八話 ギルドに入れました
八話 ギルドに入れました
食い尽くしたマグロで脂まみれになった四人の小人。
要は彼女達にウェットティッシュを渡してあげる。
「要さんは良い人ですね」
「あのままでは姉御のライフルに触れなかったです」
スミス姉妹は幸せそうな顔で、組み立てを再開した。
「魚はあまり食べないの?」
要はふわっと誰か答えて欲しくて質問を投げかけた。それにはエスパーダが答える。
「人間より溺れるリスクがあるのよ。後食べられるリスクも」
「そうなんだ……」
「そういえばあいつは魚獲りうまかったね」
「そうそう。あいつ」
「上杉銛か」
アックスが言ってしまうとスミス姉妹は不満そうな顔をしている。思い出すまで言わないで欲しかったのかもしれない。
「それよりライトハンド、レフトハンド。スナイパーライフルは完成しそうなの?」
「もうすぐ組み立てられる」
「要さんの金を受け取ったからしっかりやってるよ」
要は二人が組み立てるのを見ていた。ぐうーとお腹が鳴る。マグロは全て食べられたので、要の分がない。
「二人はゲームはやらないの?」
「え? ああ。やっても良いんだけだとね」
「僕等は知っているのさ。ゲームに熱中すると姉御が横暴になっていくのを……」
「前のゲームでパワハラして解散に追い込まれたもんね、ギルド」
「今度はしないわよ」
「信じられないんだよな」
「確かに」
「要だっているよ」
「要さんかぁ」
スミス姉妹は要を見上げる。
要は笑ってみせた。
「要さんを守るってのもアリかも」
「確かに」
二人は笑い合った。
ライトハンドとレフトハンドはスナイパーライフルを組み立て、スマホに異界大戦をダウンロードした。そしてエスパーダのギルド『エスパーダと愉快な下僕達』に加入した。