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変質

色々あって2日空いてしまいました。

今日から再開しますが、再び投稿できない日があるかもしれません。

 焦って帰り道を探していたのも束の間、そもそも向かう場所も道すらもなかったことを思い出し、血を操作する訓練を再開した。

「なんで称号を持っているのにその力が使えないのかねぇ?」

 この体を流れる血に意識を集中しながら、そこに流れる魔力へと意識を向ける。

 体内にある魔力の大半は血液に宿っており、それが体中を巡ることによって魔力が循環する。そのため、血液の流れと血の流れは切っても切り離せない関係にあるのだが______

「別に、魔力だけを放出することはできるんだよな」

 俺は手のひらに魔力を集中させると、手のひらで靄のようなものが揺らめいた。

 俺は前の世界で魔力の操作に関して右に出るものがいないほど得意としていた。だが、その経験が血を操るというこの体にある才能を潰しているのかもしれない。

 自身の血を直接操作することは、今までの経験という無意識が不可能だと決めつけてできそうにもない。それをするには、一度血を操るという経験をするというプロセスが必要になってくる。

「う~ん、やっぱり遠回りするしかないのか」

 “できないことをすることでできるようになる”。

大きく矛盾しているかもしれないが、血を操るという技術においてはそれが可能なのである。なぜなら______

 “自身の魔力を血に、自身の血を魔力に変換する能力”という称号の能力があるためである。

 この力を使って自身の魔力を血に変え、その血を操る訓練をすれば血を操る成功体験を作ることができるのだ。

「魔力の消費が激しそうだからやりたくなかったんだけど仕方ないか」

 まだこの力を使ったことが無いため分からないが、術式を介さずに魔力を変質させる力はたいてい魔力の消費量がとんでもないことになるため、できればこれを使いたくはなかった。最悪の場合前魔力を使って一滴しか血を作れない何でこともあり得るのだ。

「血を操るのは無理でも、魔力を血に変えるのは似たようなことをやったことあるから_______」

 血を操ったことが無いのとは対照に、俺は魔力を別のモノに変質させたことがある。

 それが、“神話再臨(イミテーション・ゴッズ)”だ。

神話再臨は、魔力で神器を形作ることでその神器の特性に合った疑似的な神の力を得るという、魔力を神の力へと無理やり変えるものである。何でもできる本来の神の力とは違い、神に匹敵するほどの“一つの現象に特化した力”になってしまうことや、それ相応の“代償”を払わなければならないという不完全なものでもある。

やったことがあるからこそ魔力の変質が難しいことが分かっているとはいえ、今回の魔力を血に変えるというのは、神話再臨よりも苦労はしなさそうだった。

「_____それに、称号もある」

 称号があるということは、この世界に許可されたということを意味しているため、すんなり出来そうだ。

 出来そうだったのだが_________

「………………………これだけ?」

 俺が保有している魔力の半分を手のひらに集め、それを血に変えるのは上手くいった。

 だが、如何せん量が少ない。

 手のひらでの動きに合わせて波紋を作る血は、片手の手のひらから“こぼれそうもないほど”の量しかなかった。

「でも、それ相応の魔力は籠められてるのか…………………」

 血を作るのに魔力を消費したのではなく、血を変えるのに使った魔力はすべて血に込められているようだった。

「まあ、魔力を血に変えてるんだから当然か」

 俺の体に流れている血と手のひらの上にある血は、魔力の量という点において違いがあった。

 だが、それ以外は普通の血とは変わらず、いい匂いがしたし、おいしそうで________

「……………………はっ!!」

 気が付いたときにはすでに手遅れだった。手のひらの血を飲み、残った手のひらの血をきれいになめとっていた。

「………………なるほど。吸血鬼というのは、魔力量が多い、つまり、レベルの高いものの血ほどおいしそうに感じてしまうのか。というか、美味しかったなこの血」

 だが、俺は焦ることなく冷静に分析を始めていた。

 それもそのはず______

「魔力から作り出した血を飲めば、その分の魔力は戻ってくるみたいだな」

 血をこぼしたりしなければ、魔力を血に変えて、その血を飲み、また魔力を血に変えて______というような永久機関を作れるらしい。

 それなら、無限にさっきの美味しい血が飲めるのでは?

「………………………いや、やめよう」

 食欲とも違う吸血鬼特有の欲を、前の世界で鍛えられた強靭な精神力で打ち消した。

「でも、もう一回くらいなら………………………やっぱりやめておこう」

 打ち消せた、のか?


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