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かみぐらしっ!  作者: 葵・悠陽
第3章 『奈落』で生きるという事
22/58

第21話 神は流行に踊るか?

ブクマ増えてましたね、ありがとうございます!

今回から3章です。

異世界物では定番の……


それはさておき先日『劇場版・僕のヒーローアカデミア』見に行きました。

ド派手でいい感じに楽しかったですよ~!

今回は爆轟君ファンにはたまらんでしょうな!

会場で貰える小冊子は見終わるまで開封厳禁です。

会場で貰える小冊子は見終わるまで開封厳禁です、大事な事なので二度言った。


 異世界物といえば、定番の展開として必ず上がるのが自重無き現代文化持ち込みによる『文明加速』や『文化破壊』の数々だろう。


 例えば食事。


 調味料を異世界レベルではありえないくらいふんだんに使用し、豊かな食文化に裏付けされた様々な調理法が異世界飯を蹂躙、駆逐していく。


 美味なる菓子、マヨネーズやソース、カレーといった中毒性の高いスパイスや調味料、そして味噌や醤油といった発酵食材とそこから派生する豊富な酒類。


 加速していく美食の波に、耐性のない現地民たちが流され踊らされ泥沼にはまっていく様は傍から見ると滑稽なほどであり、想像も容易い。


 例えば娯楽。


 代表的なものだとリバーシーやカルタ、トランプ、チェスなどを金持ちに売りつけ、ひと財産というのも典型的な異世界人の儲け口だろう。


 似たような遊びは現地にも存在しているのだろうが、基本的に娯楽そのものが平和の象徴である為に、娯楽がもたらす刺激や快楽に対し耐性がある者がそもそも少ない。


 別にこれら娯楽はゲーム類に限ったものではない。


 歌劇などの物語やスポーツ、ファッションなどでも同じこと。


 現地の人々の琴線(特に金を持っている連中)に触れるものであれば導かれる結果は自然と同じものになる。




 さて、それではそれらの事を踏まえた上で、一つの問題を提示しよう。




 日々を平穏平和に暮らす『神』に、異世界の『文化』はどのように作用するのか?


 これはル・フィオーレ世界の創世神たるエル・フィオーレ自らが提示された問題である。





               ■


「正直言って、全く全然これっぽっちも興味ない♪」


 問題を提示した本人があっさりと答えを言ってくれるので殴りたくなる。


 回答引っ張れよ!


 次回とは言わないけど次ページとかCMの後!とかっ!


 隣でピカピカしているミュラりんも、


<問題に対する思考時間>

<一切考慮無し><納得できず>

<意味不明><母君うぜえ><それは性分>

<<<反省求む>>>


 と大変ご立腹だった。



               ■


 事の発端という訳でもないのだが、こういう問題を提示するきっかけくらいは問題に興味を抱いた誰もが知る権利はあろう。


 普段から僕の母、フィオことこの世界の『創世神』エル・フィオーレは暇があればずっと話すか話を聞くか『しか』しない。


 話の結果言い争いになり角を突き合わせる事こそあれ、基本的にはずっと『聞く、話す』だけの生活を送り続けているのだ。


 僕がこの世界に連れ込まれた約350年位前からずっとそんな生活をしているという。


 『350年(大雑把なもので細かくは不明)』だぞ?


 普通にあり得ない。


 そもそも『神』には食事や睡眠というものが不要だ。


 肉体を持っていてもその肉体は世界そのものであり、この世界が存在している以上人間やその他の生き物のように養分や休息時間をあえて取る事をする必要性がないのだ。


 だからずっと話していたというのは、人間の感覚で言うところの『350年』とはわけが違う。


 睡眠に6~8時間、3食の食事に準備や片付けも込みで1~4時間としようか?


 少なくとも一日の3分の1近くを人間たちの多くは心身の維持に回している事になる。


 それが必要ない。


 となれば『神』の言う『350年』とは数字通りの意味ではなく、人間感覚時間に直すとざっと『500年』ほどの密度を持っていた、という事になる。


 時間感覚がおかしくなる話だ。


 それでいて未だにこうして楽しそうに会話を振ってくるのだから、どれだけ()()()()()()()()()



「なんというか、かぁさまは『会話』が好きなのか?」


「ん~ん?

