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「ご飯だよ、“モモ”~」

 魔物を倒し、“調理”を終えた俺がそう呼ぶと、嬉しそうにぴょんぴょん跳ねながら2匹の“赤い”スライムが近づいてきた。

 あれから10日後、なんだかんだ仲良くなった俺たちは、飼い主とペットみたいな関係になっていた。

「え?なんで2匹の色がピンクから赤に変わってるかって?」

 それは、俺がレベルアップについて調べるために実験をしていたためである。

 俺が血を飲んでレベルアップするように、2匹が魔物の死骸を食べてレベルアップしているため、俺以外でも血を飲めばレベルアップをするのかを確かめるため。

そして、血と死骸、二つの共通していることは、魔力を多く含んでいるということであるため、魔力のみを吸収してもレベルアップをするのかを確かめるために、俺の魔力と、それを血に変換してものを使って2匹に協力をしてもらったのだ。

「片方には血、片方に魔力を与え続けたらこんな色になっちゃったんだよね………………」

 血を与えていた方は分かるが、なぜか魔力を与えていた方も同じ深紅に染まってしまったのだ。

 モモという二人合わせた名前はかつてのきれいな桃色からつけたのだが、今ではその面影すらなくなってしまった。

 決して、 “モ”ル“モ”ットが名前の由来ではないのだ。

「美味しいか?モッくん、モーちゃん」

 俺がそう問いかけると2匹は肯定するようにぴょんぴょん飛び跳ねた。

 俺をそんな2匹を撫でながら、先ほど倒した魔物を振り返った。

「……………………結構強かったな」

 視線の先にいたのは、大きく骨でできた鳥のような魔物だった。

 レベルが240と高めで、体自体は骨のように細かったが、水や風、炎などを纏って戦っているため虹色に輝いてきれいだったが、美しい見た目とは裏腹に攻撃が激しく非常に手ごわい相手だった。

 そんな苦戦していた様子を見ていた2匹が心配そうに震えた。

「いや、君たちが連れてきたんだからね?」

 俺がなぜこんなに強い相手と戦っていたかというと、この2匹が引き連れてきたのである。

 ことの発端は、この2匹が俺だけに懐いていたことを疑問に思い、もしかして一度俺以外の人間を見たことがあるのではないかを聞いたことから始まった。

 この2匹と暮らしていて分かったのは、意外と言葉が通じるということだ。俺から質問するしかないが、肯定する時には激しく飛び跳ね、否定する時はプルプル震えるなど、言葉を理解している節が見られた。

 それも人間と接点があると考えた理由の一つだが、色々と工夫をしながら聞いていくと______



「え?俺以外の人を見たことがある?」



 その問いに、2匹が今までにない以上激しく飛び跳ねたのだ。

 そのため、そこに案内してほしいとお願いすると、大きな川まで案内してくれたのだ。

 だが、色々質問していくうちにどうやらそこからはその“人”を連れてきてくれるらしく、川の向こうに2匹が消えていったのだ。

 そして、次の日“森の中”から現れた2匹が連れてきたのは______


『キシャsシシャシィ______!!!!』

「え????」


 この森の中で生息していたとは思えないほどの巨大なサソリだった。

 魔法以外で水を得られる手段がなかったため久しぶりに川で水浴びをしていた俺は、裸の状態で戦闘に突入してしまい、そのサソリを奥の手である破壊魔法を使いつつ、1時間以上かけて倒す羽目になってしまったのだ。



「いいか?人っていうのは________」

 それからというもの、次は人を連れてくると伝えられつつ、“なぜか”レベルの高い魔物を連れてこられていた。

 そもそも俺から質問ができないため、“人間”というのを理解しておらずレベルが高い生き物と勘違いしているのかと思って色々説明しているのだが、何度も説明しているにもかかわらず、いまだに間違い続けてさっきの鳥ですでに3体目だ。

「______こんな感じの見た目をしているのが人だぞ」

 今回俺は2匹に人間の特徴を伝えるために、地面に木の棒で絵をかいていた。

 それを見た2匹は、分かっていると言わんばかりに絵の周りを飛び跳ねた。

「お、今度こそ分かってくれたか?」

 2匹は頷くように、息ピッタリに大きく飛び跳ねた。

 その様子を見た俺はもう一度描いた絵へと視線を向ける。

「…………………」

 何だこの下手くそな絵は?

