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17話「失う」

[12:40]

 俺達は、駐車場を回っているが・・・

 「こっちの車だろ!!!かっこいいし、早そうだ!!!」

 「馬鹿野郎!!!その車には鍵がかかってんだぞ!!またみことに苦労かけんのか!!?こっちのカギ付きの車でいいじゃねーか!!」

 俺と八柳は、普通の一般車(鍵付き)か、スポーツカー(鍵がついてない)で、もめていた。

 「鍵付きがいいわ・・面倒なことはしたくないし・・どうせ捨てて行くんだから」

 というみことの意見で、俺の選んだ車で行くことになった・・。


* * * * *

[13:03]

 俺の家に置いてあった車を、吹っ飛ばした化け物のいる橋にたどり着いた・・・


 「覚悟はいいかしら・・」

 覚悟はいいが、気分は相変わらず最悪だ・・

 この橋を通らないと東京に入れないのだ・・

 これは予想だが、もしかしたら東京を円で囲むようにそれぞれ化け物が待機している可能性がある。

でなければ、手のでかい化け物に俺らは陣形も取れずに殺されていただろう。

 車を橋の入り口に置いて近づいていく。

 前に、八柳とみこと・・

 真中に俺(坂町康介)

 俺の背後に、ゆずり

 武器を持って歩いていく。

 「見えた・・」

 みことがそういうと、ゆずりはスナイパーライフルを構えて狙いをさだめた。

 「え・・・」

 ゆずりがそういうと、化け物の姿が無い。

 あたりを見渡してもいない・・

 「上だ!!」

 八柳の声につられて、俺は空を見上げた。

 「最悪だ・・」

 「ヒュ~・・・・・・ドン!!!!!」

 コンクリート地面に、でかい亀裂きれつが入った。

その振動で、俺らは地面に倒れた。

 陣形がジャンプ一回で崩れた・・・

 ゆずりの真後ろに、化け物がいた。

 八柳とみことは、ゆずりと15mほどの間を開けている。

 このぐらい間を開けなくてはゆずりが危険だからであるのだが、それが逆にゆずりを危険な目に合わせることになってしまった。

 「まずい・・ゆずり!!逃げ・・・」

 俺はみんなの間にいて、ゆずりとは10mの差がある・・・

 俺は必死に立ち上がり、走って追いかけた・・

 アサルトライフルを連射しながら・・

だが・・

 でかい手にだけ、銃の攻撃がとうらない・・。

 そして・・

 後2mというところで、「ドン・・」

 すごい爆風で、後ろに転がった。

 その瞬間ゆずりは、口ぱくだったが何かを言っていた気がした。

それに水のようなものが爆風で、俺の顔に飛んできた気がする。

 俺は急いで化け物の方を見たがゆずりはいなかった・・。

 化け物に吹っ飛ばされたんだ・・、今頃ビルに吹っ飛んで死んだだろう・・・

 「あ・・ああ・・アァァァァ~~~~~!!!!!!」

 頭の中に、「殺す」の単語がたくさん出てくる。

 意識が吹っ飛んでいく感覚がする・・。

 後ろにいるみことは地面に倒れこんで泣いている・・、八柳はボーっとしながら俺の方向を見ていた。

 この感覚は、ゲームをしているときによく似ていた。

 化け物の、右の手のひらが俺を吹っ飛ばそうとするが、見える。

ものすごくスローモーションに感じた。

 銃で、手のひらは効かなかったのを思い出して、肩を打った。

 肩が吹っ飛んで、俺の当たる紙一重で腕は地面に落ちた。

 歩きながら近ずく、左の手のひらで攻撃してきたので、左肩も吹っ飛ばした。

 学校の時の化け物みたいに、足が太くなるのがいやだったから両足を吹っ飛ばした。

 俺は動けなくなった化け物の顔を踏みつぶしてにこりと笑った。

 ポケットから、ハンドガン『コルトガバメント』を取り出して・・

 「ドン・・ドン・・ドン・・ドン・・ドン・・ドン・・ドン・・ドン・・ドン・・ドン・・・・・・・・」


* * * * *

 [14:30]

 俺は、ゆっくりと目を開けた。

 気がつくとそこには、みことと八柳がいた・・

 俺は今車の中にいる、後部座席でねっ転がっているが・・、エンジン音とガタガタと揺れるので、気持ちが悪い・・

 そして少しずつ記憶が戻ってくる・・

「ゆずりは・・?ゆずりはどこだ!!!!」

 俺はあわてて後部座席から体を起した。

 みことが運転していて、隣に柳がいたが、ゆずりは見当たらない。

 「どうなった・・おい!!答えろ八柳!!みこと!!!!」

 俺は怒鳴ることしかできなかった。

 もう死んだことは分ってる、でもこういうふうに聞いてしまう・・・

当たり前だ、死んだことを認めたくない自分と混乱している自分がいるからだ。

 「死んだ・・」

 八柳の一言は、俺の認めたくないが怒りに変わって、混乱は涙に変わった。

 「は・・ふざけんなよ!!!死んだの一言で終わらすのか!!!」

 八柳は、ただ黙っていた。

 「お前にとってゆずりはその程度だったのかよ!!」

 その瞬間、八柳は俺の胸ぐらをつかんで頭突きを顔面に入れてきた。

 俺は柳の顔を見た瞬間、体の力が抜けて足元を見て泣いていた。

 そのあと少しは涙もおさまり、ゆずりが最後になんて言っていたのか考えてたが答えはまだ見つからない・・

 今なら、菊岡がショッピングモールで言った『まだ現実にいるな・・』の意味が少しは分った。

 沈黙した車の中は消して息苦しくはなかった・・・、みことも八柳も、それだけゆずりが大切だったからだろう。

 そして・・・

車は上野に向かっていった。

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