凛ちゃんが小声でつぶやく。

「優菜も写真、絶対まだ持ってるよ」

「え?」

 私が振り向くと、美咲ちゃんも頷いてる。

「そうそう。一番ノリノリで撮ってもらってたの優菜ちゃんだし、旅館の前で撮ったやつなんか、玄関に飾りたい! とか言ってたんだよ」

「えー、あはは、言いそう!」

 思わず笑ってしまう。それでこそ優菜ちゃんだよね。で、伯父さんにめちゃくちゃ怒られる展開まで見えちゃうけど。

 階段をさらに上がっていくと、凛ちゃんがぽつりと切り出す。

「優菜の家庭の事情もあるから私の口からは伏せとくけどさ……前の正月あたりから、優菜、何かおかしいんだよね」

 美咲ちゃんも、うんうんと頷きながら凛ちゃんに続ける。

「今年から立ち上げる予定だった部活も急に辞める、って言い出してさ」

 その言葉を聞いて、私は胸がじわっと温かくなったのを感じる。優菜ちゃん、やっぱり部活を作ろうとしてたんだ!

「それってどんな部活?」

 優菜ちゃんが話したがらない、その部活の正体とは――

「聞いて驚けよ? なんと……ストリップ部だっ!」

 凛ちゃんが得意げに言うもんだから、そりゃ、私だって驚くよ。

「あはは、やっぱり驚くよね。けど、ストリップといっても――」

 美咲ちゃん続けようとするので、私はつい割り込んでしまう。

「そりゃー驚くよ。だって、私が昨日、優菜ちゃんを誘ったばっかりだもの」

 これに、今度は美咲ちゃんたちが驚く番だった。

 優菜ちゃんのことで、話したいことはたくさんある。でも、あまり離れたまま長居していたら怪しまれるし、そもそも待たせ続けるわけにもいかない。なので、とりあえず崖の上まで行って写真を撮り始める。どうやら今日の飛び込み挑戦者はゼロみたい。だからか、凛ちゃんはちょっと強気。

「この様子なら脱いでも大丈夫じゃない?」

「車道からいつ車が来るか分からないよ」

 さすがに、美咲ちゃんから淡々と窘められる。

「そこの県道、北高の人たちが車飛ばしてることもあるし」

「だったら、北高の車両は通行禁止ってポール立ててやろうよ」

 なんて言いながら凛ちゃんは笑う。ふたりとも、北高のことあんまり好きじゃないのかな、とちょっと思ったけど……まあ、いいか!

 私はスマホで、篠田さんと同じ構図でバシバシ撮影! 写真にあったような後ろ髪ぶわーっ、をなかなか再現できなくて、凛ちゃんにはオットセイみたいに何度もアウアウさせちゃった。けど、まー……腕も機材も全然違うから、当然同じようには撮れないんだけど。けれど……その未熟さも私なんだ、って思えてある意味気に入っている。

「また今度、撮らせてね!」

 と、凛ちゃんにお願いしておいた。今度こそちゃんと篠田さんの写真の通り裸で……とは言わなかったけど……伝わったかな?


 海でめいっぱい遊び疲れた私たちは、そのまま旅館のお風呂へ直行することに! やっぱり身体を動かした後の温泉って最高だよねー。特にこういう旅館の大浴場は、普通のお家のとは全然違う特別感があって……うふふ、もういまからワクワクが止まらない!

 こういうときこそ女子会トークが盛り上がるんだよね! 私はトーゼン、みんなで入るものと思っていたけど――

「あ、私はあとでひとりで入るね」

 優菜ちゃんはそう言って、ひとりで部屋に戻ってしまった。……そっか。今年の優菜ちゃん、どこか壁がある感じがしてたけど、私だけでなく、美咲ちゃんたちにもそうなんだなぁ。けど、無理やり誘っても逆効果だしね。優菜ちゃんが気を遣わせないためにそうしているのかもしれないし。

 一方で、凛ちゃんと美咲ちゃんはノリノリで「行く行く!」と私についてきてくれる。ウン、そうこなくっちゃ!

 そんなわけで、私たちは大浴場へやって来ると、それぞれ身体を流してから湯船に浸かる。お湯はほんのり硫黄の香りがして、胸の芯から温まる感じ。うん、海望旅館といえばコレだよね!

「でさー、優菜ちゃんの話なんだけどー」

 なんて何気なく切り出そうとした私は思ったより響いて大慌て! 浴室って声がこんなにおっきくなるものだっけ!? アワアワしながら手で口を押さえる私に苦笑しながら凛ちゃんがポツリと。

「優菜、部活作るの辞めちゃった理由、私たちにも話してくれないんだよね」

 去年、優菜ちゃんは自分で部活を立ち上げるって燃えてたらしい。それも、『ストリップ部』を……もちろん普通のストリップじゃなくて、『競技ストリップ』だよね! こういうところ、私たちやっぱり従姉妹同士だなー、って感動しちゃう。

