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プロローグ
※CAUTION!
このプロローグには作者の罠が含まれています。
落ちていく。
光の射さない奈落の底へ。
あるかも分からない深淵の果てへ。
「ふざけんなああああああああああああ!」
湧き上がる感情のままに叫ぶ。
俺が何をしたって言うんだ!
悪い事もおかしな事もしていない!
教室にいたら突然異世界に召喚されて!
クソみたいなスキルを押し付けられて!
残念なものを見る見下した視線を向けられて!
それでも何とかここまでやってきて!
これからだって時にこんな、こんな目に!
色々なものに向けられていた感情は、やがて一人の相手に集中していく。
俺を落としたアイツに。
凶悪で醜悪で最悪なアイツの顔を頭に浮かべる。
転落死が待っているとしか思えないこの最低な状況でも、アイツへの復讐を思えば際限なく活力が湧いてくる。
「死んでたまるか! 俺は必ず、必ず生きて――」
やがて、元いた場所さえ闇に溶けて見えなくなった。
それでも俺は、まだ落ちていく――