第3話 ──村までの道
俺は今、助けてもらった女の子と共に獣道と呼べるかどうかも怪しい道なき道を歩いていた。
(いやいや『助けてもらった』って…異世界来てんだから俺が助ける側にならないとダメだろ…)
と、自分の情けなさに傷つきながらも俺は今後のことについて考える。
(まず、彼女からこの世界の情報を聞き出す。それが最優先だな)
「ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいか?……えっと……」
しまった。名前聞いてなかった。
「あ、そーいえば名前言ってなかったね!私はティル!あなたは?」
「俺は滄多だ。訪藤滄多。で、いきなりで悪いけどいくつか聞きたいことがある。質問していいか?」
「うん、いいよ!ソウタくん!どうせ村まで暇だしね!」
(よし、何とか質問するところまで持っていけたな…)
「まず、ここはどこなんだ?」
「ここは『クレイの森』。って知らないのにどうやって来たの?」
「実は俺、昨日まで日本という国にいたんだけど気づいたらここにいてさ。ここら辺の事は全然知らないんだ。」
「にほん?聞いたことないな?じゃあ詳しく説明するね!ここは フォーレ大陸の北東にある クレイの森。王国に一番近い森だよ!といってもかなり遠いけどね」
王国か…とりあえずそこに行くのが目標だな。
「あと、さっきギルドとかなんとか言ってたけど、ギルドってのは冒険者たちが集まる場所の事で合ってるか?」
と、俺は元の世界ではよくある『ギルド』について言ってみた。
「うん!あってるよ!にほんにもさすがにギルドはあるんだね!」
(合ってて良かった…何か勘違いしているみたいだが。でもギルドか…これぞ異世界って感じがしてテンション上がってくる……!」
「ん?なにか言った?」
おっとつい心の声が。
「いや?何も言ってないぞ?」
「そっか!あ、そろそろ着くよ!」
最後にゴブリンとの戦い(襲われた)の時に
現れた謎の『コマンドらしき文字』についてそれとなく聞いてみたが、そんなものは知らないと軽く聞き流されてしまった。
(俺しか現れないって…これが俺の異世界での能力?ま、まさかな…)
今の所、異世界特有のチート能力は確認出来ていない。だからこそ不安なのだ。
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どこを通ってきたかも分からなかったような道が、気づくと多少は整備された道なっていた。その先には村の大きさが分かるような小さな門がある。
(異世界に来てから息付く暇がなかったからな…少しここでゆっくりしてから王国へ出発するか…確かめないといけない事もあるしな…)
そして俺はここで少しの間過ごす事を決めた。