二十七話 どーっちどっち?
そろそろポイントが10万ポイントになるので、本日二度目の投稿です
ストレス発散と言っても、基本的に臆病者な俺は余裕を持って優雅に獲物の前で舌なめずりできるような性格をしていない。
【上忍】のように獲物をネチネチと甚振る趣味はないし、技術の向上を謳って標的をわざと解放し、必死に逃げているところを後ろから狙う【弓聖】や【大魔導士】のような真似もしない。
故に送迎の際などはもっぱら【剣聖】や【聖騎士】がやるように、無慈悲に、かつ最速で仕留めるよう努めていた。
【上忍】に言わせれば「それの何が楽しいんだ?」となるが、俺はタスクが溜まればストレスを感じ、タスクが消化されればスッキリするタイプの人間なので、全力で力を放出してゴミを片付けるだけで十分以上にストレスを発散できていたし、なんならその後に報酬のチケットを使って色々と発散すれば、それだけで幸せになれていた。
今思えば、我が事ながら「なんと安上がりな人間だ」と呆れるほど単純だったと思うが、それで誰かに迷惑をかけたわけでもなし。
それで本人が「幸せだ」と納得しているならそれでいいのだ。
で、だ。
最近は、強くなり過ぎた弊害か、本気でナニカをする機会が少なかったせいで、正直ストレスが溜まっていた。
この歳だと大人のお店にも入れないしな!
当然、モノ言わぬ壁や碌な反応を示さない魔物にぶちかますだけでは満足できるはずもなく。
やはり、生きた人間相手にぶちかましてこそ解放できるナニカは確かに存在するのである。
どれだけ嫌っていようとも、結局のところ俺も【ギルドナイト】の一角を担っていた外道なのだ。
今更その性根を変えることなどできやしないし、そもそも変えるつもりがない。
故に、機会があればぶちかますことに躊躇などしない。
もちろん、但馬さんや西川さんらを巻き込まないようにする程度の分別はあるし、西川さんらにドン引きされないよう配慮する程度の分別も残している。
求められているのは、敵の殲滅と比較的好意的だが仲間とまでは言えない相手への威圧を兼ね備えた攻撃だ。
一番簡単なのは、ステータスを活かして殴り倒すことだろうか。
これなら圧倒的速さと攻撃力を見せつけることができるだろう。
しかし、全員に腹パンして胴体ごと吹き飛ばすのは面倒だし、なにより絵面が悪すぎる。
それで言えば、全員の首を刎ねるのも一緒だ。
つまり、通常攻撃の類は今回の目的に即していない。
物理攻撃ができないなら、残る手段は魔法となる。
おあつらえ向きなことに、商人系のジョブの特徴の一つに『全属性の魔法適性を持つ』というものがあることは広く知られているため、ここで俺がどんな魔法を使っても違和感を覚える者はいないはず。
精々が威力に驚くくらいだが、その程度であれば「鍛えてますから」の一言で解決できる。
こうして、殲滅手段は魔法に決定した。
残るはどのような魔法を使うか、だが。
「但馬さん」
「……なんだ?」
「これから魔法を使って連中を消し飛ばそうと思うんですが……『滅びの爆裂疾風弾』と『大災害』、どっちが見たいですか?」
「はぁ?」
「ちなみに『滅びの爆裂疾風弾』は風魔法で圧縮に圧縮を重ねた球体に、火魔法で作成した特殊な火種をぶち込んで内部で爆発を繰り返させることで完成した小型で超高温の爆縮固体に、少量の水魔法を投下して水素爆発を起こさせることで生成される地獄の塊のようなモノを超高速で叩きつけて広範囲を蒸発させる複合魔法になります。今の俺だと発動に一〇秒くらいかかりますが、その効果は保証しますよ」
必要とされる魔力の量が膨大であることとバランス調整が難しいという欠点はあるものの、理論上は風属性と火属性と水属性の基本魔法さえ使えれば再現できるという長所を持つことで知られる【大魔導士】謹製のお手軽殲滅魔法だ。
連中程度であれば間違いなく一瞬で蒸発するだろう。
なお、万が一生き残っても爆心地は酸素どころか空気そのものが存在しない真空状態となるため、一息吐いただけで酸欠状態になるという罠まで付属するという、隙の生じぬ二段構えの魔法となっている。
記憶の中では【大魔導士】と俺だけが使用できていたが、時間さえあれば誰でも使えるようになっていただろうな。
「……『大災害』は?」
おっと、懐かしんでいる場合じゃないな。
「『大災害』はですねぇ。まず土属性の魔法と火属性の魔法をかけ合わせて作ったマグマを地面に叩きつけ続け地下に人工的なマグマ溜まりを作成して、そのマグマ溜まりにこれまた水魔法で作った水を合成することで水蒸気爆発を引き起こすことで、局地的な地震と地割れが発生しますよね? このとき割れ目から勢いよくマグマが吹きあがってきます。これと同時に風属性の魔法と火属性の魔法をかけ合わせた火炎旋風を発生させ、その旋風に雷を纏わせるとこの世の終わりみたいな竜巻ができます。この二つに挟まれた相手は、身動きが取れないまま死にます。こちらは発動まで三〇秒ほど頂きたいですね」
天災の代名詞である地震と雷と火事と竜巻を一箇所に集めてかき回ぜることで即席の地獄を作る魔法である。
こちらに関しては、当時の俺に『雷撃』のスキルがなかったこともあって完全には習得できなかったので、完成形は【大魔導士】にしか使えなかった。
もちろん、基礎理念などは叩き込まれていたため、今の俺であれば問題なく使えることは確認済みだ。
尤も、俺の場合はステータスによるごり押しになるため、発動させることは出来ても、その完成度は【大魔導士】に遠く及ばない。
なので、彼女が同じ時間と手間をかけて発動させた魔法に比べれば格段に威力は落ちるだろうが、それでも連中を排除する程度であれば問題はない。
ちなみに両者の差としては『滅びの爆裂疾風弾』の場合、一瞬で相手を消し去るという特性のせいで殲滅速度には優れるものの、高い魔法防御力を持つ相手には効果が薄くなるという欠点があるのに対し、『大災害』の場合は、発動速度や殲滅速度に難はあるものの、超高温のマグマや雷を纏った巨大な竜巻という物理的な力を持つ事象による攻撃も伴っているため、魔法防御力だけでは耐えきれないという厄介さがある。
速さをとるか、威力をとるか。
一瞬の消滅か、継続する地獄か。
どちらを選んでも、結果は一緒。
連中は全滅するし、西川さんらにもそれなり以上の圧力が掛けられるから、目的は果たせる。
さぁ但馬さん。
俎板の上に居ることすら理解できていないくせに、己が我々の上に立っていると錯覚している雑魚どもをどうやって料理するか、お選びください。
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次回予告
やめて! 悪辣非道な主人公の殲滅魔法焼き払われたら、レベルが足りない瀬田垣の魂まで燃え尽きちゃう!
お願い、死なないで瀬田垣さん!
アナタが今ここで倒れたら、河内連合はどうなっちゃうの?
可能性はまだ残ってる。
ここを耐えれば、西川さんたちに勝てるんだから!
次回、瀬田垣死す。
デュエルスタンバイ!















