レベルアップ
とりあえず間に合いそうなのでダイジェストにはならなさそうです。
とはいえ、突貫工事のようになっているため変更や削除をするかもしれませんのでご了承ください。
「そういえば、結局体はこのままなのか……………」
俺がこの森に入って少し休んだ後、最初に出たのがその言葉だった。
本来であれば、“換魂の魔眼”がアンのもとに届けられ、俺の体に入ったメアリーがやってきたときに再び入れ替わればいいと思っていたのだが、メアリーの目的が勇者にしか手に入れることができない“仮面”だったということもあり、魔眼が届くより前にメアリーと遭遇してしまった。
それだけならいいのだが、俺の体を手に入れたメアリーは仮面の力によって死んでしまっている。それも、体が黒い炎に包まれ完全に消滅しているため、魔法で何とかできる話ではないだろう。
もう元の体に戻ることは完全にあきらめるしかない。
「まあ別に、この体って結構高スペックだし目的を達成するならよかったとは言えるんだけどさ…………………」
この体は魔力も多ければ、亜人という謎の種族でありその分何か特殊な力があるのかもしれない。性別が変わったということに目をつぶればよかったとさえ思えるほどだ。
この体の持ち主がメアリーだということもあり、人のいる場所へ出ていくことは出来なさそうだが、時間をかければアンが誤解を解いてくれるだろう。それまで森の中でレベルを上げて魔力を増やしつつ、ほとぼりが冷めるまで待てばいい。
そういった意味でも、女になったということに目をつぶれば何も問題はなかった。
まあ目をつぶることはできないんだけど。
とはいえ_______
「新しい体に入ることにそんなに違和感がないってのもどうかと思うんだよなぁ…………………」
前の世界で転生した際に自分の体なのに自分の体ではない違和感があったため、それに慣れているからかこの体でいることに拒否感はあまりない。
それとも、最初の体の記憶がないから新しい体に入ることに違和感を覚えることすら出来なくなってしまったのだろうか。
「まあいいや、そんなことよりも________」
俺は森の奥から高速で近づいてくる魔物の気配に集中した。
「あれは…………………クマか?」
黒っぽい毛皮と筋肉が発達していることがうかがえる全体的にずんぐりした四足歩行の獣。俺の身長の5倍はあろうかというほどの巨体を揺らしながらこちらに向かってきていたが、その割に足音が静かだった。
どうやら戦える体をしているのに忍び寄る技術も持っている厄介な敵のようだ。
でも________
「どちらかを極めた方が絶対強いのに________」
クマらしき魔物は俺との距離を一瞬で縮め鋭い牙で噛み千切ろうとしてきたが、俺はそれをしゃがんでかわすと、クマの下見潜り込み、魔力を込めた右手を魔物の心臓部に当てる。
「________ねっ!!」
その力を一気に開放し、魔物の毛皮を貫通し、クマの内側に直接ダメージを与えた。
毛皮越しにクマの内臓が使い物にならなくなったのが分かった俺は追撃するのをやめてクマらしき魔物を眺めるのだが_______
「あ」
口から血を吐き、力を失ったクマは当然のごとく俺の上にのしかかってくるわけで。
「ちょっ、まっ!!」
俺は覆いかぶさってくる巨体をすんでのところでかわすと、地面に座り込んだ俺の目と鼻の先で大きな音を立てて魔物が倒れ伏した。
「危なかったな…………………………ん?」
倒れた際の音と地面を伝わる衝撃に、あのままだったら死んでいたかもしれないことを実感していると、何やら魔物から多くの魔力が流れ込んでくるのに気づいた。
「力が、みなぎってくる…………………?」
魔力が流れ込んだだけでなく、体中から力があふれる感覚に俺は戸惑った。
だが、それも少しの間だけでこの現象の正体にたどり着いた。
「もしかして、これがレベルアップか?」
俺はこの体が内包する魔力が3倍にも増えていることを確認しつつ、自身のステータスを確認した。
ミサキ
Lv.13
種族:亜人(吸血鬼)
称号:世界を■■者 悲■の勇者 真祖
スキル:
「おおっ!やっぱりレベルが上がってる!………………………ん?」
倒した魔物が強かったのか、それともこの世界でレベルが上がるのが早いのか、レベルが13も上がっていた。
そのことに喜ぶとかどういった仕組みでレベルが上がるのかを考え始めようとした時、“ソレ”が目に入った。
「なんか……………………ついてきちゃった?」
称号の欄に、メアリーではなく本来俺が持っていた不穏な称号があった。
「死んだときからあったし、俺の体というよりも魂についてたって考えれば自然なんだけど…………………」
前に見た時と変わらずよくわからない状態でそこにある称号は、どうも不穏にしか感じられない。
それに、俺本来の使用言語である日本語で表示してあるが、どうも読めないところは俺も知らない言語が使われているらしい。
試しに解析魔法を使ってみるが、当然魔法が発動するも効果は発揮せず何も分からずじまいだった。
「効果さえわかれば、不安は解消されるのに……………………」
そもそもステータス自体に解析魔法が使えることができるのかを確かめようと、メアリーが持っていた称号である“真祖”に解析魔法を使った。
すると_______
「………………………これは分かるのかよ」
“真祖”という称号の効果が、文字というよりも概念的な情報が解析魔法により頭の中に入ってきた。
それにより、解析魔法を使っても何も分からなかった二つの称号への不信感がさらに高まったが。
「いや、もうそれについては考えないようにしよう」
俺は不安になるのを抑えるためにソレらから目をそらし、真祖の称号の効果へと意識を向けた。
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