トリックってなに? (犯人捜し編)
それでは、推理に付きものな「謎」。
トリックについてです。
やっぱり王道は、犯人探しですね。
TVのワイドなサスペンスでは、必ず最初に死体が出てきて。
「犯人はいったい……」
で、始まって。最後は海の見える崖の上で。
「どうしてそんな事を」
って聞くと、犯人がペラペラ自供してくれます。
これで奥様がインターネットに変な動画さえUPしなきゃ。
全て問題解決です。
……名探偵も大変ですね。
この流れは、起承転結型の『箱書き』の基本で。
小説を書こうとすると良く出てくる用語「プロット」の基礎です。
じゃあ犯人は最後に分かるのが「推理」かというと。
最初に犯人が分かっちゃう「推理」もあります。
代表的なものは「刑事コロンボ」や。
日本だと「古畑任三郎」なんかのシリーズです。
これは、前に話した「犯人捜し」じゃなくて。
真理サスペンスと呼ばれる「犯人の心に謎」があるパターンです。
癖のある名探偵が、天才的な犯人を徐々に追い込んでゆく。
「心理謎解き」がメインです。
じゃあ、「最後に犯人」、「最初に犯人」、のパターンがあるなら。
真ん中に「犯人が分かる」は、あるのか。
実はこのパターンが「ハリウッド映画」の主流です。
いわゆるアクション映画や、サスペンス映画は、ほぼこのパターンです。
真ん中ぐらいまでは日本のサスペンスと似てますが。
途中で犯人が判明して、後半はバンバンドンドンのアクション映画になったり。
それで黒幕を追い詰めてハッピーエンドとか。
恋愛がメインにすり替わっちゃって。
犯人と恋に落ちた主人公が、その後どうするか…… に、なったり。
実はこれが3幕構成の基本なんですね。
先ほどかいた「プロット」の勉強をすると。
シドフィールドの名前が必ず出てきます。
この人が提唱したのは。
「ドラマは真ん中がキモや!」です。(たぶんそうだと思う……)
その為、人気の海外ミステリ小説も。真ん中で犯人が分かっちゃって。
後半はそこから延長した、別のドラマを楽しむものが多いです。
それで、もうひとつ。
じゃあ、犯人捜し以外で事件のトリックはあるの。
ですが…… これも古くからあって、代表的なのが。
「そもそも、事件はなんだ?」です。
なんだか巻き込まれて行くうちに、どんどん大きな事件に発展して……
の、パターンですね。
その「事件」の本質と「犯人」を同時に謎といていくやつです。
今僕が書いている、
「ただのおっさんなんだが、
自称伝説の古龍(美少女)にからまれて困っている」
https://ncode.syosetu.com/n5169eg/
の第1章~2章は、このトリックです。
最後の謎解きが全て終わって「事件そのもの」の謎が解けます。
犯人探しも伏線程度のものは存在してますが……
もし、上記作品(まずは1~2章のトリックで)、気になる個所がありましたら。
引き続き、このコラムでお答えしたいと思います。
上記作品そのものの感想は、どうか作品の方へ。
トリックや、ネタバレ含むは、こちらまで。
わがまま言いますが、そうしていただけると嬉しいです。
いま3章が終わって、4章連載中ですが。
3章は「叙述トリック」です。
これは「犯人はおまえだ!」のパターンじゃない、本格ミステリの王道です。
このお話を、コラムの次話にできればと考えてます。