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かみぐらしっ!  作者: 葵・悠陽
第3章 『奈落』で生きるという事
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第27話 戦えフラヴィ!敵は謎の神機体

ロボバトルってどこが盛り上がるポイントなんでしょうね?

個人的には造形とか機構とか、戦闘シーンよりギミック面とかに興味が向かってしまいまする。


「やりなさい!『プファイファー』!疾風の如く!」


 オオオオオオオ!!


 ルーナ・ルーナの機体は彼女の命令を受けると大剣を腰溜めに構えギンッ!と相手機体をひと睨み。


 その巨体を活かし剣撃の有効範囲にひと息に踏み込むと大上段から振り下ろす!


 巨大かつ無駄にイケメンな見た目と裏腹に見事な速さ、見事な剣筋だ。



 対するノーマ・イクサの機体は、シャランと涼やかな音を響かせて、下がるどころか逆に『プファイファー』の懐へと飛び込んでいく。


「愚かな騎士をその腕で穿て」


 イーマ・イクサの命令で、大剣の一撃をかいくぐった『クリスタ・コッペリア』はその多角錐の腕を大きく広げた。


「あらあら~?わたくしの『プファイファー』は下僕たちが貢いでくれたオリハルコン合金製の強化装甲に包まれていますのよ~?

そんな貧弱な腕で抱きしめるのは無理じゃないかしら?」


「それはどうかな?」


 ニヤリと笑うノーマ・イクサの期待に応えるが如く、『クリスタ・コッペリア』の両腕の多角錘が突然ばらばらと解け、鋭いニードルの群れと化したではないか!


「おおっと!巨大な『プファイファー』の懐で『クリスタ・コッペリア』の腕が分解炸裂だ~~!!

これはまるでニードルをたっぷり詰め込んだコンテナミサイルかっ!

いや、違う、違うぞ~!?

ニードルの一つ一つが意思を持ったかのように宙を舞うっ!」


 リレーター氏の言葉に会場が大きくどよめく。


 彼の言葉通り、分解、射出されたニードルは宙を踊る様に舞い、呆然と立ち尽くす『プファイファー』をあっという間に全方位から取り囲んだのだ。


「7つまでの未来を先読みする我に、死角はない。

貴様の負けだ、ルーナ・ルーナ」


「ま、まだ!まだ負けではありませんわっ!

そんなこけおどしの針なんかにわたくしの機体が……!

『プファイファー』!『イグナシオン』展開!」


オオオオオオオ!


 ルーナ・ルーナの命令の下、その手の大剣が変形を開始するが……


「見えているといっただろう」


 無慈悲に振り下ろされるノーマ・イクサの手。


 彼の意志に従いニードルの群れが『プファイファー』の手首を一瞬でえぐり落とす!


「ああっ!?」


「とどめだ」


 『イグナシオン』を取り落とした『プファイファー』をニードルが刺し貫き地面へと張り付けに。


「わ、わたくしの機体が~~~!!」


 じたばたと藻掻くも脱出ならず、そのまま3分が過ぎ……


「規定時間となりました!

『プファイファー』行動不能!

勝者!ノーマ・ノクサ~~~!!」


「ふん、……他愛ない」


 言葉少なく無表情の彼にしては、珍しく嬉し気な空気を滲ませているのがちょっとおかしい。




            ■


「さぁさぁ、あっさり負けたイケメンゴーレムによる前座は終了だ!

祭りの流れは把握したな!?

こんな感じで切った張ったが繰り広げられるから期待値上げてけよっ!!

さ~~て、それじゃ次の試合の組み合わせだっ!」


 確かに勝負が一瞬で盛り上がりに欠けた第一試合をばっさり前座と切り捨てるリレーター氏。


 続いて告知されたのは……


「第2試合 イッアム・シテー VS ゲジュルベリア 」


「オオッ、ワシノデバンデスナ」


「ふぇっふぇっふぇ!

婆の相手は貴様かい。

かぁ~~~っ、役者不足もいいとこだねぇ」


「どっちも頑張ってよ、期待してる」


 気勢を上げる二人に声をかけると、爺さんは嬉しそうに笑い、婆さんは…意外そうに口元を歪めた。


「ぼーうやはほんに甘い、甘いのぅ……。

ま、よかろ、それも経験じゃ」


 妙に意味深な言葉を残し、二人は壇上に上がる。


「……イッアムのアレ、どういう意味だい?」


「わかんない」


 不審げに尋ねるかぁさまだけど、僕も意味が分からないから答えようがない。




「イデヨッ!機獣ノ王ヨ!『キメライガー』!!」


 ゲジュルベリア爺さんが呼び出した機体は、完全に獣型のゴーレムだった。


 地面に描かれた赤き光の魔法陣から猛然と飛び出す影!


