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フェアリーランタン ~異世界Side~  作者: 純粋どくだみ茶
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006話.フェアリーランタン

挿絵(By みてみん)

魔法ランタン(フェアリーランタン)


妖精ルリが冒険者ギルドの建物内で水大きな水の塊を出現させる魔法を披露した事で、ペリエ達の傭兵団は特例で認められた。


ただし、あの魔法によりペリエ達の傭兵団には相応の力量があると認識され、街を守る城壁の3割近くの守りを割り当てられてしまった。


妖精は、人族には見えないので実質ペリエとシルキーのふたり。つまり子供と女性だけで城壁の3割を守るのだ。


この城壁を敵から守り切れば金貨30枚の報酬。それと敵が撤退する迄の食料の供給を受ける事が出来る。


ペリエ達は、城壁の上に宿営地用の幕を張り借りた大盾を何枚も並べて簡単な陣地とした。


妖精を含めてもたった4人の傭兵団。誰の目にも城壁を守れる訳がないと皆が大きな声で影口をたたき大笑いをしている。


そして数日後には、敵軍が街の城壁の前を流れる川向うに集結する。その数ざっと3000人。さらに城壁の反対側にも1000人程の別動隊が森の中に陣取っている。


ペリエ達の傭兵団。名前は”フェアリーランタン”。


どうひいき目に見てもとても強いという印象を受けない。


傭兵団の由来は、実に簡単であった。冒険者ギルドの女性職員が申請書にある傭兵団の欄が空白なので記載する様にとの指示にペリエが何も思いつかず、床に降ろした大きな荷物にぶら下がっていた魔法ランタンを見て思いついた名だ。


城壁の上で待ち構える街の警備隊。それとこの領地を守る領主から派遣された兵士達。とはいえ彼ら兵士達の殆どが領地から強制的に派遣された領民で殆どが農夫や他の街の住民である。


殆どの者がまともに戦った事などないのだ。ただ、この世界ではどこかで戦争は絶えず起きている。そしてその戦いに参加した者の殆どが生きて帰って来ないのだ。


だから戦争で戦いになれた者など少ない。


さて城壁の上でぽつんと孤立する4人。他の者の目に映る数から言えばペリエとシルキーのたったふたり。


それでこの広い城壁を守らなければいけない。


不安になるペリエに妖精ルリが言った言葉実に笑えた。


「異世界のおじさんからかれーめんを貰って来たからお湯を沸かしておいてよ」


「お湯?まさかここでかれーめんを食べるの?」


「そうだよ。今の僕達妖精が魔法を使うには、異世界のかれーめんが必要だからね。それに異世界のおじさんに戦争が始まるって言ったらかれーめんをいっぱい持たせてくれたんだ」


妖精は、魔法ランタンの横にかれーめんの容器を山の様に積み上げて見せた。


「敵が来たら特大の水魔法をぶっぱなして敵が城壁に近づけない様にする。そうすれば戦争はすぐに終わるよ」


妖精ルリの楽観的な作戦?がペリエ達に示された。


「作戦か。実に簡単でいいな」


「シルキーは、僕達妖精が逃がした敵を弓で倒してくれればいいよ」


「承知した!」


膝を折り城壁の影に隠れて弓を構え警戒態勢に入るシルキー。


「ペリエは、僕達がかれーめんを何時でも食べられる様に絶えずお湯を沸かしておいて。それとシルキーが逃がした敵が城壁に上がって来たら呪いの魔石で敵の行動を妨げて」


「分かった」


ペリエからしてみればお湯を沸かすだけの簡単なお仕事なのだが、妖精の力を補給するためには無くてはならない重要な仕事である・・・はず?


気合を入れて薪を集め火を起こすペリエ。そして樽を用意し水を汲みポットで湯を沸かしてその時を待つ。


そして川向こうから鎧のこすれる音が幾重にも響く。恐らく敵がこちらに移動を開始したのだろう。


それと同時に攻撃魔法が城壁を飛び越えて街のあちこちに着弾して炎が上がり始める。


いくら城壁があるとはいえ魔法で攻撃されれば対処する方法はない。


魔術師には、物理防壁や魔法防壁を使える者もいる。だが魔術師の中では数が少ない上に攻撃魔法よりも魔力を使いさらに魔術としても上位に位置するため使える者が極端に少ない。


