1話 決意
空を見上げると、オレンジ色に染まった空が見える。
オレンジ色はずっとずーと先まで染まっているように見えた。
約束を交わしたあの日も、こういう空だった。
そして、あいつはオレンジ色の夕日に溶けていくように消えていった。
「……」
もう待ってられない。
あたしはあいつに会いに行く。これだけ心配させたんだから、会えた時は殴ってもいいよね、一発くらい。
“必ず帰ってくるから待っていろ”
と言ったのは覚えているが、いつまで経っても帰ってこない。もう待ちきれない。
待ちきれないから、というより一番の理由は、きっと今あいつに会いたいから。
今すぐ会いにいくわ。
このドキドキをおさめてもらわないといけないんだから。それは彼にしか出来ないこと。
会ったらもっとドキドキするかもしれないけど、きっと心地良いものに性質が変わる。
「会いにいくからなー!!」
少女がオレンジ色に落ちる陽に向かって吠えた。
猛々しい。
乙女の決意。
これを止めることは出来ない。世界の法則を看破して、あらゆる感情も都合のいいように変換する。
罪があるとしたら、乙女に決意させた相手にあるだろう。
罪な男である。
決意を完璧に固めた乙女は、夕日に向かってダッシュしていた。
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