 黄金に輝く眩い機体のフォルムは百獣の王たる獅子のそれ。


 その、雄々しき獅子の鬣部分が……何故か「うにょうにょ」と蠢く触手になっている。


「「「「「「「きもっ!!!」」」」」」」


 会場中から「キモイ」コールが挙がったのは当然かもしれない。


「貴様はほんにセンスの欠片も無いものを造るのぅ」


「カッコイイジャロウガ!」


「何処がじゃ!

よいか?

キモかっこいいとはこういうのの事を言うんじゃ!

深淵の底、冥府の淵より出でませぃ異形の僕!顕現せよ!『オクタマンボーGX』!」


「オ、オクタだとっ!」「フラヴィ、どういう意味?」


「オクタってのはギリシア語由来で『8』って意味だ。

以前のトライが『3』を意味したのに対し、今度は『8』!

どんな気持ち悪い機体に仕上がっているか……!!」


「うっわぁ……」


「おい!『創世神』の小倅ッ!!

俺の仕事を取るんじゃね~~~~!!」


 リレータ氏の苦情があったが、そんなのは知らん。


 イッアム婆さんの背後の空間がひび割れていき、砕けた位相空間から這い出てきたのは……


 首元から8本のタコの足を生やした、マンボーの被り物をした黒い全身タイツの巨人!


「「「「「「「更にキモイじゃねえかっ!!」」」」」」」


「ふぇっふぇっふぇ!!!」


 会場から沸き起こる『キモイ』コールは爺さんの比ではなかった。


「なんていうかまんま『クトゥルー』系統じゃんよ!」


「顔はタコじゃないからモーマンタイじゃ!」


 色々な意味でヤバい感じがしないでもない機体、なのだが……同時に妙な違和感を感じた。


「これが、イッアム・シテーの『作品』?

なんかおかしくないかい?

あのクソババアの作品にしては……」


「え?」


「ふぇっふぇっふぇ!

おかしい?おかしいかもしれないねぇ!

婆が造る作品の割には、ロボらしさが足りん!

そう!浪漫が足りん!!

じゃからのぅ!見るがええっ!

これがっ!


ロマンじゃ~~~~!!」


 婆さんの言葉に呼応するように、突然『オクタマンボー』が己の腹を引き裂く!


 中から飛び出してきたのは!


「な、なんだあれはっ!

突然『オクタマンボーGX』の腹の中から!

巨大な機械の『ドラゴン』と『マンモス』が飛び出した~~~!!」


 会場の皆が呆気にとられる中。


「ナッ!ワシノ『キメライガー』ニナニヲスルッ!!」


 『ドラゴン』と『マンモス』に皆が気を取られている間に、いつの間にか『キメライガー』の背に飛び乗っていた『オクタマンボーGX』!


 その姿は……


「融合していく……?」


 『キメライガー』に沈んでいくように融合していく『オクタマンボーGX』。


 その姿が完全に沈み切った時、鬣の触手が全てタコの足へと変化する!!


「ふぇっふぇっふぇ!

魅せてやれ『オクタマンボーGX』!!

アルティメット・フュージョンぢゃっ!!」


『アルティメット・フュージョン……承認、ProgramDrive 』


『奈落』の空高く舞い上がった3つの機体が複雑怪奇な変形の下、重厚な巨大ロボへと変化を遂げる。


 全高約25m、重量は一体どれほどか。


 胸に巨大なマンボウの顔を聳やかせ、機械竜の翼を広げ威風堂々と立つ姿はまさに鋼鉄の大魔神!


 その圧倒的な威圧感、存在感に誰もが口をつぐみ、息を呑む。


「ふぇっふぇっふぇ、婆があの程度のチャチな機体を造るわけがない?

ごもっとも! まさに然り、じゃよ!

この!『自重無き叡智(マッドクリエイター)』イッアム・シテーが何の備えもせず!何の企みも抱えず!こんな下らん茶番に参加する訳ないじゃろうに!!

お主たちが足りぬ頭で考えた駄作を踏みにじり、奪い取り、虚仮にする!

その時貴様らはどんな顔を見せる?

想像するだけでたまらんじゃろ?

楽しかろぅ?

理解は出来たか?

出来んでもこれで茶番は終わりじゃ」


 突然の事態に反応が追いつかない観衆を後目に、巨神と化した『オクタマンボーGX』が動く。


ぐしゃっ!


