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苦手な方はご注意ください。

日常茶飯事

作者: 苑城 佑紀

【匂い】※キスで話す夜


バーで仕事してるが耳の聞こえない達也と出会った時は会社員だった。

その頃、特におしゃれなんてするわけでなく。

リベンジだった筈の会議は、達也と喧嘩して事故にあったために意味がなく。

そのおかげかなにか、万里(まさと)は会社を辞めた。

同じバーで働く達也と万里。

「あれ?」

今じゃバーの仕事も慣れた。

「はい?」

「万里、何かつけてる?香水かなんか」

そう、万里にしては初めての客に。

「あー、達也が俺に合うって」

「流石、彼氏のたっちゃん、わかってる」

「でも、俺、そういうの全然わからなくて、前がサラリーマンだったから」

「これから、色々覚えるって」

「でも、大丈夫ですか?新婚って、前」

「大丈夫、この店に来てるのは言ってあるから」

すると、万里の横に来た達也。

お疲れと覚えたての手話をする万里。

「一緒に良いですか?」

「どうぞ」

そう手を差し出した客にありがとうと。

「嫉妬かな」

苦笑いした万里。

「…かも」

ビールを持ってくると乾杯して。

メモ帳とペンを持ってくる。

「なに、話してたんですか?」

「香水、万里からいい匂いしてきたから」

そうメモ帳に書き出すと達也に見せた。

すると嬉しそうな顔を。

「でしょう?でも駄目です、万里は俺のですから」

すると冗談混じりに客はオーナーに。

「オーナー、いつからここゲイバーになったの」

「さあな、最初からじゃないのか?」

そう冗談で返事を返すオーナーに万里は笑う。

何を言ってるかわからない回りに、前は辛かった時もあったが、今は隣に居る万里の表情でもわかるようになった。

「万里さん」

「ん?」

と、見つめる万里。

「今日の香水だけじゃなく、TPOにあった香水、教えてあげますから」

「あ、うんっ」



【節分】※秘書の秘密シリーズ


今日のお昼は恵方巻きと、朝早くから松川が何やらやっていた。

大梁(おおさわ)コンサルティングの男性秘書の松川と田崎。

高校は違うが昔テニスの試合だけで知り合った仲は今や恋人同士。

田崎が起きた頃は既にバスケットの中に切った恵方巻きを詰めて。

「弁当?」

「今日のお昼は恵方巻きです」

「昼に巻き寿司?」

「大丈夫ですから」

アタリませんよと自分の分を入れると弁当袋にしまう。

「ただ、切ってますので、丸かじりは出来ません」

「逆に助かる」

秘書室で丸かじりしてる時に電話なんてこられたら焦る。

というか、失態。

お互い同じ弁当袋を持って会社へ。

お昼と弁当袋をデスクの上に。

すると松川は紙袋を持って。

「社長にか?」

「そうですよ」

口元緩めた松川にちょっと嫉妬しながら、バスケットの中に入っていた恵方巻きを口にした。

戻ってきた松川は田崎が先に食べてるのを見て、茶筒からお茶の葉を急須に入れ、ポットからお湯を入れ、カップに入れると田崎の前と自分の席に。

向かい合わせな席の為、美味しそうに食べる田崎を見て松川は嬉しそうな顔をした。



【くるみパン】※闇の向こうの光


女子高の先生である(まこと)の所に、生徒が来る。

いつもの、調理実習で作った今日はくるみパン。

それを持って。

職員室に学年問わず来るので、誠は職員室から出た。

「嬉しいけど、緋苅(ひかり)が嫉妬するんだよね」

苦笑いするしかない。

緋苅とは誠の嫁。両目が見えないハーフ。

以前、持って帰った時、そういうのは嫌だと言って。

「なら、緋苅さんにでも」

一度、体育祭に行ってみたいと言った緋苅のために連れてきた。

それから、誠を通して緋苅になどと理由をつけたり。

見えない緋苅を拒否される事をしてくれないだけでも嬉しいのは嬉しい。

そして、断るのも少し可哀想だとも思ってくる。

「…じゃ」

受けとると生徒は嬉しそうに。

そんな顔を見せられるとやっぱり教師としては。


ただいまの声に、緋苅は壁伝いに玄関に向かう。

