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スピンオフ~ヨルム様の見ていない世界~5

作者: 斎藤 怜

この作品は「ヨルム様の独り言日記」のスピンオフです。

本編はこちら

https://ncode.syosetu.com/n1404fi/


本編が殺伐としているので、この世界のヨルムと主人公であるアルファズルが見ていない世界をお楽しみください。


勇者とは、


聖導貴族である三賢者に仕える者の中から特に勇敢で勇猛、そして義勇に優れた者が自ら名乗る称号である。


そして、ここに1人、その勇者がいた。


このオレは聖導貴族3賢者の次兄ベルザ導士様に仕える勇者、「黄金」のキングルである。弓を使っているか


らと言って弓の勇者など、安直、愚直、闇弱の誹りは免れない!


「あら、弓の勇者様、今日も凛々しいお顔立ちで」


「勇者ちゃん、これあげる。これって貢物になってしまうのかねえ」


「弓の勇者様~先日は助かりましたぞ~またお頼み申しますとばあさんもいっておりましたわ~」


「あ、金ぴかのおにいさん!こんにちわ」


「だめよ金ぴかなんて言って。申し訳ありません勇者様」


「阿呆が!「弓の」ではなく「黄金の」と言わんか」「ええい軽々しく話しかけるではない!あとこれは貢物とする。出来次第では税を控除するとも!」「阿呆がーーーーーー!黄金のと呼ばんかーーーーー!この耄碌がーーーーー!」「良い、そのまま金ぴかとオレを呼ぶ事を許す。娘よ」「重ねて良い、金ぴかと呼ぶのは許許すがいずれは「黄金の勇者」と呼ぶようしつけておくが良い」


なぜだ、なぜオレがこの支配している自らの領地を歩いているとこうも気安く話しかけてくるのか。ええい、民なら民らしくこの支配者たるオレに傅き、道を開けぬか。うむ、この瓜は良く育っているな、小さいがこれで食べられるのなら悪くない。


「て、何を食べているのだオレは!いや、貢物であるならオレが直に食すのは当然だ!そうではない!」


そうではないのだ。一刻も疾くオレはこの地を黄金の地に変える。その為にこうしてオレの目で直にベルザ


導士より賜ったこの肥沃な土地を黄金で埋め尽くすのだ!



「ああ、」


「おいばあさん大丈夫かよ」


「いてて、そっとしてくれ。どうやら腰をやってしまったよ。ちょっとうごけそうにないねえ」


「おい」


「あれ、勇者様」


「何をしている」


「いやばあさんが腰をやっちまってよ。勇者さんよ、なんとかしてやれんかね」


「ほう、ちょうど良い。オレは今機嫌が悪くてな。このオレの拷問を受ける者がいないか品定めしていた所よ、お前に決めた。疾く拷問部屋に連れて行くとしよう」


「ひいいい」




「あ~勇者様、そこじゃよそこ~」


「ええい、恍惚とした声を出すでない!気が散るわ」


ここはオレの拷問部屋。ベルザ導師様に直々に誂えて頂いたこのつまらぬ領地にあるオレの娯楽よ。


「ふむ、では次は…ここだ」


「はぁぁぁぁぁぁ…不思議だねえ。勇者様の拷問を受けたら腰の痛みどころか体が軽くなったもんよ」


「何故だ、何故この書の通り体を針で突き刺しているというのに、こいつらは喜ぶ?!」


これは部屋を誂えて頂いた際に頂いたこの地を収める者にとって欠かせぬという秘術の書。針を用いた拷問


はこのオレの元々と相性が良い。針の扱いは得意中の得意だ。だが、何故かこれを受けた年寄りどもは笑顔


で帰っていくのだ。


「勇者様」


「話しかけるでないわ」


「勇者様はいつまでこの村にいてくださるんだい?」


「阿呆が。この地を収める時にいったであろう。この地はオレの主であるベルザ導士より賜った物、そしてそれをこのオレが手放すことなどあり得ん」


「そうかねえ。この土地は自然には恵まれているが如何せん小さな村だからねえ。若い人は皆出稼ぎに近くの町か鉱山に行っちまう。だから年寄りと数少ない子供らしかいない。こんな所に勇者様がいてくださっても退屈なだけだろうに」


「重ねて阿呆が。このオレには野望があるというのを忘れたか」


「なんだっけかね。年寄りは忘れっぽくてねえ」


「この地を黄金で埋め尽くすのだ。それでこそ、このオレに相応しいという物になる。ひいてはベルザ導士の手柄となる。全く、耄碌しているとはいえ、忘れるでない。いずれ貴様ら年寄り連中にもオレの黄金をみせてやろう」


「そうだねえ。ならそれまでしっかり生きないとね」




「気をつけろよこの年寄りが」


「あんがとね針の勇者様」


「阿呆が!!お・う・ご・ん・の!!」


全く元気に手を振りおって。今に見ておれ、このオレがこの地を黄金で埋め尽くしてみせる勇姿を。


最後まで読んでいただきありがとうございました。


本編そっちのけでこれ書いてるので本編と誤差が、ネタバレが。


気を付けていきます。

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