 ズン!という衝撃と共に真っ青な血が弾け飛ぶ。


 ゲジュルベリア爺さんが肉片に変えられた音だった。


「ゲジュルベリア! イッアム、貴様ぁっ!」


「いひっ!頃合いかのっ?」


「そのようだねっ!」


「フラヴィっ!」「うんっ!」


 爺さんが肉片に変えられたことに激高したキルギリオスさんが婆さんに飛び掛かろうとした時、沈黙を保っていたヴァーミリオスとジ・フィーニスが動いた。


 彼らは婆さんの隣に立つと、それぞれが自身の機体を召喚!


「無限を体現せよ! 幻惑の使者、夢幻の森の猛き魔獣よ、出でよ『ジャバウォッグ』!」


 ヴァーミリオスの目の前の空間が円形に揺らいだかと思うと、次の瞬間には小さな32枚の浮遊する鏡を従えた虹色に輝く機械の魔獣が顕現する。


「いひひひひっ……小細工など無用!我を護れ『ディープ・アビス』」


 ジ・フィーニスの足元が蠢いたかと思うと銀色のメタリックな液状金属が彼を覆いつくす。


 その見た目はまるで目と口のないメタルなスライムである。


「「「「「「「地味なのがきたああああああ!!」」」」」」」


「地味で結構!」


 ちょっと傷ついた声のジ・フィーニスである。


 だったらもうちょっと工夫すればいいのにね。


「……予定通りの未来か、つまらんな」


「はぁ、せっかくの機体が壊されちゃって残念ですわ」


「お、お主らまで婆に付くというのか……?」


 ヴァーミリオス達の機体に気を取られている間に、いつの間にやら婆さんサイドに加わるルーナ・ルーナとノーマ・ノクサ。


「強いものにつくのは当然だろう?」


「あんな機体見せられたら、勝ち目がありませんもの」


 キルギリオスさんが泣きそうな顔でこっちを見る。


「あ~、大丈夫ですよ、婆さんたちの狙いは僕とかぁさまでしょうし」


「ボクらが君達を裏切るわけ無いじゃないか!

そもそもボクはフラヴィだけの味方なんだから!」


「そ、そうでござるか……」


「そこは『そんな仁義にも劣ることはしない!』って言い切って欲しかったなぁ」


「おおっと、これは思わぬ展開になってきたぞ~~~!

退屈な1VS1の試合が続くのかと思いきや、いきなりの裏切り、いきなりの潰し合いっ!

5VS3という圧倒的劣勢を覆せるか『創世神』!

その巨神の力で『奈落』に覇を唱えるかイッアム・シテー!

これは面白い戦いが期待できそうだ~~~!!」



 この圧倒的劣勢にどう抗うのか?


 皆の機体の籠った視線が僕らに集う。


「ならば魅せよう! 僕らの力をっ!」


「刮目するがいい!

ボクの大事な、ボクが選んだ次代の『創世神』の力を!」


「『奈落』の緋天(てん)より魔を(はら)

『奈落』の大地()より邪を(みそ)

浄化の焔、無垢なる真銀、比翼連理の翼はここに!

聖約に従い我は汝を呼び覚ます!」


「「顕現せよっ!『ヴェリタス・イクウェス』」」


 天が割れ、地が裂ける。


 そこから溢れ出した光が宙に魔法陣を描き、光翼を持つ銀の騎士の像を結ぶ。



 「あれが……彼らの機体……」



 観衆が見守る中、僕らの前に静かに降り立った機体は、傅く様に跪くと胸部のハッチを開き、僕らを招き入れる。


「お待たせいたしました主よ、機体の状態は(コンディション・)全て良好です(オール・グリーン)!」


 コンソールから響くミュラりんの声。


「二人とも、行けるね?」


「もちろん!」「お任せを!」


 腿の上のかぁさまとコンソールに映るミュラりんに声をかければ返ってくるのは力強い声。


 僕は操縦桿を握り締めると、一気に出力を上げていく!


「待たせたなっ!

さぁ、どこからでもかかって来いよっ!」




 白銀の騎士が天空に躍り上がった。





フィオ「皆さんお待ちかねーっ!

いきなり婆が裏切っちゃったね!

退屈なバトルが続くと思ったらとんでもなかったよ。

でも数の上では圧倒的不利なぼくらのフラヴィ、どうするつもりかなぁ?

奈落武道伝かみぐらしっ! 第28話 『驚愕!幻惑の鏡・ジャバウォッグ』に、

レディ~~~~~~~~!ゴーーーーーーーーー!!」

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