会話というよりボクが好きなのは触れ合い?

ほら、知っての通りボクの身体こんなだしさ。

会話するくらいしかできる事もないし、()()()()君が現れるまでは出来なかったことだし」


 胡坐の間に収まってニコニコするかぁさま(生首)は自分のボッチ体験をつらつらと述べていく。


「そもそもボク、自分が寂しいとか全然思ってなかったんだよね。

確かにあの子に殺されてこんなところに堕とされたわけだけど、ボク不在であの子たちがどうしてるかなとか考えるの楽しかったし。

そんなところに君が現れて、ボクは孤独の辛さを知ったわけだね~。

同意も無く転生させちゃったのはちょっと反省してるけど、後悔はしてない!」


「少しはしろよっ!」


「だが断るっ!

……君がボクをこんなにさみしんぼにしたんだぞ?

責任取らせるのは当然の権利だと思うけど?」


「うぐッ……」


 凄く卑怯な物言いだと思うが!


 こんなことを言いつつ実は結構気にしているのは知っているし、一緒に居られて嬉しいと思う自分がいるのも事実なのであえて口には出さない。


 ……絶対に調子に乗るからな。


「それにしたってずっと会話を続けるのもどうかと思うよ?

少なくとも、時間は腐るほどあるんだからゲーム考えるとか美味しいモノ食べるとかもっとこう……そう、文化的な生活を送ってもいいんじゃないか?」


「う~ん、文化、ねぇ……?」


 文化、その言葉を出した途端かぁさまは渋い顔になる。


「ねぇ、フラヴィ。

ボクら『神』にとって、文化ってどんなものだと思う?

どんな風に作用すると思う?」


「どんなものか?

……妙な事を聞くなぁ?

人間や亜人が生み出す生活様式なんかの総称じゃないのかい?

それがどんな風に作用するかなんて……刺激を受ける?」


 質問の意図がよく分からず、無難な回答しかできなかったのだけど。


 『神』からすれば興味深い刺激だと思うのに、違うんだろうか?




「正直言って、全く全然これっぽっちも興味ない♪」




 かぁさまの口から出たのは明確な拒絶の言葉だった。


 隣で聞いてたミュラりんが納得いかぬとプンスカ光る。


「説明求むって言われても……後ウザいって言うな!」


 事実だし諦めろよ……。


「それより、興味がない?

かぁさま、僕の話には興味津々だったじゃないか。

あれだけ喰い付いていたのに、興味がない?

意味が分からないんだけど」


「フラヴィの話には興味あるよ?

でもね、自分でそれに触れたい、関わりたいって思うかどうかはまた別でしょ?」


「うん?

ごめん、ちょっと理解が追いつかない」


「フラヴィの話で例えるなら……トーキョーアザブにある『 Tre Spade』のミラノプリン美味しいんだよって話を聞くのは好きでも、同じものを自分で作りたい、食べたいかって話になればまた別って事」


「内容に興味があっても()()()()()()()()()()()()ってこと?」


「意味はあってるけどちょっと()()があるなぁ~…」


 どういったものかなぁ、小さくかぁさまは呟くとこんな話を始めた。


「ボクらは『神』だから、食べる事も飲む事もしないでも生きていけるじゃない?

だから、というかそのせいでなんだけど、食に対する欲求が()()()()()()()()()んだよ。

もちろん美味しいものを美味しいって思える味覚も精神も()()()()()()()()よ?

