20話『蕎麦屋デッド③』
下に降りると、畳の上の机に抹茶ぜんざいが置いてあった。
抹茶の中に白玉と小豆それにミントが付いている。
今思うとこの人は、蕎麦屋以外でもやっていけるのでわないかと思える。
机に並び食べる。
食べている時、食べた物をはきだしそうになるようなことを上原が言い出した。
「いい忘れてたわ、もう一人クリアーした人が来たわよ・・」
グッっと白玉が喉の奥に詰まる。
「マジか、誰だよそいつ!!」
「神階 零時という子よ」
子というからには年下なのかもしれない、上原は見るからに同い年いや
、高校生の可能性もあるかもしれない。
「小学生ぐらいの白い髪、目は赤く死んだような表情をしていたよ。
後ろに、戦争服を着た自衛隊みたいなのがたくさんいたな。」
子供とは思えないなりだと思うが、つっこむのはいまさら面倒だ。
俺はそれ以上聞かず、話を変える選択をした。
「そういえば、その刀・・い一体どこで?」
みことと同じように、ゾンビを殺せる刀を持っているのに少し疑問を持っていた。
「ん?特注品よ」
みことと同じだった。
みんなどこでこんな刀を作ってくれるのか疑問で仕方がない。
「それとあなた達、いまさら言うまでもないけど生分解性プラスチックよね?」
「ええ、当り前よ、注意事項に書いてあったものね・・」
みことと、上原がなぞな会話をしていた。
「何の話だよ、意味わかんねーぞ」
俺が言うと、みことと上原が驚いた顔でこっちを見ていた。
「坂町、あなた知らずに銃連射してたの?」
みことの言っている言葉が理解できない。
「え・・、何が?」
するとみことと上原は、あきれ顔で説明した。
* * * * *
「え・・マジで?」
知らない新事実を突き付けられた。
どうやら、生分解性プラスチックというサバゲ公式用の弾が存在するらしくそのプラスチックでなくてはゾンビを倒せないらしい。
注意事項は、100万円のお支払いサイトの最後に書いてあったらしいがそれを俺は見ていない。
親父が重症のサバゲ野郎だったおかげで、家の弾はすべて生分解性プラスチックだったらしい。
今さらだが、ここまで生きていたのは親父の趣味のおかげかもしれない。
「何で学校で教えてくれなかったんだ!!」
今さらながら、文句を言わざる追えない。
「何を言ってるのよ、普通のプラスチックもあなたの前で試したじゃない。」
「え?」
さらに疑問が出てくる。
抹茶ぜんざいを食べてる暇がない。
「学校で、机の上に乗って最初にプラスチックBB弾を投げたのじゃない、その後、生分解性プラスチックBB弾をゾンビに投げたら頭を通り抜けてって、覚えてない?」
俺は記憶の中を整理した。
確かこんな感じだったかな。
* * * * *
「それより試すわ」
教室のドアの前にたくさんの机が並んでいた。
「何を試すんだよ・・」
「いいから見てなさい」
机の上に登って、ドアの上の窓を開けた・・・。
「おぉ・・」
俺は下から見える、浅田みことの水色のフリルの下着に見とれていた。
そのあと、何かを投げ込んでいる。
「やっぱり・・・、早くあなたも登りなさい・・」
俺は、願望を押し殺して机の上に登った。
「あそこのに歩いてるゾンビにBB弾投げるから見てなさい」
そういてBB弾を右手で投げてゾンビの頭に当てた。
「え・・」
俺がそう口にするのも仕方がない・・
すり抜けて地面の落ちたのだから。
「よく見なさい、半径10cmほどの穴が頭にあいてるわ。」
「まじか・・」
だが、ゾンビはそれなのに平然と歩いていた。
だが要するに弱点はBB弾・・。
* * * * *
この会話を思い出した。
最初に投げたのが普通のプラスチックのBB弾だったのかと、今になってあせる。
あのとき俺は、みことのパンツに夢中になっていたため見ていなかった。
学校での行いを口に出さず反省している。
「だからね、この刀もずっとは使えないのよ」
上原が、少し残念そうに言う。
当たり前だ、生分解性プラスチックのことはよくわからんが、土などに落ちると消えてしまう弾だったはず。
だが、かなりの時間がたたないと消えて無くならないため今のところは安心だ。
俺らは、抹茶ぜんざいを食べ終えた後これからどうするかを2階にある上原の部屋の、隣の部屋で話していた。
どうやらここの部屋を自由に使っていいという、おっちゃんの優しさが感じられる。
「とりあえず、明日の朝上野に向かうわよ。」
みことの意見に反対する者はいないが、やけに八柳がおとなしかった。
「どうしたんだよ八柳、全然しゃべんねーな」
八柳は、無理に作り笑いをして「大丈夫だって」と、一言言って黙ってしまった。
多分だが、上原の仮説オカルト話が効いたのだろう。
あんなことをホイホイ信じられるほど俺らの頭はうまくできていないが、人間の仕業でこんなことはできないとなると、神様や宇宙人が話に出てきてもおかしくわない。
俺はそれ以上、八柳に話をかけることはなかった。