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ネット内の怖さも知れ (4日目)

翌日…。前日よりも8時がかなり楽しみになっている自分に気付く。

こんなにわくわくと浮かれた気分になったのは初めてなのではないだろうか。



結局あのあと4人で軽く経験値稼ぎをしたのだが、単純に遊ぶためだけの仲間というのを持ったのは本当に何年ぶりだろうか。


リーダーのユートは人当たりのいい男で、まるで旧知の友人のように接してくる。

シーフのアオイは心底ゲームに疎いらしいが、その分教えてやると素直に感心して一生懸命吸収しようとする。

そして…プリーストのフロウレンス。

小さくてふわふわしてて可愛い女の子キャラ。

いつも、コウさん、コウさん、と後ろにぴったりくっついて回る。

今まで周りにいなかったタイプの人種で…そこにいるだけで楽しい気分になった。

単調に思えた戦闘も、後ろにいるそのお姫様キャラを守るためだと思うと楽しい。


そんなわけで8時ぴったりにインする。

もちろん一番乗りだ。

みんなまだ来てない。

しかたなしに噴水のあたりで他を待ってると、他の参加者の会話が聞こえてくる。


イヴという女ウォーリアとゴッドセイバーという男ウォーリアだ。

会話からするとゴッドセイバーの方がイヴに気があって、色々気を惹こうとしているっぽい。


(うちの姫の方が絶対に可愛いよな…)

と、無意識に思ってる辺りが慎重な割に一目惚れ体質ならしい…。


そうこうしてるうちにアオイがイン。

そのうちリアルまでみんなに聞こえる通常会話で話始めるゴッドセイバー。

こいついつか殺されるんじゃないか…?と密かに思うが、それが実際にそうなるとは、この時点ではさすがに思っても見ない。

ただ念のためと自分達以外で会話を聞いてそうなあたりをチェックする。

アオイと自分とイヴの他にはアゾットというプリースト。

まあ…プリーストじゃ一億狙うのは無理だろうなとは思う。


そのうちアオイが退屈になったらしく

「ねえ、コウ…」

と話かけてくる。

『…ん?』

「コウもさ…高校生…なんだよね?」

『だな。このイベントの参加者全員そうだって主催言ってたしな。』

「コウはさ、どんな感じなの?リアル。私はね…」

いきなり通常会話で話だすアオイに焦って

『ストップ!!黙っとけ、馬鹿!!』

と、皆まで言わせない様にとりあえず遮る。

「な…なによ…嫌なら無理に聞き出そうとまでは思ってないよ。

でも私の事話すくらいはいいじゃない。

別に変な意味じゃないもん!」

と、何もわかってないであろうアオイにコウはため息をついた。

そういうんじゃない、と、一応ワンクッション置いたあと、説明を始める。


『ネット上だと相手も嘘つけるからな。

下手に自分の個人情報漏らすと悪用されるぞ。

俺は自己申告がない限りキャラの性別イコールリアル性別として考えとく事にしてるから、お前も一応女だって仮定して話するけどな、男でもやばいけど女は絶対にやばい。

実際騙されて呼び出されて乱暴されたりとか、ストーカーされたりとか結構あるんだからな。

女は特に気をつけろよ。

絶対に下手に相手を信用すんな。

ましてや誰が聞いてるともわかんない通常会話でリアル明かすなんて史上最悪の大馬鹿野郎だぞ』


アオイはその説明で納得したらしい

『ん…わかった。気をつける』

と、神妙にうなづく。

素直なのがアオイの最大の長所だと思う。


同じ事をあとからきたユートに注意しても

『はいはい、さすがに俺でもそれはわかってるよ』

と、笑って流す。

同等の人間としてのプライドが先立つらしい。

それでもピリピリ言い返したり必要以上につっかかったりせず流すあたりが大人なのか。


お姫様は相変わらずぽわわ~んとしてて聞いてるのか聞いてないのかわからないがとりあえず

『は~い♪(^-^』

とだけは返事を返してきた。

まあ…フロウに関しては自分で危機管理をしろというのは無理っぽい。

いざとなれば自分がガードしようと言う事で切り上げる。


とりあえず注意するだけはしたという事でレベル上げに行く前に、昨日から気になっていた事をとりあえずクリアにしようと、商店街に足を向けた。

それでなくてもレベルが低いのに初期装備のままのアオイとフロウにせめてレベル相応の装備を買ってやらないと殴られたら終わる。

昨日までパーティーの存在すら知らずにただソロでペチペチと敵を叩いてただけらしい二人のこと、当然装備代なんか貯めてるはずもなく…レベルが上がったら装備を買い替えようと貯めていた金で二人に装備を買ってやる。

どうせレベルの低い3人に合わせてやっていたらレベルが上がるのなんて当分先だ。

それまでには充分必要なだけの金が貯まるだろう。


決して効率的ではない。

というより効率から激しくかけ離れたやり方なわけだが…不思議と楽しい。

成功して勝つ為ではない作業。単純に楽しむために遊ぶ事がこれほど楽しいとは思っても見なかった。


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