片手伸ばした緋苅に誠は掴みそのまま抱き締める。

「ただいま、緋苅」

「おかえり、誠」

ゆっくり離した誠は靴を脱ぎ、緋苅を両手で居間にナビした。

座った緋苅に貰ったくるみパンを出し、こたつの上に。

「…また、貰ってきたの」

「断るのも」

学校でそこそこ人気があるのはわかってる。

誠の性格も、多分それで断られないんだろう。

「…なに」

「今日のは、くるみパン、ちなみに三年生」

手を出してきた緋苅に袋から出し、割って渡す。

「そのまま、上…そう、そうしたら自分にひいて」

誠の声で、口に持っていくと緋苅は食べる。

「美味しかったら、明日のお昼でも」

横から聞こえる音は、隣の部屋へ。

「美味しい」

「なら、良かった」

遠くから聞こえてきた声は近付いてくる。

「ご飯作るからね、後は明日」

しまってるのか物音が聞こえる。

「うん、明日のお昼にする」

「喜んで貰えてよかった」



【妊娠】※聞こえない声にシリーズ


最近、眞優(まひろ)の体調が悪い。

夜は不定期のバーも暫く休んでる。

声が事故で出なくなり、夫の光琉(みつる)が聞いても何が悪いのかわからない。

心配で外回りの途中帰ってきた光琉は、ベッドで辛そうに寝てる眞優の側に。

「眞優…大丈夫か?」

心配そうに眞優の顔を撫でる。

小さく動いた唇に、光琉は眞優の携帯を持ってきて渡した。

掴むと、メモ帳開いて打つ。

[ 吐いた… ]

それを見せると顔が隠れるまで布団を被った。

「眞優、病院行くか」

風邪かと思って、市販の風邪薬を飲ませて居たが、一向に変わらない。

光琉もどうしたらいいかわからない。

病気には縁遠い為に。

一方、眞優は声が出ない事に、まだ一人だった時はなんとか検索したりして治していた。

動かない眞優に、光琉は会社の同僚に電話かけた。

『どうした?』

「嫁が吐いたんだが」

『は?あー、調子悪いって言ってたな…吐いた?』

「そうなんだ」

『…おめでた?』

「それは、あれか?妊娠か?」

『そう、いやちょっとまて、光琉』

「なんだ」

『お前の嫁、男だろうが、風邪かなんかだろ、病院つれてけ』

「そうする、ありがとな」

電話切った光琉は、眞優の側に寄り抱き抱え、病院に連れていった。

結果、胃腸炎。



【笑顔】※全てが好きで


和慎(かずま)は子供の頃の影響で上手く笑顔が出来ない。

その逆にモデル、奏大(かなた)とは恋人。

CMやらの会社の社員の和慎は、新人の奏大に思わず助言してからの付き合いで、売れたら恋人になってやるの言葉に。

自分では笑ってるつもりだが周りから見れば、笑えてなくて逆に怖い。

それを少しずつ笑顔が出来るようになったのは、やはり奏大のおかげ。

会社に居た和慎の携帯にメールが来る。

大好きだよと写真付きのメールは、今季の新商品の男性物のブレスレットをつけた、色気駄々漏れ。

多分来月号のファッション雑誌に出すんだろう。

そんな奏大に思わず口元緩める。

「良いことあったんですか?」

若い女子社員が近くを通るとそう言ってきた。

今までなら近寄りもしなかったのだが。

あぁ、と言った和慎の携帯が鳴る。

『和慎さんっ、見た?写真!』

「見た」

社内から窓の外。

その会社から見える外にあるのは奏大の大きな看板。

冬服にネックレスつけた奏大はいつもの色気駄々漏れの奏大ではなく、可愛く。

「良いんじゃないか?」

『やった…和慎さんに、誉められた』

喜ぶ奏大にこっちまで嬉しくなってくる。

段々と、奏大の仕事の幅が広がってきて、今じゃ何でもこなすトップモデル。

そんな彼氏を持って自慢の和慎は電話を切ると、看板の奏大を見て口元緩めた。



読んで頂きありがとうございました。

なるべく毎日のように上げる事が出来たらいいなとはおもうんですが、なかなか出来なかった日にまだまだだなぁと。

続けていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

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