第37話 セーラー服と小隊機銃
もうすぐ3章終了になります。
今回も色物ネタばかりなので胃にもたれるかもしれません。
<回想その1>
それは、ぱっと見はウサギのような物体だった。
真っ白なボディに二本の長いブレードアンテナ。
らんらんと輝く真っ赤なセンサーアイ。
やたらと大きくてごつい2本の足がもう少し可愛らしければ、前足の無いウサギさん♪とでも形容できたかもしれない。
「えっと、聞いていいかな?
アレは、何?」
「力強くて可愛らしいものをイメージしてみた!
……んだけど、なぁ~~??」
そのウサギっぽい何かは愛らしく小首を傾げると、前傾姿勢になって突如こちらに突っ込んでくるっ!
「「どぉわああああ!!」」
ブレードアンテナがキラリと煌めき、鋭い先端が容赦なく僕とかぁさまをロックオン。
土煙を上げて突っ込んでくる凶器を横っ飛びで全力回避!
ゴロゴロと転がった先、慌てて顔を上げれば……
キュピン!
真っ赤で円らなおめめを光らせて、再度の突入姿勢をとる『ウサギたん』の姿!
お耳で貫けなかったのを屈辱と感じてか、ジャキン!ジャキン!と鋏のように開閉していらっしゃる。
ドンッ!
再度の突撃!
大きく開いたブレードアンテナが、今度は逃がさん!とばかりに迫る!
(相手はこちらを完全にロックしてる……ならばっ!)
初撃は凌いだ。
動揺は去った。
迫る刃への対策に、無詠唱で『感覚加速』。
ゆっくりと流れる状景に合わせ、落ち着いて刃の下を潜り抜ける。
相手の加速をそのまま利用して顎先を掴み、床に叩き付ける様に軌道修正!
ガンッ! バキンッ!
石畳に突き刺さったブレードアンテナが勢いに負けてへし折れる。
そのまま錐もみしながら吹き飛んだ『ウサギたん』はゴロゴロと石畳を転がっていき……ガシャンと力尽きたように活動を停止した。
「…………」
「…………釈明を聞こうか?かぁさま」
「え、えっとね?
可愛らしさと強さを併せ持ったハイスペックなゴーレムでもと思って作ったんだけど……ね?
ロボっぽさ?ってのを出してみようかなぁ、って色々想像したのを合わせてみたら、ね?
こんなん出ました~~~みたいな?」
「コンセプトは理解したよ……。
でも誰が『首狩りウサギ』を造れと」
「ごめん……」
<回想その2>
「今度はどうだい!?
凄く可愛らしいでしょ~?
どうどう?これならフラヴィも納得の出来じゃない?」
「おー?
これは……魔導士型のゴーレム?」
目の前に鎮座するのはデフォルメされた魔法使い、とでも言うような形のゴーレム人形。
つば広のとんがり帽子にマントの少女をモチーフにでもしたんだろうか?
わざわざ眼帯に杖まで装備させているあたりにこだわりを感じる。
「ほら、『イクウェス』は騎士型のロボだったじゃない?
だからボクは魔法使い風のロボを……」
『否!我は魔法使いにあらず!』
「「は?」」
突然どこからか聞こえた声に僕等は首を傾げる。
『我は魔法使いに非ず!
我はアークソーサレス!
創世神エル・フィオーレ様の被造物にして最悪最強の魔法を操るゴーレム!』
声のする方を見れば、ゴーレムの魔法使いがビシッ!とポーズを決めてこちらを見ているではないか。
「……かぁさま、また生命与えちゃったの?」
「い、いやだなぁ、今回は何にも妙な事はしてないよ!?
ただ、前にフラヴィが話してくれた最強最悪の頭のおかしい魔法使いの娘の話をイメージしながら造型してたくらいで」
「原因はそこしかないじゃないかっ!!」
『偉大なる我が力を疑うなら、今こそ見せよう最強最悪の魔法をっ!』
「「え、ちょっとやめ」」
『EXデトネーション!』
チュドオオオオオオオオオオン!!!
止める間もなくゴーレムが放った魔法は最凶最悪の自爆魔法『EXデトネーション』
最強と言ってもあくまでも一般レベルの話だったから何とか空間断絶結界が間に合って無傷だったけれど……。
こめかみがひくつくのはどうやっても抑えられそうにない。
「かぁさま、言いたいこと分かるよね?」
「はい、ごめんなさい……」
流石に大人しくお説教を聞くかぁさまだった。
<回想その3>
「今度はどうだい!?
安全性は保証書つけちゃうくらい!
造るときにも余計な事は考えなかったし、我ながらいい出来だと思うよ?」
「お~~……これは確かに……って言うと思うかっ!」
「な、なんで~~~!?」
安全性に関しては確かに花丸が付くだろう。
そもそも武器っぽい要素はゼロだし。
余計な事を考えずに作った、というのも頷ける。
余計な事を考えて作ったならここまで見事なものは生み出せなかっただろうから。
「……かぁさま、確かに何度も作ったものが暴走して反省しているのはこれを見ればわかるよ?
でも、お題は『ロボット』だよねぇ!?
何故僕のリアル神像(かぁさまの生首付き)造ってるんだよ!