「先生も見つけてきてさ、『四月になったら本格始動!』って盛り上がってたんだよ」

 美咲ちゃんも言う。どうやら顧問の先生まで巻き込んで、かなり本気だったみたい。でも――冬のある日、急にその話が立ち消えたって。

「何があったんだろうねー?」

 私がぼんやりと尋ねてみると……

「それは……桜ちゃんが優菜ちゃんから聞いてほしいな」

 美咲ちゃんの冷静な指摘に、私はドキッとする。

「私たちだって、直接聞いたわけじゃないからさ」

 凛ちゃんの言葉には、一抹の寂しさが滲んでいる。前のお正月頃――遠くにいた私でさえ、何か優菜ちゃんの力になれなかったのか、って悔しく思ってるのだから。傍にいたふたりはなおさらなことなのだろう。だから、何となく――私は、“過去を取り戻す”のではなく、“未来を掴む”ほうを考えなきゃいけないのかな、と感じていた。


 美咲ちゃんがそろそろ上がろうと言い出したのをきっかけに、私たちもお風呂を後にすることにした。湯上がりのほかほかの身体で浴場から出ると、あたりはしんと静まり返っていて、時間の流れがちょっとだけ遅く感じる。湯気でほんのりピンク色になった頬が鏡に映ると、なんだか自分がちょっと可愛く見えて嬉しい。こういうの、温泉の魔法だよね。

「ふひ~……こんなときは『荒行の滝』に打たれたい気分だよー」

 脱衣所で服を着直しながら私がそう呟くと、凛ちゃんがすかさず反応する。

「桜ー、まだそんなこと言ってんの?」

「だってさー、すっごく気持ちいいんだもん! 山奥のあの滝、めちゃくちゃ勢いが強くて、本当に荒行してるみたいなんだよね!」

 そこは、私たちが勝手にそう名付けた滝。川遊びに行ったとき、滝壺の冷たい水に思いっきり打たれて『これは修行だー!』なんて盛り上がった場所だ。でも……次の凛ちゃんの言葉が私を現実に引き戻す。

「んー……あの辺、あんま行かないほうがいいよ」

「え? まさかクマが出るとか……?」

 その口調におちゃらけた様子がないので、思わず真顔で聞き返してしまったものの。

「いや、クマじゃないんだけどさ……。あそこ、“北高”の領地なんだよねー」

 ……りょ、領地? なんなのそれ。まるで戦国時代の国盗りみたいな響きに、私は思わず眉をひそめる。

 こっちの反応を見て……凛ちゃん自身も変なことゆってるなー、って自覚はあったみたい。

「困ったことにさ、あっちの連中がそういうのにやたら拘るんだよね」

 言いながら、呆れが滲んでる。地元同士で仲良くすればいいのに、どうしてそうなるの? と私は思わず首を傾げる。けど、その説明を聞いていると、これは笑い話じゃなさそうだ。

「えーと、駅前に……気付いた? 潰れたコンビニあったの」

「うん。新しい建物だけ残ってたなー、って」

 その寂れっぷりを思い出して、凛ちゃんは苦々しい顔をする。

「北高の奴ら、断固としてあの店使うの拒否っててさー」

「何で」

「南側の店なんて使えるかー、とかナンとか」

 そんなことあるの? って驚いてる私の横で、凛ちゃんはさらに続ける。

「事務所とか工場とかも、北側ばっかに偏ってるもんだから何かと贔屓されてるし。こっちの人間は買い物するにも一苦労なんだよ」

 そんな調子だと……も、もしかして、うっかり南側の住民が北側のお店に入ったら……? なんて怖い想像に私は勝手にマジビビリしてしまったみたいで、それについては凛ちゃんもすかさず訂正する。

「ああ、いや、さすがに南の人間だからって販売拒否することはないけど、空気がねぇ……」

 北側のお店は店員も北側だから、南側のお客には塩対応なんだろうな。

「うーん、それは大変だね……」

 正直、あまりに現実感がない。まるでネタトークのような内容だけど、地元の人にとっては切実な問題みたい。これについて美咲ちゃんはどう思っているんだろう――そう思って彼女のほうを見たら――

「ど、どうしたの……!?」

 美咲ちゃんは長椅子に座ったままぐったりしていて……!

「あー……暑くて動けないー……先戻っててー……」

 美咲ちゃんはぐったりと手を振りながら長椅子に沈み込む。その顔はまだほんのり赤くて、どうやら湯あたりがまだ治ってないみたい。

「ちゃんとお水も飲むんだよー」

 とかなんとか私は声をかけつつ、凛ちゃんと一緒に先に優菜ちゃんの部屋に戻ることにした。美咲ちゃんを置いていくのはちょっと気が引けたけど、本人がそう言うんだし、あとで冷たいお茶とか持っていってあげようかな。

 私たちふたりで廊下を歩いていると、前方から何やら賑やかな声が聞こえてくる。近づいてみると、宿泊客らしい一団がちょうど外から戻ってきたところだった。

「どこ行ってたんだろうね」

 私は凛ちゃんに小声で尋ねる。まだ見ぬ名所があるなら教えてほしい。けど、凛ちゃんは素っ気ない。

「仕事じゃない? でなきゃ、こんな辺境の地に来たりしないでしょ」

 そんな悲しいこと言わないでー。もしかしたら、何かお土産とか持ってるかもしれないし……なんて、さり気なくしっかりめに皆さんのことを観察してたら……!


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