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トリックってなに? (叙述トリック編)【古龍 3章「宰相暗殺計画」 ネタバレ注意】

「小説の最大の素晴らしさは、情報量の少なさだ」


この言葉は、某有名ゲームシナリオライターさんが。小説を出版した際に、コラムで語っていた言葉です。

(原文ではありません)


さらにこの言葉、元ネタは別にあって。その元ネタらしきものの元ネタもあって……

――要は、広く使われてる言葉なんですね。


確かに漫画やアニメやゲームと違って。映像は読者の脳内にゆだねられるので、作者としては。

そこが勝負になったりします。


そこで、その勝負自体に「トリック」を仕込むのが『叙述トリック』です。


ミステリ作品の金字塔のひとつ。

アガサ・クリスティーの「アクロイド殺し」は、この叙述トリックの名作です。


この作品が世に出た1926年に「これはミステリとして成り立っているのか」

という論争が起きたぐらい、衝撃的な作品です。


今では「本格ミステリ」の手法として確立していますが……


じゃあ、具体的にどんなトリックかというと。



\\\\\ 例 初め  \\\\\


アキラは、今日も元気に日焼けした素肌をさらし。

「今日は僕と遊びに行く約束だろ!」

とすねた。


俺は由美子と図書館に行きたかったから、そのもうしでを断った。



\\\\\ 例 終わり  \\\\\


こんな文章があらわれると、ミステリファンは「きたかな?」と疑います。


そして主人公が由美子に振られ、アキラに励まされ始めたりすると。

「やはり……」と、ほくそ笑みます。


そして。

『アキラを抱きしめると、その意外に大きな胸の膨らみに、俺は驚いた』


の文章を読んで…… 真面目に採点したりします。



これは性別トリックとも言われる手法です。

よく利用されるのが「アキラ」や「カズミ」等の「男女どちらでも使われる名前」

や、ボクっ娘キャラや、寡黙系美少女なんかです。


性別がはっきりと分かる表現を、わざと避け。

それでいて、ちゃんと読めば「女だよー」という表記を散りばめ。

――読者を驚かす手口です。


少々メタっぽい手法ですし。

「どこが推理なんじゃー!」という叫びも聞こえてきそうですが……

これも「推理トリック」の王道のひとつと認められてるモノなんですね。

本格ミステリの1つの手法とも、言われてます。


ライトノベル系だと「乙一」先生が名手です。

また「西尾維新」先生も、この手法を「推理」作品に取り入れることがあります。


両者がラノベ作家かどうかも議論があるかもしれませんが。

興味がございましたら、ぜひ手に取って見て下さい。



それ以外にも代表的なのが。

「双子トリック」 入れ替わり。

「告白トリック」 犯人が自供を始めるけど、実は犯人だと思えない別人の言葉だった。

「名前トリック」 ニックネームや偽名で、ひとりの人間を2人だと読者に思わせる。

※これは、「ただのおっさん~ の3章のネタです」


これも、推理のルールとして「ちゃんと読めば分かるヒント」

を、文章内に散りばめ、それでいて分からないようにする。

が、必要になりますが……




ミステリファンとしては、この謎を最後まで巧妙に隠し続け。

最後にきれいにドカーンと前提条件ごとひっくり返されると。


「おー、名作だ!」と叫びたくなります(たぶん)


最近? もう、だいぶ前かな?

話題になった作品だと「イニシエーション・ラブ」乾くるみ 著

なんかがそうですね。


これが恋愛ものか「推理」なのか。

議論があるかもしれませんが…… ミステリとしても高く評価されていて。


「第58回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門候補」 に選ばれたり。

「2005年版の本格ミステリ・ベスト10 第6位」 にランクインしたりしました。


映画にもなったので、知っている人も多いかもしれませんが。

最後の2行を読まないと。普通の恋愛小説です……


そして、このトリックは、小説じゃないと衝撃が伝わりにくいです。

(個人の感想です)


今執筆中の「ただのおっさんなんだが~ 」の3章では、

叙述トリックの3段落ちをやってみました。


作者の筆力がないせいで。

「意味が分からん!」「これは推理じゃない!」


等のご指摘をいただきましたが……


この推理を楽しんでくれた方がもしお見えでしたら。

こちらのコラムまで感想頂けると嬉しいです <(_ _)>



次回は「パズルトリック」について。

このコラムで紹介できればと考えてます。

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