だけど、わざわざ自分から生み出そうって()()()()()()んだ。

……そう言えば語弊無く伝わる?」


「あ…………」


 すっかり忘れていたことだった。


 そもそも『生命』としての存在の格が違うが故に、思考、視点が同列ではないんだという事を。


 そこに存在するだけで何人も侵す事の出来ない『絶対』、それが『神』


 『人』であった思い出を軸に『神』を捉えれば『神』の思考を理解できるはずも無く。


 ______かぁさまの言葉に自身の思考を『神』の意識に組み直す。


 否応なく理解させられるのは______




 不要、故に欲を生み出さず。


 求めるが故に欲は生まれる。


 欲があるが故に技術の向上が生じ、欲が無ければそこには停滞しか無い。


 欲無き『神』は故に欲を以て自らを高めた『人』の『技術』を讃えるのだ。


 『神』を驚嘆せしめるまでに至る『過程』と『結果』をこそ、『神』は愛するのだ。


 持たざる者が持つものを称えるが如く。


 持たざる者が持つ者を妬むが如く。


 『至高』の頂に手をかけた『人』を『神』は愛する。




 つまりは、そういう事なのだ。


 『神』にとって『味』は付加価値であり、『食事』を求める欲が無いから『物語』としての興味しか沸き得ない。


 『神』にとって『美』は付加価値であり、『美醜』を求めないから『ファッション』は知識として興味を持つ程度の存在でしかない。


 『神』にとって『娯楽』は周囲の全てがすなわち『娯楽(それ)』であるが故に、わざわざ『ルールに縛られた』娯楽を用意する()()()()()()()()




「なるほど、なぁ。

かぁさまは『人間』が生み出した『文化』そのものには興味はあっても、現実的に求めるような欲求が無いから欲に踊らされたりはしない、と」


「基本的にそういう事だねー。

でもでも、実際に体験したりして欲が生まれてしまうと、その限りじゃないんだよ。

今のボクがもう独りで居たくないと望んでしまうように、知っているだけだったら沸かない欲求も体験してしまえば望んでしまうかもしれない。

そして、ボクら『神』に自重という言葉は存在しない。

一度欲すれば、それこそ限界を超えてひたすらに求め続ける事も有り得るのさ。

……だから、話は楽しむけど『再現』はしないの。

フラヴィの記憶から『再現』することは労力ですらないからね~?」


 そんな風に『神』というものについて語るかぁさま。


 一瞬だけその言葉に交じった苦みは、僕に永遠を強いた事に対する後悔……なんだろうな。


 孤独の苦しみに耐えられなかった自分を侮蔑し、恥じているのかもしれない。


 貴重な体験が出来て楽しんでいるから別にいいんだけどな、僕としては。


「かぁさま、僕は現状を楽しんでるから気にしないでいいよ。

独りにしたくないって思ってた記憶はあるから、自分か『神』化したのはびっくりだけど結果オーライでいいんじゃない?

それに、今の話を聞いて色々つながったこともあるから」


 そう、今の説明で色々つながった、理解できたことはある。


 以前かぁさまが言っていたこと。


『その辺の木や岩に「服を着ろ」って言ってるのと同じくらいに無茶苦茶だよ!?』


 なるほど確かに『神』の目線で考えれば至極納得だ。


 僕もかぁさまも現在全裸だが羞恥も何も感じる事はない。


 幼児の全裸は児童ポルノ?


 『神』は全裸ではない、『世界』を纏っているのだ。


 かぁさまの言う通り、『世界』そのものなのだから全裸ではないのだ。


 素晴らしい解釈である。


 そして『人間』の視点の低俗性を思い知らされた瞬間でもあった。


「なるほど、『神』になって理解可能な事って確かにあるんだなぁ。

『人間』の文化や意識、倫理観は集団生活を円滑に行うためのツールでしかないんだとようやく認識が追いついた感じだ」


「でもでも、フラヴィの持ってる『人間』としての常識、視点としては結構大事だから完璧に『神』に染まっちゃ駄目だからね?

それは『神』として生まれただけの存在では持ちえない価値観。

ボクには理解し得ない未知を知る羅針盤だから」


 だから君から聞く話は楽しくて、ボクにとって最高の刺激なのさ♪


 かぁさまはそう言って話を締めくくった。




 つまるところ、この『奈落』の底では僕が率先して行動を起こさない限りは、水着回も飯テロもない……そういう事なのだ。





 そして、僕にそんな予定はない。


 絶対に『美味いっ!』としか言いそうにないかぁさま相手の美食回?


 バラバラ死体な生首幼女の水着姿?


 誰得なんだよ……。









フィオ「ふふん、ボクは流行には流されない女神だからねっ!

肌荒れ?そんなものとは永遠に縁がないっ!」

フラヴィ「そもそも死体にそんなケアが居るわけ無いだろう。

さて次回予告だけど……なんかミュラりんがプルプルしてるな?」

フィオ「なんだろね?

次回 かみぐらしっ! 第22話 『アイゼンミュラーは文化したい』

みんなー!文化してるー!?」

フラヴィ「シェ〇ル・ノームのものまねかっ!」

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