表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Luck TesT  作者: まきろん
3/35

予選ー2

つまらない学校の授業が終わると、私はすぐに雑貨屋へと急いだ。

たくさん棚に並んでいる色とりどりの包装紙やリボンの中から、朱美の好きそうな色や柄のもの真剣に選び、お会計をすますと、さっさと家に帰り、買ってきたラッピング用紙で、綺麗にチケットを包んだ。


(朱美、きっと驚くだろうなぁ)


わくわくしながら、私はああでもない、こうでもないと、リボンを何度も結びなおした。


「葵、ごはんできたよー!」

「はぁーい!」


母が階段下から声をかけてきたので、私は返事をすると、完成した例のものを、そのまま机の上に置いて、部屋を後にした。


「今日のご飯、なに?」


聞くと母は、はい、といい匂いをさせるお皿を渡してきた。


「やった、カレーじゃん!」

「お父さんの分も、並べておいてね」

「はぁーい」


一緒に渡されたお皿を、私は机の上に置いていく。


「あら、なんだかご機嫌じゃない」

「え、そう?別にいつも通りだけど」


母に指摘されて、そんなことないよ、と私は答えた。


(あっぶな!うっかり母さん経由で朱美に話が行かないとも限らないんだから、気を付けないと)


ぺちぺちと頬を叩きながら、今度はスプーンを机に並べていると、まるで見計らっていたかのように、玄関がガチャガチャと開く音がして、『ただいま』と父の声がした。


『いただきます』


ちょうど準備が終わると同時に、部屋着に着替えた父がリビングにやってきたので、いつものように、家族3人そろって食卓を囲んだ。

父がテレビをつけ、ニュースが流れる。


「あ、私見たい番組があるから、天気予報終わったらチャンネル変えるから」


私がそう言うと、父ははいはい、と答えてリモコンを渡してくれた。


『本日未明、○○区で若い男性の遺体が発見されました。遺体には…』


ニュースを見て、母が少し、嫌そうな顔をする。


「いやだ、また死体が発見されたって。今月に入ってもう何件目かしら」


ため息をつきながら、お箸を置いた。


「葵も母さんも、気をつけるんだぞ。最近は物騒なことが多いからな」


父が言うのを聞いて、私は笑った。


「大丈夫だって。確かに最近、ちょっとこの手のニュース増えてるけど、ぶっちゃけ、そうそう身近に起こるわけないって。お父さんってば、心配性」


『次のニュースです。○○市の川に、アザラシの…』


さっきまでの死のニュースから一転して、明るい話題に変わったので、私たち家族の話題も、その話題に切り替わり、遺体のニュースのことはすっかり頭から消えていく。


夕食を終え、見たいテレビを見終わった後、お風呂に入り、私はいつものようにベッドにもぐりこむ。


(いつもと変わらない毎日が、今日も終った)


私は目を閉じ、そして、深い眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