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すんごく短くなってしまいました。
「すみません、何度も泣いてしまって」
「いや、俺のほうこそ、気の利いたことが言えなくてごめん」
「いや、そもそも私が泣いたのが………」
「いやいや、俺が…………」
彼女が泣き止んでしばらく、俺たちはなぜか謝りあっていた。
そのラリーが永遠に続くかと思われたが、そこに乱入者が現れた。
「おっと………………ちょうど帰ってきたのか」
俺は、待ちくたびれたと言わんばかりに強烈タックルをしてきたモモたちを軽く受け止めつつ、待たせたお詫びに二匹の頭をぽよぽよと撫でた。
それにこたえるように二匹は、俺の手の動きに合わせてバウンドする。
「ちゃんと待っててくれたのか?お前らはやさしいな____ってあれ?タイミングが良かったけど、覗いてないよね?」
ぽよぽよと撫でられるのを止められ、地面に抑えつけられた二匹は、俺の手から抜け出し、若葉の後ろへと逃げていった。
「ふふっ、もう覗いちゃいけませんからね?」
若葉がそう言うと、モモはうなずくように、ぴょんぴょんはねた。
そんなほほえましい様子を尻目に、俺は再び墓石を見た。
自分が生きた軌跡を、刻んだ石。
それは、“神話再臨の代償でそれを残せない”俺の視界に、ひどく、うらやましく映った。
「それじゃ、行きましょうか」
再び暗い考えになってしまった、若葉がしゃがんでいる俺に手を差し伸べてきた。
俺はそれを掴み、スライム二匹を間に入れて歩いていく。
前の世界では、戦う前も、戦っているときも、戦った後も一人だった。
だからこそ、どうしてもこれまでと、今と、これからについて考える時間が多くなってしまう。
だけど、今の俺は一人じゃない。
そう思えるだけで、神話再臨で記憶を失う恐怖を少しの間だけ忘れることができた。
大丈夫。若葉とつないでいる手は、震えていないはずだ。