リアルすぎてドン引きだよ!
神々しさが溢れまくって発光してるじゃないかっ!」
「これもダメ出しっ!?」
ダメに決まっている。
何が悲しくて自分の神像を評価せにゃならんのですか。
しかもすっごいいい顔でかぁさまの首と見つめ合ってるし。
「出来が良すぎて壊すに壊せないようなもの造るなよぉ、頼むから」
「う~ん、これならOK出ると思ったんだけどなぁ?」
安全面では確かに完璧と言える出来だろう。
なんせただの神像なんだし。
でもお題は『ロボ』だと何度言えばいいのやら。
「これのどこが自立行動する機械なんだよ、と問い詰めたい」
「え、えっと……神々しく輝いてる辺り?」
「それただの照明って言うから」
結局、壊すに壊せなかったのでエントランスに飾りました。
<回想その4>
「難しく考えないでシンプルに行こうと思ってね?
こんな路線で攻めてみたんだけどどうかな?」
「おぉ?
今度はまとも、なのか?」
目の前には僕等の身長くらいにデフォルメされた『イクウェス』の姿が。
翼はオミットされ、全体的に丸みを帯びた風体は騎士というよりも……
「なんかセーラー服着ているみたいに仕上がったなぁ」
「セーラー服?」
「こんな感じの服」
問われるままに地面にラフデザインを書き記す。
「胸部パーツのラインがこの襟のラインに似てるのと、丸みを帯びたせいで膨らんだ袖風に見えるのかな?
ところでそのセーラー服だと何か問題あるの?」
構造的な問題は全くもってないんだけどね。
「問題よ言うよりも、装備との兼ね合いでちょっとしたネタっぽくなっちゃうかなぁ、って」
「ネタ?
どんなネタ?」
ネタと聞いて興味津々な様子で食いついてくるかぁさま。
「そうだなぁ、このフォルムなら機関銃を持たせたり、ヨーヨーを持たせると分かる人にはわかるネタになるかなぁ?」
「機関銃?ヨーヨー?」
「このセーラー服を着た女の子がね、機関銃ぶっ放して『 快……感 ♡』って呟いてみたり、鉄仮面被ってヨーヨーを武器に『おまんら許さんぜよ!』って伝説創ったりするわけだ」
「うん、全然意味が分からないのが分かったよ!」
「だよねぇ」
作品的には何度もリメイクされてたと思うんだけど記憶は曖昧。
作者注)なお、『機関銃』の方の作者さんは『三毛猫ホームズ』シリーズの赤川次郎先生である。ファンなら知っている事だと思うけど初めて聞くとそういうのも書いてたんだ!?って結構驚くよね。
「で、これは合格?」
自信があるのだろう、ニコニコ笑顔で聞いてくるかぁさまに、僕も笑顔で答える。
「不合格、パクリは良くない」
「(´・ω・`)そんなー」
らん豚になっても無駄なものはダメだから。
■ ■ ■
「結局、ボクにどうしろって言うのさ!」
「方向性は間違ってないんだからミュラりん達の事を考えた機能性あるデザインを創造してくれればいいんだってば。
かぁさまは欲張り過ぎて発想が斜め方向にすっ飛び過ぎなんだよ」
僕としてはこうしてくだらない話をしてるのも楽しいからいいんだけどさ?
実害さえなければ。
ちなみに僕が現在デザインしているのはいわゆる人馬型ゴーレム素体だ。
機動性に優れ、かつ人体の上半身を持つことで器用さも兼ね備える。
ゴーレムという特性を活かし、後ろ脚を畳んで2足行動も可能。
感覚器系を人体に近づける事によって、人型生命体との共感を得やすくする事も視野に入れている。
後ろ足を翼に可変させて飛行も、というコンセプトも考えはしたが、そこまでやるのは盛り込みすぎだろう。
出来ればミュラりん達が自分たちの創意工夫で至ってほしい。
「僕がデザインしてるのはこんな感じなわけ。
ちなみにこれだって先人のデザインあっての代物なんだよ?
ここまでやれとは言わないけど、独自のアイディアが欲しいって言う意味が分かるでしょ?」
「そ、想像力……!
ボク、フラヴィには一生かかっても想像力では勝ち目がない気がするよ……」
「何を大げさな」
こんな感じでああでもないこうでもないとアイディアを出し合いながら、ミュラりん達が『自力で生成出来る素体』のベースが数年がかりで完成する。
その頃には肉片と化していたゲジュルベリアさんやキルギリオスさんも無事復活し、皆で楽しく騒ぎながら『素体』の完成を祝った。
気が付けば僕の身体もそれなりに成長し、肉体的には約10歳ほどになっていた。
フィオ「突然のように時間が進んだねぇ?」
フラヴィ「基本的に一度細々としたルートに入ると僕等の場合は延々それのリピートだからね。
それが神生活と言ったらそれまでだけど、読んでる側は飽きるでしょ?って作者が」
フィオ「むっかー!ボクとフラヴィの生活を飽きるだとっ!
耳元で毎晩どのくらい楽しいか語っちゃる!
次回!かみぐらしっ! 第38話 見失っていたもの」
フラヴィ「また不穏な予告を……」