 俺は、手と足の見分けがつかない頭から根っこが生えている変な生き物の絵を、足で土をかけて消した。

「まあいいか、別に変な生き物を連れてきても」

 俺は消した絵を残念そうに見つめている2匹をぽよぽよと撫でた。

「まあ、できれば人を連れてきてほしいんだけどね」

 正直、レベルの高い魔物を連れてきてくれるため、レベルを上げたい俺にとってどちらでも構わない。それどころか、逆にありがたいと思えるほどだ。

その証拠に______


ミサキ

Lv.210

種族:亜人(吸血鬼)

称号:世界を■■者 悲■の勇者 真祖

スキル:火魔法 水魔法 風魔法


「おっ、レベルが20も上がってる」

 2匹が連れてくる魔物のレベルが高すぎて、俺のレベルがかなり上がっているのだ。

 最初の方こそ2匹の連れてくる魔物に苦戦したとはいえ、さすがに今回で3体目になる頃には魔力に余裕ができ、魔法を使いながら戦うことができるようになったため、心にも余裕ができ始めたのだ。

 それに、神話再臨(イミテーションゴッズ)を余裕で使えるまで魔力量が増えたのも大きい。

 この調子であれば、神話再臨を使わなくてもいいほどまでレベルを上げることができそうな勢いのため、魔王と戦う際に神話再臨を使えることよりも神話再臨を使わなくてもいいほどまで強くなっているというのも精神的に余裕ができた大きな理由だ。

「それに、この体にはもう一つの武器があるからな」

 魔力量に余裕ができたことで、魔力を血に変える力についてもいろいろ試すことができるようになったのだ。

 その力の特性上、まず魔力を体の外に出すことが必要であり、その手順をスムーズに行うために思いついたのが、腰にある翼を作り出す器官を使うことである。

 その器官は魔力を籠め、消費することで魔力の消費した分の翼を生み出すことができる。

それならば、自身の魔力を血に生成できる能力で割り込めば、翼ではなく血が作れるのではないか。そう考えて、翼を生やすために魔力を使った瞬間、翼を作る分の魔力を血に変えてみた。そして出来上がったのが________

「ん?これに興味があるのか?」

 俺が腰から血の翼を作り出して揺らすと、モモたちが俺の翼に向かって軽く体当たりをしてきた。

 俺は2枚合わせて俺の体の体積ほどもある翼を、いびつな手の形に変えると、2匹をぽよぽよと撫でた。

「君らは結構気に入ってるけど_______」

血の翼を作り出して以降、普通の翼が作れなくなり、何度引っ込めても翼を作ろうとしても血の翼しか作ることしかできなくなってしまった。以前のような形にすることはできるのだが、赤黒い血の色をしていて以前のような羽のファサファサ感は今や見る影もない。

一応それでも飛ぶことはできるのだが、やはり以前とは何かが違う。結構重量があるのに加え、以前のように飛んでいる際も、制御が難しくなってしまったように感じる。あの翼で空を飛んでる感が気持ちよかったのに、それが無くなってしまってあの時は結構落ち込んだものだ。

だが、落ち込んでもいられないと再び実験に戻った俺は、その血の翼の操作に専念した。最初は形を変えるだけの触手みたいなもので、何かに触れると形が崩れてしまい、その触れたものが血まみれになってしまうというただのスプラッタな液体だった。

だが。

 凝縮することによって硬さを得たそれは、ものを掴めるようになり_____

さらに凝縮することで鋭さを得たそれは、ものが切れるようになり_____

恐縮しすぎて体積が無くなったときは追加で魔力を血に変えることで補うことで体積を増やせるようになり_____

体積の増えたそれはさらに凝縮することでさらに固く、鋭くすることができるようになり_____

以前より精密に操ることができるようになったそれは赤一色だがボロボロだった服の代わりや誰も貫くことのできない鎧にもなり_____

そして最終的に俺の最強の矛となり、盾となったのだ。


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