ましてや街を守れる程の規模の大きな防壁魔法を使える者など、この世界にいるのかさえ分かっていない。


なので街が魔法による攻撃を受けても火を消す事くらいしか出来ないのだ。


城壁を守る兵士の中にも魔術師がおり、そういった者達が魔法による攻撃で応戦を始めた。だが、攻撃力が弱いのか敵の兵士が構える大盾により簡単に弾かれているのが遠目にも見てとれた。


敵軍は、いくつかの隊列を作り先頭の部隊が川を越え城壁の前へとやって来た。だが部隊の本体はまだ川の中ほどを通過中である。


「さて、ここで川に大きな水の塊を落としたらどうなると思う?」


妖精ルリの妙ににやけた顔が実に印象的である。


そしてルリの頭上には、大きな屋敷おも超える巨大な水の塊が浮いている。それがゆっくりと宙を舞いながら川の上へと移動すると勢いよく川へと落下していく。


そして一気に増水した川は、鎧を装備して動きの鈍くなった兵士達をことごとく飲み込んでいく。


悲鳴が周囲に響き渡る。だがそんな事など全く気にも留めない妖精ルリは、次から次へと巨大な水の塊を作っては川へと投下していく。


城壁の上から国境となっている川を覗き込むと、数えきれない程の敵兵士が川の底に沈んでいるのが見える。


「凄い。あの水の塊でどれだけの人が死んだんだろう」


ペリエが城壁の下を覗き込むその隣りでは、先に川を渡った敵兵士をシルキーの矢が次々に射殺していく。


城壁の下には、既に数十体の死体が重なり合い山を築いている。


「私の弓は、矢の補給の必要がない。それに放った矢は私の思うところに飛び全ての武具を貫通するのだ。この弓を持った私は最強だ!」


ダークエルフのシルキーは、何やら悦に入ったようで自身を褒め称えながら次々に矢を放ち敵兵士を射殺していく。


「ペリエ。お腹がすいた次のかれーめんを用意して」


「はい。出来てるよ!」


ペリエが手渡した熱湯を入れたばかりのかれーめん。それが出来るまでの時間を城壁の上に座りながら待つ妖精ルリ。


その光景を唖然とした顔で遠巻きに見守る警備隊の兵士達。


気が付けば敵軍の半数以上が川の底に沈んでいる。そして城壁の下でシルキーの矢で射殺され山を築く。


あまりの光景に敵軍は、川向こうで大盾を構えて動かずに防御陣形を築き始める。


妖精ルリは、そこにも上空から勢いを付けた巨大な水の塊を一気に落下させる。


あまりの水の塊の衝撃により鎧を装備した男達が意識を失いその場に倒れ動かなくなる。


「これで敵もこちらを攻撃する事はないと思うけど」


妖精ルリの言葉に城壁の影から状況を伺うペリエとシルキー。


そういえば鍵妖精のキーはどうしていたかというと、妖精仲間のルリから貰った異世界のお菓子をただ貪っていただけだ。


鍵妖精キーは、物理鍵、魔法鍵、魔法陣鍵とあらゆる鍵の開閉を行う事ができる。だが攻撃魔法も防御魔法も使えないのだ。


だからこういった戦場や闘いの場での活躍は皆無である。本人もそれを承知しているので、邪魔にならない様にと幕の横に置いたペリエの大きな荷物の上で異世界をお菓子を食べて状況を見守っていたのだ。


やがて敵軍が撤退すると城壁の上を警備隊の部隊長が慌てた様子で駆け寄って来た。


「あれは、本当にお前達がやったのか。3000人の部隊をお前達が追い返したのか」


口から唾を飛ばしてまくしたてる様に言い放つ警備隊の部隊長。


「僕達っていうか妖精さんがやってくれたんです」


「妖精・・・か。私にはその妖精が何処にいるのかさえ見えんが、こちらには損害が殆ど出なかったのでな。妖精にありがとうとだけ伝えてくれ。それと報酬は弾むと領主様から話があったぞ」


