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第十話 おぉ、弟よ。すまんな、おにぇちゃんで


 俺は今、産まれて数日しか経ってない赤子を見下ろしている。

 見下ろせているのは、天の羽衣服を着てるからだ。

 前回、着るのにめちゃくちゃ時間が掛かったから、自動で着れる魔法を付与してる。イメージは女児向けアニメの変身シーンみたいなのでやったら出来たのだ。

 ……プリ○ュアやん。


 で、この赤子は誰なのか。

 そう!我が弟ですよ!

 あの変な誕生会の三日後にポンッと、産まれたですよ。はい。

 すまんな、弟よ。

 俺は男で女という摩訶不思議な存在なのだ。

 俺自身、兄なのか姉なのかよくわからん。

 二つ合わせて、『おにぇちゃん』でいいか?


 ……なんかオカマみたいで嫌だなぁ。いや、オカマみたいなものなのか?


 で、弟はスカーレット?クリムゾン?違うな。こう、血のように赤黒いに近い赤色。

 何て言うのだろう?

 ・・・・!

 ブラッドヘヤーと命名しよう。

 ちょっとダサいが男のために時間を余り掛けたくない。

 弟くんにも名前はあるだろうが俺は知らんし、暫くはそのままで。


 この世界の髪の色は本当に魔力量と属性?への相性で決まるんだな。

 前の世界でこんなのが産まれてきたら取っ組み合いが起きたかもしれんぞ。

 水色から赤黒いになるとか、パパンの血が本当に流れてるのか怪しいレベルぞ。


 前の世界では男は女のように子供を産めないから、母親と全く同じ愛情を注げないとか言われてたな。

 うん、男からしたら本当に自分の子かわからんからな。

 彼女が出来たと言って、本当に俺の子?って聞くバカがいるのも仕方無いだろう。男だって不安なのだ。

 って、今はどうでもいい。


 問題は、俺の立場だ。

 恐らく、この世界でも男尊女卑の文化体型だろう。

 誕生会に出席してたのが殆んど男だったのを見て確信した。

 ま、男尊女卑になるのは仕方がないことだと思う。

 家や家族、村や町、果ては国を守る時、戦うのは男なのだ。

 戦う人と戦わない人、どちらが敬われるかは明白だろう。


 日本では左翼だったか?その人たちが自衛隊を批難してたが、国を守る人を貶す時点で本当の国民ではないだろう。

 戦いを忌み嫌うのは良いことだろう。皆がそう思えば、争いを避けるのだから。

 だが、人は欲で動く獣なのだ。理性では止まらん。

 どんな聖人であろうと、友人や家族を酷く殺されれば殺意を抱くだろう。


 そう、例え血の繋がった兄弟(姉弟)であろうとも。

 俺はママンの後を継ぐことはないだろう。男の跡取りが産まれたのだから。

 なら、俺はどうなるのか?

 ママンは女主人で商売人だ。何の見返りもなく俺を育てはしないだろう。

 俺の髪がもっと暗かったら何処ぞの商会や貴族の嫁に出しただろう。

 でも、俺は白に近い髪でリリスという婚約者が既に出来てしまっている。

 婚約を反故にしても傷物?バツイチ扱いでいいか。

 そんな✕有りに良縁は無い。

 だから、俺の立場は今の段階では、微妙なのだ。


 今だって、俺の世話をしているのはリリス一人だ。

 なのに、弟くんには既に三人も付いてる。格差を感じる。

 ママンは俺より弟が重要だと判断してるのだろう。


 で、将来の俺はどうなるのかと、不安なのだ。

 国王がいちゃもんを付けようとして開かせた誕生会。

 そんなことが今後も起こると考えると、文句を言われない程度にはちゃんとした育成をするだろう。

 では、育った後は?


 俺には婚約者がいる。なら、結婚相手の家に行くのが女としては普通だろう。

 だが、相手は女のリリスだ。よくわからん事になった。

 結婚した家に何かしらの譲渡や融通するように迫るのが普通なら、リリスはこれから先、おどされ……違うな。揺すられ続ける可能性がある。

 それは、駄目だ。

 リリスは女で俺は男だ。

 女を守るのは男の仕事だと言えるだろう。俺も今は女だが、心は男だから問題ないだろう。


 そんな未来を迎えない為には、何をしたらいいのか。

 それは、ママンを止める役を作るのだ。

 さっきも言ったが、人は欲で動く獣。

 理性で揺する道ではなく、愛情という欲で庇護する道を選ばせるのだ。


 すまんな、弟よ。

 お前には、俺を好きになってもらうぞ。

 あ、いや、女性としてではなく姉?としてな!

 家族愛、大事。純情!

こいつはくせぇー!

ゲロ以下の臭いがプンプンするぜぇ!


そこは悪女の匂いって言ってクレメンス。

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