√ α BAD END
第38話でフラヴィが『虚』に飲まれた場合の結末となります。
全てが闇に飲み込まれて、僕は自分を見失った。
肉体を失い、魂だけの存在と化し、ただ暗闇を揺蕩う。
この『魂』は不滅の『神』の魂。
朽ちる事なく、滅する事なく、悠久の時を越えてなお不変。
あの日、かぁさまに飲み込まれて以来どのくらいの月日が経ったかなんて僕にはわからない。
この闇はかぁさまの心。
かぁさまに包まれて、かぁさまに抱きしめられて、かぁさましか見えない、全てがかぁさまで染まった世界。
僕とかぁさまだけの狂った世界。
延々と囁きが聞こえる。
耳をすませば、耳をそばだてれば、何時だって聞こえる。
かぁさまの声が。
ひたすら聞こえてくるんだ
愛してる、離さない、独りは怖いんだ、約束だよね、ずっと一緒、何も怖くないから、お話ししよう?ボクをみて?楽しいなあ、好きだよ、えへへへへ、くっついてもいい?いっそ食べちゃいたいな、あったかいよ、目を逸らさないで、ボクだけを見て?怖い、独りはヤダ、好き好き好き好き!抱き締めて?何話そうか?遊ぼうっ!構ってよ!えへへ……嬉しいなあ、ボクだけのフラヴィ、こっち見て?離さないからね?気持ちいい事しよう?ボクがそばにいるからね、独りにしないで、んふふふふ~、ずっとずっと一緒、絶対に逃がさない……
かぁさま
それが、この世界の全て。
それ以外は何もない。
すべてがかぁさまに飲まれた
全てをかぁさまが終わりにしてしまった。
世界は僕とかぁさまだけになり、それ以外は何もない。
僕を脅かせるのはかぁさま以外にないから、僕は何もすることが無い。
ただ生きる以外やることが無い
喜びも、悲しみも、皆、みんな、全部かぁさまと共に在る
そういう世界に作り替えられてしまった。
死ぬこともできない、自分の殻に閉じこもることもできない。
耳をふさぐこともできない。
叫ぶこともできない。
許されるのは、ただかぁさまを感じる事。
かぁさまに溺れる事。
かぁさまとの触れ合いだけが、世界の全てなんだ。
あぁ、いっそ殺してくれ。
かぁさまが、入ってくるんだ。
僕の中に、かぁさまが。
どこにも隠れられない。
にげられない
きえてく
ぼくのなかがかぁさまであふれる
ボくが、とけていく
いやだ
だれ、
か
殺
ヤンデレ補完計画遂行ルートとでも名付けましょうかねぇ。
怖い怖い。




