5話「スクールデッド②」
【13:40】
「キーンコーンカーンコーン」
授業5分前のチャイムが鳴った。
次の授業は2年生と3年生の生徒集会だ。
「めんどいから、さぼるかな~」
ボーっとしながら空を見上げていると、「なんだあれは・・」という男の声が聞こえた。
すぐさま下を見下ろすと、白い球体のロボットのようなものが学校の入り口前にいた。
そこに先生と学校の掃除のおっちゃんが近づいていく。
その瞬間・・
白い球体は、まるで赤ん坊が紙粘土で遊んでいるかのように形を変えて光を放った。
「え・・・」
先生と、掃除のおっちゃんが消えた・・
いや、消えたのではなく白骨化したのだ。
頭の中で恐怖がわきあがってくる。
が・・
そこから動かずにただ見ていた・・・
だが不思議だ、白骨化したのに「心臓だけ・・・残ってる・・・」
その瞬間、授業スタートのチャイムと一緒に心臓が膨張して肉体が再生し始めた。
少しずつ再生していくが、明らかにデカかった。
人間の5倍はあるだろうか・・。
「う・・・やばい・・・」
その場に屈みこんで口を抑え込んだ。
体中が血だらけで四足歩行をして少しずつ歩いていた。
そして、白い球体は地面に吸い込まれるように消えた・・。
残った化け物は、まるでゾンビゲームのボスのようだった。
化け物2頭は、叫び声をあげた。
「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ~」
「う・・あぁ・・うるせ~よ・・・・」
何個かの窓ガラスが割れて「一頭のゾンビ(先生)」は、生徒集会にチータのようなスピードで、体育館に突っ込んでいった。
もう「一頭のゾンビ(掃除のおちゃん)」は、1年の階に入って行った・・・。
「やばいやばいやばい・・・」
俺は急いで教室に走り出した。
* * * * *
【13:47】
いきなりだが、僕の名前は八柳後世だ。
ここ、埼玉県八柳中学校の生徒会長だ・・・
だが今はそんな状況ではないらしい。
ものすごい大声が体育館の外から聞こえたらそのあと、体育館のドアからデカい顔が現れたのだから。
「なんだありゃ~・・どんどん人間殺していきやがる・・」
体育館から聞こえる叫び声はまるで地獄絵図だな・・
だが一つだけ言っておく・・・
・俺が好きなものは強い奴「後、可愛い子」
・俺が嫌いなものは弱い奴「後、強く見せようとする奴」
徐々に笑いが止まらなくなる・・・
「あぁぁぁぁぁ~はっはっはっはっはっはっは~!!!!!!!!」
俺は、ステージの上で一人笑っていた。
そして、知らないうちに俺は一人で笑っていた・・。
みんな死んだんだ・・
俺一人を残してみんな死んだ
「ひっく・・ひっく・・」
ステージの横から鳴き声が聞こえた・・。
「ありゃ~会計のおっぱいちゃんじゃん・・」
名前は確か後輩の高田ゆずりだったかな~っと、頭で考えながら俺は化け物を見た・・。
「お前さ~・・」
しゃべっている瞬間ものすごいスピードで突っ込んできた。
「うお・・」
後ろに体を90度まげてその上を化け物が飛び越えステージの壁に激突した。
「あぶね・・、それと・・人の話は最後まで聞け!!女泣かせたお前は殺す・・」
俺は、急いでステージから降りて高田ゆずりちゃんが襲われないように移動した。
その瞬間・・・
「え・・」
死んだはずの生徒が俺の足を掴んできた・・。
俺は慌ててそいつの顔面をけっ飛ばして手をどかしたが不思議だ・・
ふつう、うつぶせで倒れてる相手の顔面をけっ飛ばしたら首の骨が折れるはずなのに無傷だ・・。
「本気でやったんだがな・・」
化け物は見当たらないが、生徒がだんだん立ち上がってくる。
「おもしろい・・、やってやるよ!!変な歩き方しやがって!!!」
ゾンビが右手でひっかいて来たのを、左手でつかんで自分の右手の方向にながして、右足で相手の足をけっ飛ばして転ばせ、ネクタイを奪って両手を縛った。
するとゾンビは立とうとしても足だけで立てない。
「やっぱりな・・、こいつらのぎこちない歩きは腕を使ってバランスよく歩いてるに過ぎない、つまりこいつらは足だけで立ったり歩いたりしようとするとバランスが保てずに倒れる・・。」
「ボソッ」っと、独り言を言った後おれは全力で戦った。
たくさんのゾンビの手を縛った。
* * * * *
【14:15】
「ふぅ~、何とか全員縛ったか・・おっぱいちゃんもう少しそこで待っててね~」
鳴き声と混ざったような声で「はい」と一言返事をくれた。
俺は用具室からバスケットボールを持って、体育館を出た。
それから校庭を見渡すと・・
「あれか・・」
校内から逃げてきた1年生たちが必死で逃げ回る姿が見えた。
追いかけているのは、みんなを殺した化け物だった。
そして化け物に思いっきり走って近づき、バスケットボールを顔面にぶち込んだ。
「ざま~」と言って走って距離をとった。
「こっからどうするかね・・・、完全に標的になっちまった。」
と、そんな時、空から刀が飛んできた・・。
「なんだこりゃ~・・?切先の部分だけ・・プラスチックか何かか?」
だが、ものすごい切れ味だった・・。
まるで本物の刀のように。
俺はとりあえず、それを持ってダッシュした・・
相手の右手のひっかきをスライディングしながらかわして左足を切った瞬間・・
「ブショ!!・・」
真っ二つに切れるというよりは、ケーキを包丁で真っ二つに押しつぶすようにぐちゃぐちゃに切れた。
「まじかよ・・いける・・」
そして少し距離をとった。
だが・・・
「ボォォォォォォォォォォォォォォ~スパン・・・」
恐ろしく速いスピードで俺の刀の持っていない右手が噛まれて、体ごと移動していた。
なんでだ・・、なんでスピードが上がってんだ・・!!
足は一本切ったはずなのに。
残りの足を見ると・・
「な・・」
3倍は太くなっていた。
俺の腕を噛んだまま大ジャンプする瞬間。
「今しかね・・・」
俺は思いっきり噛まれた自分の腕を肩から切った・・
そして化け物だけ空中に上がっている。
「う・・痛い・・だが、てめぇ~は死ね」
残っている左手で落ちてくる化け物をひたすら切り続けた。
そして俺、八柳後世は化け物を一体殺した。
「はぁ・・はぁ・・・こりゃ、死ぬな・・」
空の太陽を見ながら少しずつ意識が遠くなるのを感じる・・。
「先輩!!、先輩!!」
女の子の声が聞こえた・・
「おっぱいちゃんじゃないか・・」
相手に聞こえるのかわからない枯れた声で最後の一言を言った。
「先輩!!死んじゃだめですよ・・先輩!!!」
その後の後輩の声は聞こえなかったが、俺は左手を限界まで上げておっぱいを触った・・
そして俺、八柳後世は、何の悔いも残さず死んだ・・。