その後、兵士が城壁を出て倒れている敵兵士の生死の確認を始めた。


「あっ、僕も呪いのかかった武具の回収に行って来る」


慌てた様子で城壁の階段を降りていくペリエ。


「待ってくれ。私も行くぞ。ペリエ殿だけでは危ないぞ」


その後を追うシルキー。


ふたりとも軽装な武具しか装備していない。もし敵兵が潜んでいて矢でも放たれたら一撃であの世行きである。


倒れている兵士の死体を慎重に確認していく街の警備隊の横を駆け抜け、川底に沈んだ敵兵の死体から武具をはぎ取るぺリエ。


いつもは、戦場に勝手に入り込み勝手に兵士の死体から武具をはぎ取る。当然ながら兵士に見つかれば剣を振り回され矢を射かけられるのだが、今回は戦争に参加した当事者だ。


しかもこの戦いの勝利者のひとりでもある。誰もそんな行動を咎めたりはしない。


川底に沈む敵兵士からいくつかの剣と武具をはぎ取ると満面の笑顔で城壁の上へと戻るペリエ。


そうペリエには、呪いがかけられた武具が何処にあるのかが分かるのだ。呪い武具に特化した探査魔法というやつである。


これと武具にかけられた呪いを魔石に移す能力によりこの世界を鍵妖精のキーと共に生きて来たのだ。


城壁の上に張られた幕に戻るとこの街の領主の使いという者が待っていた。


「私は、この地を収めるボンド男爵の執事です。領主様がお呼びです。今は、戦時下ですのでそのままのお姿でお越しください」


戦時下という言葉を放った領主の使いという者は、老齢で執事服を着こなすいかにもといった風体の男性だ。


領主の使いの者に領主の屋敷へと案内され、屋敷内の小さな部屋で待つペリエとシルキー。そして人の目には見えないが鍵妖精のキーと妖精ルリも一緒だ。


しばしの時を待つと扉を勢いよく開け放ち身なりの良い初老の男性が現れた。


「待たせてすまぬ。まさかこうもあっさり敵が引くとは思わなかったのでな。今、街の周囲に偵察部隊を送り敵部隊の情勢を探っているところだ」


そう言った老齢の男性の一歩後ろを歩くのは、先ほど案内をしてくれた初老の執事である。


「ボンド男爵でございます」


執事に促さる様に領主の男爵に頭を下げるペリエとシルキー。


「それでだがこの街を守る守備隊が戦うまでもなく、君達が3000人の敵を追い払ってくれたそうだな」


男爵に返す言葉を躊躇するペリエ。対してダークエルフのシルキーが言葉を繋ぐ。


「はい。とはいえ実際に戦ったのは、妖精様です。我々は、妖精様の水魔法攻撃でうち漏らした敵兵をほんの少しばかり倒していたにすぎません」


「ほう、謙虚だな。しかし妖精がいるのか・・・。まさかこの部屋にも?」


「はい。ふたりの妖精様がペリエ殿の肩と頭の上に乗っております」


すると男爵は、ペリエの肩と頭の上を覗き込んだ。


「お気をつけください。妖精様は、気まぐれです。何で心を害されか分かりません。もしかすると敵兵を討った水魔法を放つかもしれません」


「おおっ、そうであるな。すまない」


すると執事がペリエ達に何かが入った袋を差し出した。


「これが今回の報酬だ。この戦いで街が焦土と化す事も考えていたのだが、まさかこちらの損害が殆ど無い状態でいられるとは夢にも思っていなかったのでな」


そして男爵は、こう話を続けた。


「それでな。お前達は、旅の途中だと聞いた。出来るならもう少しこの街に留まってはくれぬか。その間の宿泊や食事の面倒は、こちらで見させてもらう」


お金と食料が無くなりかけて来たところに男爵からの提案である。内心喜ぶペリエ達であった。


妖精が自身の食いぶちを稼ぐために傭兵部隊を立ち上げます。


この世界の生命力を昔の様に大地から得る事が出来なくなっていた妖精達は、異世界の食べ物を補給する事で力を発揮します。※かれーめんやお菓子ですね。



さて来週末は、キャンプ3回目です。2回目の冬キャンプです。フェアリーランタン現世界Sideの撮影を兼ねてます。


その次の週末は、動画の編集が待っています。3回目のキャンプの動画とUNIFRAME REVOフラップⅡのレビュー動画です。


「僕の盾は魔人でダンジョンで!」の時は、週2投稿でした。フェアリーランタンは、週1投稿なので楽になるかと思ったんですが、撮影と動画編集とお話を書くのでかえって大変になってます。


それにまだ動画編集の知識とか無いので。


とはいえ、動画撮影と動画編集のどっちが大変かといえば、動画撮影です。


撮影で何を撮るかなどの台本というかシナリオというかコンテは、書かないので撮り忘れると動画編集がつらくなります。どうせコンテ書いても見ないしね。ふう。


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