1st resulted
救急車に消防車、パトカーと、あらゆる緊急車両が集まっていた。
「痛い!痛いよぉ!」
「まだ友達が中にいるんだよ!」
「おい!3組の生徒は無事か!?」
「みんな落ち着きなさい!」
「先にこの子を運べ!ここじゃ処置が間に合わない!」
様々な叫び声、悲鳴、泣き声、怒声が当たりを飛び交う。
次々と校舎から生徒や先生が飛び出してくる。
そして徐々に、怪我をした先生や生徒たちが目につき始める。
「本郷!?」
一向に現実味を帯びてこない、この目の前の光景を、私はじっと、結斗の腕を掴んだまま見つめていると、突然自分の名前を呼ばれた。
振り返ると、そこには、鬼クマ先生が驚いた表情を浮かべながら立っていた。
「緒方も!お前らは無事だったのか!?」
今にも泣きそうな表情になりながらも、ほっと安堵の表情を浮かべる鬼クマ先生に、私は小さく、え?と聞き返す。
「……すまない、今はちょっと他の生徒の確認もあるから、お前たちはそこのフェンスの辺りで待機していてくれ」
鬼クマ先生はそう言って少し離れた場所を指さすと、そのままバタバタと、他の生徒たちの方へ走って行った。
私と結斗は、わけがわからなかったが、とりあえず、鬼クマ先生に言われた通り、フェンスの辺りへと移動して、そのまま地面に座り込んだ。
混沌とする中、怪我のない生徒は、先生に誘導され、校庭の真ん中の方へと、クラス毎に移動させられていた。
私と結斗は、少し離れた場所から、その様子をじっと眺める。
「……ねぇ、結斗」
集められている生徒を見ていて、私はあることに気付き、徐々に不安になり、結斗の方へ身を寄せた。
結斗は何も言わず、ただ、震える手をそっと、私の手に重ねてきた。
なぜ自分達だけは別の場所へ離されたのか、ようやくわかった。
(―――クラスメイトが誰もいない)
炎があがっていた場所を思い出す。
場所は4階。
いつも自分達が化学の授業で実験を行う教室がある場所も4階。
(あの場所……化学室だ…………)
その事実に気付いたとき、私の頬を涙が伝って落ちた。
何故、涙が出たのかわからなかった。
自分と結斗は生きていて無事だからと、安堵したからなのか。
もしかしたら、自分は死んでいたかもしれない恐怖からなのか。
また、自分だけは助かったからか……。
私は両手で顔を覆い、声を殺して泣いた。
そんな私を、結斗は何も言わず、ただ、ぎゅっと、抱きしめた。
*****
誰も居ない教室のとある机にかけられた鞄から、ブルブルと何かが震える音が響いた。
鞄の中にしまわれていたスマホのディスプレイが光り、メールの受信を知らせた。
タイトル:『選考委員会より1stステージ通過のお知らせ』
本文
1stステージ無事通過、おめでとうございます。
貴殿におかれましては、次のステージへと進んでいただくことが可能です。
もし、次ステージへの昇格を辞退される場合は、お手数ではございますが、本メール受信1時間以内に、本メールへご返信をお願いいたします。
*****




