1st Stage ー1
気がつくと、窓から日が差し込んでいた。
結局、あの後、朱美も真也も連絡がつかず、無事かどうかの確認ができずにいた。
結斗も私も、それぞれの両親から、今どこにいるんだ、と怒りの電話がかかってきてしまったので、とりあえず、一旦帰ろう、ということになり、自宅で朱美からの連絡を待っているうちに、どうやら眠ってしまっていたようだった。
私はベッドから降りて、のろのろと部屋を出ていき、リビングに置いてあるテレビをつけた。
どの局も、昨日の爆発事故のことばかり取り上げられていた。
手にしていたスマホを確認してみる。
だが、メールも電話もLIMEも、朱美からの連絡は何も来ていなかった。
私は深い溜め息をつく。
「おはようございます」
玄関から声が聞こえてきた。
その聞き覚えのある声に、ふらふらとリビングから出て行く。
「あ、葵。大丈夫か?」
「結斗……」
彼の姿を見て、私はほっと、安堵する。
朱美と真也の安否がわからない今、彼の存在は、私の心の支えになっていた。
「上がって」
彼を私の部屋に案内する。
ベッドにもたれ掛かり、二人で横ならびになって床に座った。
「あれから、結斗の方には連絡ってあった?」
私が聞くと、結斗は首を横にふった。
「葵は?」
聞かれて私も、首を横にふった。
「ニュース、見たか?」
きかれて、私は首をまた横にふった。
「さっき少し見たくらいで 何かあったの?」
私が聞くと、彼は、いや、とだけ呟く。
「あのさ、今日、一緒に居てくれない?」
一人で朱美からの連絡をただ待っているのは耐えられない、と思った私は、ぎゅっと自分の膝を抱えながら、小さな声で結斗に聞いた。
「ああ」
彼も同じ気持ちだったのか、そう言って頷いた。
一緒に居てくれるとわかって、私はホッとする。
それから私たちは、リビングに移動して、特に何かを話すわけでもなく、ただ一緒に並んで、事故の報道をじっと見つめていた。
時折、遺体で発見されたと人たちの名前がテレビに出てきていたが、幸いなことに、朱美の名前も、真也の名前も、どちらも出てくることはなかった。
だけど、正直なところ、それがいいことなのか、悪いことなのか。私にはわからなかった。
何度もスマホを開いては閉じ、時々メールやLIMEを送ったり、電話もかけてみたが、結局、返事がくることも、電話がつながることもなかった。
「お願いだから……無事でいて……」
今にも消えてしまいそうな声でそう呟きながら、私はギュッとスマホを握りしめて、ただただそう、祈った。




